どうして好きなのかいろいろ考えてみたけど、たぶん、わたし自身、こういう仲間がほしいという理想像がそのまま書かれているからだと思う。
わたしは(自分では)作中の主要登場人物のひとりである羽田千歳に近い立ち位置だと思う。同年代との人付きあいが苦手で、仲間に入ることがなかなかできない子供時代だった。大人になってからも社交辞令だけは上手くなったが性格はあまり変わっていないと思う。
この作品で、羽田千歳が劇団〈シアターフラッグ〉に入団し、主人公のひとりである春川巧と劇団員たちと切磋琢磨し、時には本気でぶつかりながら、しだいに仲間になっていく。それが羨ましくもあり、わたしもこうなれるかもしれないと励まされもする。
シリーズは2巻まで出ている。3巻で完結するはずで、とても楽しみにしていた。
長い間完結編が出なかったけれど、ほかの作品は出版されているから執筆活動自体止めたわけじゃないし、そのうち気が向いたら書くのだろう、まあのんびり待とうとあまり気にしていなかった。
まさか、作者が続編執筆をあきらめていたとは知らなかった。
それも、たぶん読者からの声に心折れて。
このことを知ったのはつい数日前。
どう消化したらいいのかまだわからないけれど、作者がそう決めたのなら、どんなに悔しくてもあきらめきれなくても、あきらめるしかないのだと思う。
このことを知ってから、書店をまわり、まだ持っていなかった有川浩さんの本を何冊も買った。書店で有川浩さんの作品が並んでいるのをながめるうちに、少しだけ慰められた。
インターネット公開記事はいつ削除されるかわからないから、自戒をこめて引用する。わたしもきっと、そのつもりがなくても人を傷つけたことがあると思うから。どう受け取られるか、深く考えないままに発した言葉がたくさんあるから。
私は心無い言い方で求められることが多かった『シアター!』を完結させることを現状で断念しました。
読者さんの声は、一つの作品を殺すことができるのです。
クリエイターの心を殺すことができるのです。
追記
『シアター!』については、新刊を出す度に「こんなもの書いてる暇があったら『シアター!』を出せ!」と仰る方が少なからずおられ、心が折れました。
優しい読者さんも待ってくださっていると懸命に自分を励ましてきましたが、気持ちを立て直すことができませんでした。
どの作品も大事に書いています。それを「こんなもの」と言われ続けて、『シアター!』を書くことはできません。
私は人間なので、心が折れたら自分ではどうしようもないのです。
いつか私が回復できることを私自身も祈っています。
追記2
もう立て直せないと思います。すみません。
『シアター!』を書かない私に価値がないと思われる方は私のことは死んだと思って忘れてください。