コーヒータイム

日々読んだ本を紹介しています。英語や中国語書も時々。面白そうだと感じる本があれば、ぜひあなたも読んでみてください!

[昔読んだ本たち]ノンフィクション編

エボラ出血熱の恐怖を描いた傑作ノンフィクション『ホット・ゾーン』を読み返して、昔読んだノンフィクションについていろいろ思い出した。『ホット・ゾーン』を読んだときは、エボラ出血熱に感染した人間がどのように破壊されるのか、事細かく描写しているのがどんな話より怖かった。身体中の内臓が激痛を伴いながら溶け出し、黒ずんだ血となってあらゆる穴から流れ出す感じだろうか。こんな死に方だけはしたくない。

シーツを真っ二つに引き裂いたような音がする。それは肛門の括約筋がひらいて、大量の血を排出した音だ。その血には腸の内層も混じっている。彼は自分の内臓まで壊死させたのだ。

ホット・ゾーン

ホット・ゾーン

 

 

私が初めてちゃんと読んだノンフィクションは、急性骨髄性白血病に侵された少女について書いた『お母さん、笑顔をありがとう!』だったと思う。この本について書いた読書感想文が賞をとったのがきっかけだった。真木というこの少女は白血病で父親を亡くしたあと、自分も白血病だと診断され、容態が悪化して骨髄移植を受けることもできなくなったころにようやくドナーが見つかるという不運さだったが、彼女がいつも明るくふるまい、希望を失わずにいる姿が強調されていた。この本はノンフィクションシリーズの一冊であり、同じシリーズで腎臓病の少女を扱った『母さんのじん臓をあげる!』と、目が不自由な少女と盲導犬の交流を書いた『盲導犬カンナ、わたしと走って!』も読んだ。

 

アメリ同時多発テロが発生したあと、雨後の筍のようにさまざまな本が出版されたが、私が読んだのは世界貿易センターのツインタワーに突入し、北タワーの崩壊に巻きこまれながらも生還した消防士が書いた『9月11日の英雄たち』だった。大きな火災、小さな火災、いつもの火災と戦う平凡な(?)一日を送るはずだった消防大隊司令官リチャード・ピッチョートは、狂ったように黒煙を噴きあげる世界貿易センターをテレビで見たとたん、素晴らしい一日が木っ端微塵にされたことを知った。

ノンフィクションの冒頭は、北タワーの窓のないホールで、空恐ろしい轟音がなすすべもなくリチャードたち消防士の耳を貫いてゆく場面から始まる。

私が恐怖に凍りついたのはあのすさまじい音のせいだった。そのあまりの力。それが私の体のど真ん中を駆け抜けたときの感覚。あんな音をたてるのがいったい全体何なのか、私には想像もつかなかった。

9月11日の英雄たち―世界貿易センタービルに最後まで残った消防士の手記

9月11日の英雄たち―世界貿易センタービルに最後まで残った消防士の手記

 

 

これもアメリカだが、女子体操選手とフィギュアスケート選手の真実を暴いたノンフィクション『魂まで奪われた少女たち』は、読んでいて気分が悪くなった。痩せなければ勝てないという強迫観念にがんじがらめになった少女たちは、絶食し、あるいは食べてすぐ吐くことで細い身体を維持し、手首や足首や腰などあらゆるところに怪我を抱え、激痛をごまかしながら競技に参加する。オリンピックのメダルを獲れればすべてが報われるが、そうでない少女たちはボロボロになった心身を抱えながら去り、長く拒食症に苦しむ一生を送る。果たしてこの状態は健全なのか?  作者は強い疑問を投げかける。

魂まで奪われた少女たち―女子体操とフィギュアスケートの真実

魂まで奪われた少女たち―女子体操とフィギュアスケートの真実

 

 

人間不信になりかねないノンフィクション。英国の精神科医が、警察に協力して、犯行現場から犯人の心理や動機をさぐり、犯人逮捕に役立つ助言をする内容。連続暴行殺人、幼児惨殺、母子殺害など、事件紹介にはぞっとするものがある。

このような活動は今ではプロファイリングと呼ばれているが、当時はまだそのようなことは一般的ではなく、警察も半信半疑で話につきあっている状態だったが、しだいに精神科医と警部に信頼関係ができあがっていく。

ザ・ジグソーマン 英国犯罪心理分析学者の回想

ザ・ジグソーマン 英国犯罪心理分析学者の回想