コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

エンジニアがビジネスリーダーをめざすための10の法則 (ベイカレント・コンサルティング)

 

エンジニアがビジネスリーダーをめざすための10の法則

エンジニアがビジネスリーダーをめざすための10の法則

 

 

これもまたタイトルに一目惚れした本。

技術者と管理職、開発と営業、お互い協力すべきなのに、お互いの主張を繰り返すばかりでコミュニケーションがうまくいかない、というのをよく見聞きするから、その原因と解決のヒントを得られるかもしれないと思い、選んだ。

読んでみると、とても納得いく内容だった。

本書はエンジニアとマネジメントの意思疎通がうまくいかない原因を、「エンジニアが、ビジネスリーダーとしての『問題解決力』と『営業力』を身につけていないこと」だと断じている。ここで営業力は「真摯に相手の話を聞き、本質的な課題を引き出し、プロフェッショナルとして解決策を導出し、相手にわかりやすく説明し、相手を突き動かしていくことが真の問題解決であり、そこで必要となる力が営業力」と説明されている。

これと正反対のことをしているエンジニアはとても多い。

エンジニアは時に今ある技術からなにができるかから考え始めるが、提案は本来顧客のニーズ/思いに対してなされるものであって、起点が違う。営業系のビジネス書にはことごとく「最初にカタログを出すな、まずはお客様のニーズをつかむため対話しろ」とあるが、エンジニアなどはまっさきにカタログを出して仕様説明を始める人種だ。

加えてエンジニアは正確な分析、細かく全面的な情報、専門用語が好きだ。だからビジネスリーダーに求められる、多少粗くてもその場で解決策をわかりやすく提示することがとても苦手だ。

おまけに彼らはおそらくそうすることをあまり必要だと感じていない。エンジニア同士で話すぶんには必要ない能力で、営業やら管理職やら経営陣と話すときに初めて違和感を覚えるからだ。

ここがおそらく一番問題で、その必要性をエンジニアに気づかせる方法はこの本には書いていない。エンジニア自身が失敗を繰り返す中で、自分のやり方を反省し始めるのを待つしかないのならなんとも効率が悪い話だ。いっそ、エンジニア全員に技術営業として半年間業務をさせてはどうかと思う。嫌でも自分のやり方を見直さざるをえないだろう。