この本を読みながら、初めて体験する感覚にとまどっていた。「あれ、私もうコレやってるわ」「私もうコレ知ってるわ」という感覚。
すべての仕事は必ずやり直しになること。
どうせやり直しになるのだから細かいことはおいておき、まず全体像を描くほうがいいこと。8割方完成したプロトタイプを作り、上司に見せるとうまくいくこと。
やりたいことをやるためには、やりたくないことを速攻で終わらせるしかないこと。
すべてこの本に書いてあることで、どれもすみやかに腹落ちした。社会人生活が長くなるにつれて、いつの間にかこれらの方法を身につけていた。違う、身につかざるをえない上司のもとで仕事していた。
上司は鬼軍曹並みに厳しい。叱責がきつい。とてつもなく経験豊富で頭の回転が速いから、私が想像だにしなかった問題点を光速で指摘されて、それこそすべての仕事は必ずやり直しさせられる。最初の方向性が間違っているときが一番悲惨だ。それまで作ったものを容赦なく全部破棄させられ、一から作り直しになる。どれほど締切が厳しくても、上司は低品質の成果物がチームからアウトプットされることを絶対許さない。
いつの間にか私は、最初から細かく作りこむことをあきらめた。短期間で粗削りのプロトタイプを作って、とにかく方向性が間違っていないことを確認するようになった。それこそこの本にある通りに。
そうであれば、この本に書いてある時間術はきっと、将来私が身につけることになる方法だ。
この本の時間術の真髄は「ラストスパートを絶対かけないこと」「仕事の8割を2割の時間で終わらせて、残り時間は流しながら品質向上に努める」こと。最初の8割はプロトタイプだ。こういうものを作ろうとしていると上司に説明するための成果物。その後進む方向性を間違えないための道標。著者はこのように表現する。
数年後、私がもう一度本書を読み直したときに「この本に書いてあることはすべて腹落ちして習慣付けた」と、胸を張れるようになろう。と、ブログで決意表明してみる。