コーヒータイム

日々読んだ本の感想。時々日常。

「パティシエ フランス菓子職人の仕事」(永井紀之著)を読んだ

タイトルのようにフランス菓子紹介というより、お菓子を通して見たフランス文化、日本文化との違いを紹介した一冊。著者は料理学校卒業後、フランス菓子に造詣深い先輩シェフに影響されて単身フランスに渡り、言葉、文化、すべてが違うフランスのレストラン…

「離れたくても離れられない人との距離の取り方」(石原加受子著)を読んだ

石原加受子氏の著書は何冊か読んだことがある。内容はわかりやすいものが多かったのだが、この本に書かれていることは理解が難しかった。 よくある上司と部下のやりとりなど、わかりやすい場面設定をしながらその時の心理状況を説明しているのに、頭にするす…

「愛着障害 子供時代を引きずる人々」(岡田尊司著)を読んだ

ここしばらく心理学関係の本をよく読んでいる。自分の中にあるもやもやした感覚を言語化するための助けとするためだ。その中でも読み応えがある一冊。 愛着とは、人と人との絆を結ぶ能力である。人はそれぞれ特有の愛着スタイルをもっていて、対人関係だけで…

「恋愛障害 どうして普通に愛されないのか?」(トイアンナ著)を読んだ

古い記憶がある。私が高校受験を控えた冬だ。 インフルエンザの予防接種を受けなさいとすすめる母親に、私は注射嫌いだし効果があるかなんてわからないと駄々をこねた。母親が病院を予約して、予防接種代の3000円を押しつけてきた段階になって、私は嫌々出か…

「ニッポンの貧困 必要なのは「慈善」より「投資」」(中川雅之著)を読んだ

この本は日経BP社から出ていることに大きな意味がある。貧困対策を進めるべき理由を、倫理や善意ではなく、できる限り経済合理性に求めようという試みがある。 例えばこんなケースを考えよう。ある人が20歳から65歳まで生活保護を受給した場合、政府が負担す…

「人工知能 機械といかに向き合うか」(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部)を読んだ

やがて来る人工知能(AI)の時代、人々の関心が向いているのは人工知能をビジネスでどう利用出来るか、自分の仕事が人工知能に奪われることはないかということだろう。本書はマネジメント誌DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビューに掲載され、反響を呼んだ論…

「高学歴なのになぜ人とうまくいかないのか」(加藤俊徳著)を読んだ

このテーマに触れるとき、私はいつもある会話を思い出す。 ある春先の夜、私が通勤電車に揺られていると、背中側から甲高い女性の声が聞こえてきた。若々しく、大学生だろうと思われた。彼女はそばの友達に、バイト先に高学歴なのに使えない新人が入ってきた…

ゲーテ「ファウスト 第2部」を読んだ

第2部は第1部から25年後、ゲーテの死の後に公表された。 第1部は、ファウストとグレートヒェンの恋を中心に現実世界でのできごとを綴っているため読みやすかったが、第2部は現実世界を離れてギリシャ神話やギリシャ史詩の世界に遊び、精霊達、美女ヘレネ…

ゲーテ「ファウスト 第1部」を読んだ

「時よ止まれ。お前は美しい」 ファウストは読んだことがなかったけれど、作中の有名な言葉は知っていた。まさか、この言葉を口にした瞬間、契約によりファウストの魂が悪魔メフィストのものになることになっているとは思わなかったが。 冒頭「天空のプロロ…

「その働き方ムダですよ -コスパを高める仕事術」(おちまさと著)を読んだ

「ムダ」とはなにか著者ははっきり書いていないが、読み取るに「あるものごとにお金もしくは時間を投資したが、期待していたほどリターンを得られなかったとき、そのものごとはムダである」という意味らしい。一石二鳥、それどころか一石多鳥を狙うにはどう…

