コーヒータイム

日々読んだ本の感想。時々日常。

『潜行 -地下アイドルの人に言えない生活』(姫乃たま著)を読んだ

最初に姫乃たまという名前に触れたときのことは、覚えていない。私はアイドルにあまり興味がない方で、AKB48全盛時代でさえ神7の名前をすべて言えなかったほどだ。その私が地下アイドルに興味を持ちはじめたのは、ひとえに姫乃たまに興味をもったからだと思う。

なんていうか、姫乃たまは「高校時代の友達にいそうな」女の子だ。彼女の文章を初めてちゃんと読んだのは、ネットニュースで目に触れた「姫乃たまの耳の痛い話」だった。この本でも同じだ。そこで描写されていた地下アイドルの女の子達は、アイドルというキラキラしたイメージとはかけ離れた、隣の女の子という印象だった。彼女達のアイドル生命の一コマを切り出した姫乃たまの文章は、マウンティングもせず自己卑下もせず、同じ目線から地下アイドルの喜怒哀楽を表現していた。それがひどく印象的で、姫乃たまの文章に目を通すようになった。

「耳の痛い話」は、この本にも一部取り上げられている。いきなり枕営業から始まって、破れたパンストを3万円で売る、元トップアイドルが人気凋落して名前さえ覚えてもらえなくなる、パパ活を始める…と、超えられない壁のように立ちはだかる現実を、姫乃たまは丁寧に文章に起こしている。アイドルシーンでの人気発生と人気凋落を、姫乃たまはみつめながら文章におこしてゆく。まるで友達が語りかけてくるような、そんな不思議な魅力にさせられる一冊。