コーヒータイム

日々読んだ本の感想。時々日常。

「本当の大人」になるための心理学』(諸富祥彦著)

この本では「今の日本社会では「いつまでも若々しくあること」といった外的な活動性ばかりに価値が置かれて、「中高年期における人格的成長・成熟」を重視する価値観が育まれてこなかった」と述べられている。

これには少し首をかしげた。外面重視はある程度仕方がない。外面は見ればわかるけれど、人格的成長・成熟は時間をかけて付き合ってみなければわからないからだ。それに人格的成長・成熟を重視する価値観が育まれていないわけでもないと思う。ある程度の年齢に達した人間、特にある程度社会的地位が高い人間は、それにふさわしい、自制の行き届いた落ち着きある言動を求められる。もし人格的成長・成熟とは違う価値観があるとすれば、美魔女ブームのように「年相応に見られないこと」が良い、返していえば「年相応の外見では努力が足りない」という根強い社会的風潮が生じたことだと思う。

 

一方、この本で取り上げられている、成熟と未熟の判断基準はかなり役立つ。いくつか抜き書きしておきたい。

未熟な人は他人にわかってもらうこと、他人にリスペクトされることを当然のように求める。わかってほしいという気持ちが強ければ強いほど未熟なのだと考えてもらえばいい。成熟している人は他人に求めなくても、自分で自分を認めているから、自分一人で立っていられる。

心が未熟な人というのは万能感にあふれた人であり、代表的な考え方は「努力していれば人は理解してくれて当然」というもの。しかしもちろん現実的にはそうじゃない。「自分は万能ではない」「すべては思い通りにはいかないものだ」ということを受け入れていくのが成熟するということ。

真に成熟した大人と、未熟な人との一番の違いは、承認されることが自己価値感を保つためにマスト(不可欠)か否かである。