コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

パライバ・トルマリンが欲しくなる『ももこの宝石物語』

さくらももこさんが去年永眠された。

ちびまる子ちゃん』を読んだのは小学生の頃。まる子が給食の塩もみ野菜をきらって「バッタだってもうすこしいいもの食べてるよ」と言いながら残したところがかわいくてほのぼのしていた。

さくらももこさんはエッセイ集も数多く残している。これはそのうちの一冊。ある日偶然見つけた『宝石の常識』を見つけたさくらももこさんは、そこに載っていたパライバ・トルマリンの「海の青とも空の青とも言えないけれどもどこかで見たことあるような、青に少しだけ緑を混ぜた透明にした美しい青色」に一目惚れしてしまう。こうして彼女の宝石物語が始まった。

さまざまな宝石との出会いやあこがれを書いたエッセイを読むうちに、自分自身の宝石物語を思い出していた。

わたしが初めて手に入れた宝石はオパール。父のオーストラリア土産だった。小さいながら輝きが美しく、今でも大切にしまっている。

その次はアメジスト。中国旅行中にとあるお土産屋でペンダントトップに加工された小さなアメジストを見て、上品な美しい紫色がとても気に入り、親に頼みこんで買ってもらった。日本円で5000円位だったと思う。ペンダントトップだからチェーンを合わせなければならないのだが、そんなお小遣いはなく、身につけたのは片手で足りるくらいだった。二十年以上しまいっぱなしだったが、しまいには売り払ってしまった。

わたしが縁のあった宝石はこのくらい。わたしのアクセサリーは、宝石よりも、貴金属を繊細に加工したものが多い。

母は小さなダイヤモンドがついたペンダントを持っていたが、チェーンだけが本物の黄金で、ダイヤモンドは偽物だと聞いた。一万円位のものだからまあ当然ではある。ほかには冠婚葬祭用の真珠のネックレスがあるくらいで、我が家は宝石とはそれほど縁がない。

最近惚れこんだのは『宝石の国』の主人公、フォスフォフィライト。透き通るような緑色が美しい宝石だが、希少性が高いうえ、脆すぎて装身具向きではないためほとんどお目にかかれない。『宝石の国』とTASAKIのコラボで出品した首飾りは324万円ととんでもない値段。ほんとうに一期一会であるが、手にする日は来るのだろうか。