コーヒータイム

日々読んだ本の感想。時々日常。

「老舗を再生させた十三代がどうしても伝えたい 小さな会社の生きる道」(中川淳著)を読んだ

おもしろい。要約するのはもったいない、全文繰返し読みたい、そんな一冊。

小説「限界集落株式会社」の現代版といおうか、小さなものづくり会社のブランディングを通して会社が元気になっていった実際のストーリーや、そこから見えてきた中小企業を元気にするノウハウがつまった一冊。第一部では五つの事例を取り上げているが、どれもドキュメンタリー番組の素材になりそうな事例だ。ものづくり会社がしだいに元気になり、成功していくのを読むのは嬉しい。

そのうちの一つ、有限会社マルヒロ(長崎県)のケース。

従業員六名、売上高八五〇〇万円。有田焼の下請け産地として、上絵付けをする前の磁器を得意とする製造・卸会社だが、地元波佐見の波佐見焼として認知されるべくブランド展開を志す。三十代の若き後継者がいる。

最初はその方に経営について学んでもらい、ちっとも活用されていなかった販売管理ソフトのアイテム別・商品マスタ別売上出力から始める。何度か打ち合わせするうちに、後継者がやりたいのは実は映画館で、そのために新しい焼き物ブランド"HASAMI"はただの焼き物ではなく、カフェなどにも映える「総合カルチャーブランド」でいくと方向性が決まる。

ではそれをどういうイメージで表現するか? お客さんにどう伝えるか? を検討し、アイテムを決め、色数、価格が出揃ったところで売上予測数と予測売上高をはじいて方針確認。また、商品説明のために筋の良い組み立て、ストーリーをつくる。いよいよ本番へ…。

ドキュメンタリーだけでなく、小さなものづくり会社をどのように経営するかの方法論にもなる。やりたいことを段階踏んで形にする方法についても、学ぶことがたくさんある本だ。