コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

ザ・エージェント ベストセラー作家を探しつづける男 (鬼塚忠著)

私は読むのは好きだけれど、書くことについては下手の横好きで、言葉選びも、長い文章を書くのもあまり得意ではない。だから、分厚くずっしりしているにもかかわらず、面白くて最後まで一気に読まずにはいられない本に出会うと、それを書いた作家のすごさにあこがれる。最初に出会ったのは小野不由美さんの「屍鬼」で、それからどんどん分厚い本を読むようになったのを覚えている。

そんな作家を支えるエージェントが本書のテーマだ。

エージェントは作家と契約し、作家の執筆活動を支え、作品を売り出し、原稿料を交渉し、作家が執筆活動に専念できるようその他の活動をプランニングし、作家収入から手数料収入を得る。日本ではまだまだマイナーだが、欧米ではとても一般的で、かのハリー・ポッターシリーズも最初はエージェントに持ちこまれた。近くは村上春樹がアメリカ市場で売り出すにあたって、エージェントと契約したという。エージェントの最大のメリットは、エージェント自身が会社に所属しているため、出版社と会社対会社の契約が結べること、原稿料の相場などに詳しく作品価値を測れることだ。

この本では作家にふさわしいテーマを選ぶにあたって「彼のキャリアを社会に還元できるテーマはなにか」を考える、という点が新鮮だった。ビジネス書などのハウツー本を書きたいのなら、売れる本や書きたい本を考えると同時に、この観点からも考えてみたい。