コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

教養ある英語を書くための必読書『Elements of Style 2017』

 

The Elements of Style

The Elements of Style

 
Elements of Style 2017 (English Edition)

Elements of Style 2017 (English Edition)

 

Twitterでたまたま “The Elements of Stile” という英語文章術のバイブルとも呼ぶべき本があることを知った。100年以上前に出版されたにもかかわらず、今なお英語圏で広く愛用されていると聞き、これは是非読んでみなければと思った。

さすがに古すぎて一部内容が現状にそぐわなくなってきている(らしい)ので、オリジナルに手を加えた改訂版も出ている。今回読んだのは改訂版の方。なお原書はインターネットで無料公開されている。

The Elements of Style by William Strunk - Free Ebook

 

この本を読みはじめたばかりのころは退屈するかもしれない。 “A, B and C” と “A, B, and C” のどちらが好ましいかというのは、特に非ネイティブにはどうでもいい違いにみえる。

だが、わたしはアメリカの出版物で、こんなささいな違いを大真面目に議論するシーンにしばしばぶつかる。ジェフリー・ディーヴァー作品では警察関係者が「セミコロン “;” を完璧に使える」という言い方で連続殺人犯が高等教育を受けているとほのめかしている。投資銀行の内幕を暴いたノンフィクションでは、カンマ “,” の位置をめぐって弁護士同士が胸ぐらをつかみあう寸前の大喧嘩になっている。

こういう一見どうでもいい違いは、いわゆるハイスペックエリートの世界ではとたんに重要になる。”,” や “;” を使いこなせるかどうかが、その人間の教育レベル、一緒に仕事をしても足を引っ張らないかどうか、などの判断基準に(恐ろしいことに)なってしまう。だからこそこのような本は長く読み継がれてきたのだろう。