「異文化理解力ー相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養」(エリン・メイヤー著)を読んだ

読み始めてすぐに買ってよかった、もっと早く出会いたかったと思った書。著者はさまざまなできごとーー同僚をランチに誘うなどーーを示しながら、それが文化によってどのように理解されるかを示している。できごとはどれもささいなことで、ありふれているが…

「ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室」(キャスリーン・フリン著)を読んだ

子供の頃、なぜかレシピ本を眺めるのが好きだった。うちには4冊レシピ本があった。3冊はいわゆる基本のおかず、1冊は洋食だった。私はこの洋食レシピばかりめくり、他の3冊には目もくれなかった。うちの食卓に洋風料理が出ることは一切なかったので、マ…

「苦境(ピンチ)を好機(チャンス)にかえる法則」(ライアン・ホリデイ著)を読んだ

同じ著者による本の2冊目。 THE OBSTACLE IS THE WAY - 障害は道になる。著者が腕にタトゥーとして彫りこんでいる、この言葉の意味を説く本だ。 ローマ帝国皇帝アウレリウスが書き留めた言葉からこの本は始まる。 「われわれの活動が障害に阻まれることはあ…

「エゴを抑える技術」(ライアン・ホリデイ著)を読んだ

何回でも己を戒めるために読み返すべき名著。 EGO IS THE ENEMY - エゴは敵だ。 THE OBSTACLE IS THE WAY - 障害は道になる。 この二つの言葉は、著者が自分の左右の腕にタトゥーを彫り、毎日欠かさず目にして、人生の決断の指針としている言葉だ。歴史、哲…

「最も伝わる言葉を選び抜くコピーライターの思考法」(中村禎著)を読んだ

この本は、35年にも及ぶコピーライター経験をもつ著者が、これから広告コピーを学ぶ人へ向けて心構えとヒントを贈るために書いた。広告コピーを書く作業には、言葉を「出す」ことと「選ぶ」ことの二つの仕事がある。著者がこの本にこめているのはいいコピー…

「勝つための状況判断学 軍隊に学ぶ戦略ノート」(松村ツトム著)を読んだ

すぐれた戦争論の書。著者は「戦争の基本的な原因は、価値観の相違が生む『怨念』と、軍事力の空白や不均衡に乗じて自己保存と繁栄を追い求める『欲望』である」と喝破する。世界の覇権構造の「現状維持」と「現状打破」のいずれを容認するのかがルールの根…

「FinTechの衝撃 金融機関はなにをすべきか」(城田真琴著)を読んだ

「銀行の機能は必要だが、銀行は必要か?」(マイクロソフト創設者 ビル・ゲイツ) 「グーグル、フェイスブックが今後のわれわれの競争相手になる」(JPモルガン・チェースCEO ジェイミー・ダイモン) FinTech(フィンテック)とは金融機関に押し寄せるデジタル化…

「ニュートレーダー×リッチトレーダー 完全プラス期待システム」(スティーブ・バーンズ著)を読んだ

昨日読んだ本の続編。こちらは投資家心理にスポットをあてている。 あらゆるトレーダーにとって最も危険な瞬間は、10%以上の投資資産が目減りし、即座にそれを取り戻したいと思う時だと著者はいう。口座残高が減ることによる心理的痛み、傷つけられた自信と…

「ニュートレーダー×リッチトレーダー 株式投資の極上心得」(スティーブ・バーンズ著)を読んだ

この本は「金持ち父さん貧乏父さん」に似た形式をとっている。新米トレーダーが近所に住む金持ちトレーダーを訪ね、彼から色々教えてもらいながら自分のトレーディングシステムを作り上げるまでの過程を小説風に書いている。 この本でとりあげている「ダーバ…

「オー!ファーザー」(伊坂幸太郎著)を読んだ

初の伊坂幸太郎小説。高校生の由紀夫に、父親が四人いるというとんでも設定。ギャンブル好きでアンダーグラウンドな知り合いもいる鷹、博識な悟、体育教師で格闘技好きの勲、女性の扱いに長けている葵。彼らは由紀夫の母親である知代に四股をかけられていた…

