コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

【おすすめ】『アイデア大全』(読書猿著)を読んだ

 

アイデア大全

アイデア大全

  • 作者:読書猿
  • 発売日: 2017/01/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

実用書を読んでもやもやすることがよくある。「この方法に従うだけでうまくいくのならとっくにみんなうまくいっているはずなのに、実践はどうしてこんなに難しいのだろう」だ。

このため私は実用書ではなく「実践書」を探すように心がけているのだが、意図的にある方法を使って、うまくいったことといかなかったことを分析した本は案外見つけにくい。たいていうまくいったことを強調しすぎて、苦労話は行間に忍ばせるか、その逆かのどちらかだ。

 

この本を手にとったのは、「実践書」を探しているさなかのことだった。

著者は正体不明、博覧強記の読書家で、メルマガやブログなどで活動し、ペンネームは「読書家、読書人を名乗る方々に遠く及ばない浅学の身」という意味だという(司馬遼太郎に近い発想だ)。

この本自身は、アイデアを産むための48技法を過去現在、縦横無尽に関連付けながら紹介しているもので、「実践」までは足を踏み入れていないが、紹介されている技法はどれも知恵に満ちながら遊び心満載で、やってみようかという気にさせるなんとも不思議な本だ。

 

すべてを紹介することはできないが、私が今すぐにでも取りかかるべきは「31. 対立解消図(蒸発する雲)」だ。なぜなら、私はこの章を読み始めたときにいいようのない不安を覚え、この技法を使いたくないと思ったから。それは無意識のうちに【この技法を使えばその先にあるものは今の自分を変えることになる】と直感したからに他ならない。

私という人間は面白いもので、二番目に必要なものはすぐにそれとわかってやりたがるにもかかわらず、一番必要なもの、これまでの考え方や価値観を変えてくれるものはなぜか必死で回避しようとするのだ。【逆にいうと、逃げようとあがくこの感覚に気づけば、自分が逃げ出そうとしているこれこそが一番必要なものだとわかる。この感覚に打ち勝って、手をのばせるかが勝負になる。】