コーヒータイム

日々読んだ本の感想。時々日常。

蒼穹の昴(4) (浅田次郎著)

 

蒼穹の昴(4) (講談社文庫)

蒼穹の昴(4) (講談社文庫)

 

清帝国の断末魔をのせて、登場人物それぞれの運命は疾走する。ついに政権から離れることを決心した西太后、古き国法を変えんと理想を燃やす康有為(カン・ヨウウェイ)とその同志、北洋軍を掌握した袁世凱(ユアン・シーカイ)。歴史上名を残した人物達が次々登場し、あるいは嘆きを、あるいは叫びをあげながら滅びゆく清国のさなかで生きる。主人公のひとり梁文秀(リャン・ウェンシュウ)は清国を離れて日本に亡命し、春児(チュンル)は西太后のそばにとどまる。

時代そのものの物語があまりにも濃く、そこにさらにフィクションを被せようというのだから、いささか急ぎ足で物語展開を進めなければならなかったような感じはある。天命ある天子のみが手にすることができるという龍玉も、最後まで昔話の中にしか登場せず、物語は続編を思わせるような終わり方をする。実際『蒼穹の昴』はシリーズ第1作であり、この後は『珍妃の井戸』『中原の虹』と続いていき、そこには本作の人々も再登場する。

 

第4巻まで読んできて、なんだか物足りないと感じた。

歴史小説の難しさは、結末がすでにわかっていることだ。だからその途中で小説の魅力を盛り上げなければならない。歴史上の人物の悲喜こもごもだったり、架空の人物を加えて盛り上げたり、といった工夫が必要になるだろう。

だけどこの小説では少し急ぎすぎていて、途中で歴史の教科書を読んでいる気がしてきた。もっと登場人物の心情を細やかに書きこんだほうが私は好きだ。とはいえこれでも充分面白い。