コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

英語を通して日常を見るとこうなる『世にも面白い英語』

日本語に、主に漢文由来の文章的表現や、くだけた口語表現とがあるように、英語にはラテン語由来の難しい単語や、ふだん使うやさしい単語とがある。この本はふだん使う英語表現の中から、人生、動植物、色彩、数字などのテーマごとに面白い表現を集めたもので、読んでいてクスッと微笑みたくなるものばかり。知的好奇心のみならず英語も上達するすぐれものだ。

たとえば以下の表現。日本語では新たな門出と言うところを、英語では新たな1ページを開くと表現する。

彼は " I’ve decided to turn over a new leaf."と続けた。「新たな人生を歩み出す」という意味だ。

あるいは深夜残業時に「もう切り上げよう」というとき。この表現を知っていれば使い勝手がいい。

彼は時計を見て、私にLet’s call it a day. と言ったことが、今も忘れられない。直訳すると「それを 1日と呼ぼう」だが、これは「今日は、もう(仕事は)終わりにしよう」という意味だ。

この本のすぐれているところは、言葉の語源についてよく調べてあること、言葉が著者の耳に止まったエピソードを紹介しているためイメージしやすいこと、そして、言葉はその国の文化に基づいていることをふまえて文化背景をところどころで紹介していることだ。中でも私に強烈な印象を与えたのは、あるジャーナリズムがニューヨークの本社ビルの地下に自家発電の輪転機をもっていること。著者は災害に備えてのことかと想像したが、アメリカの出版社エージェントの答えはこうだった。

 「いや、テレビ局や新聞社、出版社などのマスコミは、時として政府の方針とまったく正反対の論陣を張らなければならない。もし、政府が対抗措置として電気を止めてしまったら、どうなるんだ?そのような時でも自らの印刷機によって発行を継続し、freedom of speechを守らなければならないんだ」と言ったことが忘れられない。「言論の自由」を国や政府から与えられるものだと思っていた私は、自らの手で獲得した人々との意識の違いに愕然とした。

つい最近知ったことだが、カメルーンでは2017年頭に政治的紛糾のため、一部地域で3ヶ月にわたりインターネットが遮断されたという。行政機関が麻痺し、銀行システムが利用できなくなり、住民生活にとてつもない支障がでた。

世界を読み解くニュース・サロン:ネットを遮断された「英語圏」の地域は、どうなったのか (1/4) - ITmedia ビジネスオンライン

現代ならば電気よりもインターネットを止めるほうがはるかに効果的であり、それゆえに重大な人権侵害にあたることは誰でも想像付く。その時、自らの権利を守るために立ち上がることができるだろうか?  この章を読んで、そんなことを考えさせられた。

ちなみに私が最近出会った英語表現で一番興味深かったのは “It's time to fight fire with fire.”。いわゆる目には目をという意味だ。