「中国絶望工場の若者たち」(福島香織著)を読んだ

中国が超格差社会であることはすでに広く知られているが、その中でも事実上の身分制度ともいうべき農民戸籍に属しながら、都会で生まれ育ち、あるいは高い教育を受け、つかみたい夢と現実の社会制度のあいだでもがいている層がある。それがこの本で取り上げ…

「老舗を再生させた十三代がどうしても伝えたい 小さな会社の生きる道」(中川淳著)を読んだ

おもしろい。要約するのはもったいない、全文繰返し読みたい、そんな一冊。 小説「限界集落株式会社」の現代版といおうか、小さなものづくり会社のブランディングを通して会社が元気になっていった実際のストーリーや、そこから見えてきた中小企業を元気にす…

「江戸の卵は1個400円!モノの値段で知る江戸の暮らし」(丸田勲著)を読んだ

江戸時代の日常生活が身近に感じられる一冊。羅宇屋(煙管専門の修理屋)など今はもうあまり見られない商売から、鰻蒲焼売りなど今でもよく見る商売までなんでもござい。そんな中でも面白い値段がついていたものをいくつか。 米: 一升(約1.5 kg) 1200円-1800円…

「1時間でわかるビットコイン入門」(小田玄紀著)を読んだ

ビットコイン分割がニュースになっていたが、私はそもそもビットコインとはなにか知らないので、基礎知識のために読んだ一冊。著者は自らの会社でもビットコイン取引を取り扱っているため自然とメリットを強調する本になるが、内容はわかりやすい。 まず面白…

「合理性を超えた先にイノベーションは生まれる」(金子智朗著)を読んだ

合理性とは「すでにある理屈に合う」ことだ。一方イノベーションとは「この世にないもので、みんなが(無意識に)欲しいと思っていたを作り出す」ことだ。合理性からイノベーションが生まれないのはこれだけでも明らかだ。 とはいえ、ルールを無視すればいいわ…

「これからデータ分析を始めたい人のための本」(工藤卓哉著)を読んだ

「努力や勇気ある一歩を踏み出したとしても、目的や着地点への方向性がなければ(その努力や行動の結果は)不十分なものになるだろう」(J.F.ケネディ) 本書の著者は、このメッセージをこそ伝えたいという。 統計、ビッグデータ、ディープラーニングなどの機械…

「プラチナデータ」(東野圭吾著)を読んだ

人は平等ではない。 読みきったあとに浮かんだ強い感慨だ。 物語は、遺伝子情報から犯人を特定する画期的なDNA捜査システムが実働するところから始まる。そのシステムは驚異的なもので、たった一本の毛髪から身長・体重・血液型・身体的特徴はもちろん、顔の…

「次の会議までに読んでおくように!」(アル・ピタンパリ著)を読んだ

タイトルは著者が同僚に向けて書いたメモを想定しているそう。読み終わるのに一時間ちょっとという分量は、会議前に読むのにも悪くない。 ムダな会議が多すぎる。これが著者がこの本を書いたきっかけだ。そもそも会議とはどう意思決定するかを決める一番大切…

「人生に疲れたらスペイン巡礼 飲み、食べ、歩く800キロの旅」(小野美由紀著)を読んだ

カミーノ・デ・サンティアゴという道がある。スペイン北西部に向かって伸びるキリスト教の巡礼の道だ。800キロに及ぶ道を、険しい山や谷、荒野、点在する村、広大な麦畑やひまわり畑を抜けて、サンティアゴ大聖堂をめざす。必要なことは、歩くこと、ただそれ…

「成田屋の食卓 團十郎が食べてきたもの」(堀越希実子著)を読んだ

この本の初版は2016年10月30日。 校了だ印刷だといろいろあるだろうから、きっとこの日付よりずっと前に希実子さんの原稿が上がっていたはず。それはいつだろう。 「実はこの本を書いたのは、麻央ちゃんに読んでほしかったから」 終わりの方に、ちょっと恥ず…