コーヒータイム

日々読んだ本の感想。時々日常。

「段階的なアプローチが分かりやすい 無理せずに勝てる交渉術」(G・リチャード・シェル著)を読んだ

交渉術についての本、3冊目。

1冊目を読んだときは交渉術について馴染みがなく、読むのに時間がかかった。2冊目で交渉術のさまざまなアプローチを紹介しており、それを読み通したことで自分の中に土台ができてきた感覚がある。

この3冊目の特徴は、交渉者自身の性格にあった交渉スタイルを選ぶようすすめていることだ。おとなしく控えめな性格の人に、交渉の席で大声で怒鳴るようにしゃべれば相手を圧倒できますなどと教えても逆効果だ。

著者は交渉スタイルとして「競争型」「問題解決型」「妥協型」「順応型」「回避型」の5つをあげている。ちなみに競争型の例としてはかのドナルド・トランプ氏が挙げられている。

 

3冊読んできて気になったのは、いずれの本でも「人間は〜するものだ」と述べて、それを交渉にうまく組みこむことをすすめていることだ。例えば交渉の席でAが譲歩をしてBがそれを呑んだら、BもAになんらかの寛大さを見せたくなるものだし、そうするのが交渉の原則だという記述がある。

だが、私はそうとは限らないと思う。テーブルの向こうの相手が、ともかくこちらから何かを得ることしか考えておらず、こちらが譲歩したらもっと欲しくなるだけ、という人間であったならどうだろうか。相手がこちらの譲歩を借りだと認識してくれる、という考えそのものが、時には現実の交渉にそぐわない。

こういう状況は、交渉者同士の間に立場の差があるときに発生しやすいと思う。どちらか片方が、自分が圧倒的優位にあると思えば、譲る気など出てくるわけがない。交渉術の前に、まずはお互いを対等な立場だと思えるような顔触れにすることもまた肝心だ。