コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

ゲーテ《ファウスト 第2部》

第2部は第1部から25年後、ゲーテの死の後に公表された。

第1部は、ファウストとグレートヒェンの恋を中心に現実世界でのできごとを綴っているため読みやすかったが、第2部は現実世界を離れてギリシャ神話やギリシャ史詩の世界に遊び、精霊達、美女ヘレネー(ファウストは性懲りもなくヘレネーに一目惚れする)、古代ワルプルギスの夜についての詩歌が綴られるため、ギリシャ神話についての知識がなければ読み解くのは相当厳しい。

最後にファウストは荒れ狂う海を人々の暮らす土地から遠ざけることを望み、海を埋め立て、堤防を築く壮大な事業に乗り出す。盲目となったファウストは海が荒れてもびくともしない土地を夢見て、その土地で自由と生活のために努力する人々を夢見て、その人々に向かってこそ自分は「時よ止まれ、お前は美しい」と口にするだろうと独白する。未来の幸福を夢見て、現在を楽しむのだと。そこでファウストと悪魔メフィストの契約は成就し、ファウストの魂は一度メフィストの手に落ちるが、のちに救われる。

この結論は私には理解が難しかった。なぜファウストは「自由と生活のために努力する人々を見る」瞬間を人生の終焉に選んだのか?  それも、実際見るのではなく、いつかそれを見ることができるだろうと希望をもった段階で?

ゲーテファウスト第2部に生涯を通して思索した結果をこめており、それを読み解くのは今の私の人生経験ではあまりに浅すぎるのだろう。