コーヒータイム

日々読んだ本を紹介しています。英語や中国語書も時々。面白そうだと感じる本があれば、ぜひあなたも読んでみてください!

ノンフィクション

アフガニスタンの人々に寄り添ったひとりの医師の死を考える〜中村哲『天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い』

天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い 作者:中村 哲 発売日: 2013/10/24 メディア: 単行本 現地三十年の体験を通して言えることは、私たちが己の分限を知り、誠実である限り、天の恵みと人のまごころは信頼に足るということです。 (「はじめに」より) …

冷戦下のソビエト学校から〜米原万里『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』

おそらく、冷戦時代のヨーロッパの共産主義陣営、そこで暮らす共産党員たちの子どもの喜怒哀楽や運命を、同級生の視線からノンフィクションにまとめた本はほかにないのではないだろうか。 著者の米原万里氏は日本共産党の幹部を父親にもち、父親のチェコスロ…

現代社会に生きる女性たちの危なっかしさをえぐり出す『依存症の女たち』

ノンフィクションライターの衿野未矢さんの著書は、何冊か読んだことがある。いずれも現代社会に生きる女性たちが抱える問題をとりあげている。文章はしっかりしていながら説教臭さがまるでなく、取材対象の女性たちへのこまやかな観察、いつわりのない関心…

人間関係の泥沼、シリコンバレーへようこそ『サルたちの狂宴』

Chaos Monkeys: Obscene Fortune and Random Failure in Silicon Valley 作者: Antonio Garcia Martinez 出版社/メーカー: Harper Paperbacks 発売日: 2018/07/24 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る サルたちの狂宴 上 ーーシリコンバレ…

国家に潰されるということ『A3』

A3 上 (集英社文庫) 作者: 森達也 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2014/11/07 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る A3 下 (集英社文庫) 作者: 森達也 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2012/12/14 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 1回 こ…

忘れ去られたアメリカ『ヒルビリー・エレジー』

Hillbilly Elegy: A Memoir of a Family and Culture in Crisis 作者: J. D. Vance 出版社/メーカー: William Collins 発売日: 2016/08/06 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち 作…

大手企業のリストラを実況中継『リストラなう!』

2010年3月上旬、某大手出版社が「早期退職優遇措置」(いわゆるリストラ)を発表した。そんな中早々に退職を決めた「たぬきち」が、退職まてまの2ヶ月をブログで実況してゆく。それをまとめたのが本書だ。 主人公(?)のブロガー「たぬきち」は45歳、男、営…

語ることを禁じられた時代の記憶《ワイルド・スワン》(下)

関東直撃を恐れられた台風12号が連れてきた暴雨の音を聞きながら、深夜までかけて一気に読みきった。 これは中国に生を受けた著者とその母親、祖母の人生を書いた真実の物語。中国現代社会に興味があるすべての人が手に取るべき本だ。 下巻では、中巻までに…

語ることを禁じられた時代の記憶《ワイルド・スワン》(中)

これは中国に生を受けた著者とその母親、祖母の人生を書いた真実の物語。中国現代社会に興味があるすべての人が手に取るべき本だ。 中巻では著者の少女時代に物語がうつる。1950年代から1960年代にかけて。この本は中国本土では出版禁止だが、この中巻を読め…

語ることを禁じられた時代の記憶《ワイルド・スワン》

これは中国に生を受けた著者とその母親、祖母の人生を書いた真実の物語。中国現代社会に興味があるすべての人が手に取るべき本だ。 19世紀末に生まれた著者の祖母は、十五歳で北洋軍閥の将軍の妾にされた。20世紀前半に生まれた著者の母親は、第二次世界大戦…

黒人であること、それが意味すること『Project Management: the Black Experience』

書き手はどんな人間で、どんな人生を送ってきて、なにを表現したくて書いたのか? この本については簡単に答えられる。著者はバージニア州出身のアフリカ系アメリカ人で、コールセンターからITプロジェクトマネジャーに転身した経歴の持ち主で、黒人マネジャ…

カンボジアで出会いたい100人 (西村清志郎著)

カンボジアで10年間住んだ著者が、カンボジアでお世話になった在住日本人、出会ったさまざまな魅力的な日本人を紹介した一冊。大雑把にいえば、プノンペン編、シェムリアップ編などに分かれており、首都プノンペンでは大使館・外務省関係者などが政治的背景…

私はこうして受付からCEOになった (カーリー・フィオリーナ著)

著者はロースクール中退後、小さな不動産会社の受付からキャリアをスタートさせ、AT&T、そこから分社化されたルーセントを経て、ヒューレット・パッカード(HP)のCEOに着任し、やがて会社買収の件で創業者一族と対立し、ついには取締役会の決議により解雇され…

栄光なき天才たち アベベ・ビギラ 円谷幸吉(森田信吾)

栄光なき天才たち1上 東京五輪の長距離走者――裸足の王者アベベ・ビギラと忍耐の男、円谷幸吉 作者: 森田信吾 出版社/メーカー: ゴマブックス株式会社 発売日: 2015/11/14 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 栄光なき天才たち1下 アベベ・ビギ…

潜行 -地下アイドルの人に言えない生活 (姫乃たま著)

最初に姫乃たまという名前に触れたときのことは、覚えていない。私はアイドルにあまり興味がない方で、AKB48全盛時代でさえ神7の名前をすべて言えなかったほどだ。その私が地下アイドルに興味を持ちはじめたのは、ひとえに姫乃たまに興味をもったからだと思…

エンデュアランス - 史上最強のリーダー シャクルトンとその仲間はいかにして生還したか (アルフレッド・ランシング著)

エンデュアランス ──史上最強のリーダーシャクルトンとその仲間はいかにして生還したか (フェニックスシリーズ) 作者: アルフレッド・ランシング 出版社/メーカー: パンローリング株式会社 発売日: 2014/08/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を…

私がホストに墜ちたワケ ー 愛はお金で買えますか? (さな著)

坂口杏里がホストにはまったあげく恐喝未遂で逮捕された、というニュースが一時期騒がれていた。もし坂口杏里が日記でもつけていたら、この本に似た内容になったかもしれない。ラストは違ったけれど。 プロローグを見た瞬間、「あ、これダメなやつだ」と分か…

金正日の料理人 (藤本健二著)

著者は1982年に北朝鮮に渡り、最初は寿司店で、次は金正日専属料理人として腕をふるった。 仕事柄、著者が見るのは金正日の食事風景やその前後のプライベートな光景が多い。金正日はマグロが好きで、味覚が鋭く、美味なものを聞けばすぐに食べてみたいと言い…

仕事休んでうつ地獄に行ってきた (丸岡いずみ著)

読みやすく一気に最後まで読んだ。 北海道文化放送からキャリアをスタートさせた著者は、キャスターとして全力疾走してきて、ある日「ポキンと折れた」。恐ろしいマイナス思考、食べられない、眠れない。だが故郷に戻り、薬を飲み始めたらしだいによくなった…