コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

お金を増やす方法の模範解答集(現在のところ)〜山崎元、大橋弘祐『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』

この本、「難しいことがわからなければこういうふうに返されますよ」の見本なの?なの?

読み始めてから10分で首をかしげたくなった。

たとえばこれ。

日本国債の買い手ってほとんどが日本国民だから、もし日本が国債の借金を返せなくなったら、お金をたくさん刷って、国民に返せばいいの。

それだと結局借金踏み倒されてますよね……?しかもそれやるとお金の価値下がるから、事実上、元本割れでは……?著者も「インフレにはなるだろうね」とすぐあとに書いているし……。

というのが初読時の感想。

けれど「銀行っていうのは、金持ちには投資させて手数料をもらう。貧乏人には借金させて金利をもらう。これが彼らのビジネスモデル。」とか、「72を『利率』で割ると『2倍になるまでにかかるおおよその年数』が出る」とか、良いことも言ってるしなあ……ベストセラーだし……と、とりあえず最後まで読んだ。

最後まで読んだところ、インフレによる価値目減りにもしっかりふれられているし、投資に関わるエッセンスはおさえているけれど、ほんとうに【難しいこと=原理原則】を書かずに、【お金の増やし方=模範解答的な結論】を書いている本だなあという感想。

投資信託は手間もかからないから、君みたいに金融知識が乏しくて、日中に仕事をしている人に合う。」

投資信託を買うポイントは5つある。運用管理費用(信託報酬)の安いものを選ぶこと、販売手数料の安いネット証券で買うこと、毎月分配型を選ばないようにすること、ファンドの資産規模や流動性を確認すること、過去の成績で選ばないこと」

こんな感じでズバリ答えており、受験勉強で求められる模範解答集を読んでいるような気分になってくる。知り合いの会社で確定拠出年金制度を導入したところ、大半の社員が日本国債を購入したらしいけど、この本の影響だったりして。自分で勉強せずに模範解答ばかり求める人こそ、本書でいう〈投資に向かない人〉だと思うのだが。