エッセイを読みたくなって選んだ一冊。著者は漫画家で、普段は自宅以外に仕事場を持ってそこで執筆している。そこにはキッチンがあり、特に締め切り前になると"逃避メシ"を作りたくなるそうだ。
もちろん時間なんてない、だがそのない時間を原稿ではなくメシ作りに使いたくなるのだ。しかも一人メシ。おいしいものを秘密で、締め切り前のわずかな時間で食べるのがたまらない、というエッセイをまとめた一冊だ。
時間なしの男メシだから凝ったものは出てこない。常備調味料と常備菜、それに旬の食材。誰かに見せるためではなく自分一人を満足させるために食べる。「孤独のグルメ」に似た発想だ。読み終わるとなんだかお腹が空いて、塩気の効いたものが食べたくなった。