コーヒータイム

日々読んだ本の感想。時々日常。

『ビジネス・インテリジェンス-未来を予想するシナリオ分析の技法』(北岡元著)を読んだ

昨日は原因不明のだるさで早々と寝たので、本を一冊読めなかった。貧血症状に近い気がする。今日は幾分良くなった。

 

この本は以前読んだ『シナリオ・プランニング』に似た内容かと思っていたが、似ている点とそうではない点があるようだ。共通点は、どちらの本も「行動」を支援する方法を紹介していること。異なる点は、『シナリオ・プランニング』では、未来は現在の延長線上にあるわけではなく、 今ある情報だけから未来を予測してはならないと強調していたが、この本では、現在ある情報を集め、そこから未来を予測しようとしている点だ。主張が真逆である。

この本で紹介されるのは「競合インテリジェンス (Competitive Intelligence, CI) の手法だ。インテリジェンスとは「判断・行動のために必要な知識」である。まずマネジメントにインタビューして、経営判断に必要な情報を引き出す。次に情報(インフォメーション) を収集、分析、体系化して、ある傾向が見られるのはなぜなのか仮説(シナリオ)をつくる。最後にそれを整理して、マネジメントの判断・行動を可能とするまでの情報に仕上げる。

これだけ見ると、マネジメントを相手にする人びとに限らず、誰もが日常的にこなしていることだと思う。上司が必要な情報を把握し、上司が判断・行動できるように情報整理し、報告・連絡・相談するのは部下の基本だ。

面白いのは、「早期警戒」という考え方だ。CIはマネジメントが必要だと感じている情報をインタビューで聞き出すところから始まるが、自社の市場地位に影響するにもかかわらず、マネジメントが必要性自体に気づいていない情報がある。当然インタビューでは出てこない。これをどう作り出すか。

出発点は孫子兵法の「彼を知りて己を知れば百戦して危うからず」の「己を知る」の部分だ。自社を徹底的に分析することで、自社の有利な点と不利な点を見極めるのが、早期警戒につながる。

 

この本を読んでいくと、さまざまなインテリジェンス手法が一冊の文庫にまとめられている。著者がインテリジェンスの創始者達が提示しているやり方に心酔しているのが伝わってくる。一方、それをどう日本社会に応用するのかとういう点がやや弱い印象を受けた。より詳細なことについては、参考文献(もちろん文庫では済まない分量だ)をあわせてあたるべきだろう。