コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

怒り(上) (吉田修一著)

怒り(上) (中公文庫) 作者: 吉田修一 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2016/01/21 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (24件) を見る 物語はある夏、八王子のある民家での夫妻殺人事件から幕を開ける。容疑者の山神一也は、被害者宅に「怒」と血文…

さよなら渓谷 (吉田修一著)

さよなら渓谷 (新潮文庫) 作者: 吉田修一 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2010/11/01 メディア: 文庫 クリック: 12回 この商品を含むブログ (37件) を見る 吉田修一は、尊敬する友人が大絶賛している作家だ。これまではあまり手に取らなかったが、ふとした…

貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記 (柳美里著)

初めて柳美里の作品を読んだのはベストセラー「命」を母親が買ってきたときだ。最初の方に、ガンを患った東由多加のためにいわゆる民間療法で高額な食品類を山のように買いこんでいること、常に原稿書きに追われまったく余裕がないこと、妊娠初期なのに妊娠…

プロアクティブ仕事術 コンサルタントが3年目までに身につける仕事をデザインする方法 (石井和幸著)

一言でいえば本書は、プロジェクトマネジメントのための指導書だ。 まずは私自身に、この本の冒頭でとりあげられている5つの質問をしてみよう。 (Q1) 仕事の目標、目的はなんでしょうか? (A1) 今取り組んでいる仕事では明らかにされている。 (Q2) 仕事の手…

30歳から読む論語 「自分磨き」のヒントが必ず見つかる!(中島孝志著)

論語本文を読むのもいいけれど、他人が論語をどう読んでいるのか知るのも面白いと思って選んだ本。著者は孔子のことを「この人と話をしていると、ものすごく得をした感じがする人」と言っており、論語を愛読している。 著者はビジネスマン、それもサラリーマ…

孔子 《論語 第十二篇 顔淵》

有名な「己の欲さざるところは人に施すなかれ」など、名言が多く入った篇。順番飛ばして読んでみた。 12-01 顏淵問仁。子曰。克己復礼為仁。一日克己復礼。天下帰仁焉。為仁由己。而由人乎哉。顏淵曰。請問其目。子曰。非礼勿視。非礼勿聴。非礼勿言。非礼勿…

孔子 《論語 第一篇 学而》

孔子の「論語」を読んでいく。全20篇。それぞれは短いが内容が深奥だ。気が向いたときに1篇ずつ、好きな順番で読んでいこうと思う。 01-01 子曰。学而時習之。不亦説乎。有朋自遠方來。不亦楽乎。人不知而不慍。不亦君子乎。 子曰く、学びて時にこれを習う。…

パティシエ フランス菓子職人の仕事 (永井紀之著)

タイトルのようにフランス菓子紹介というより、お菓子を通して見たフランス文化、日本文化との違いを紹介した一冊。著者は料理学校卒業後、フランス菓子に造詣深い先輩シェフに影響されて単身フランスに渡り、言葉、文化、すべてが違うフランスのレストラン…

離れたくても離れられない人との距離の取り方 (石原加受子著)

石原加受子氏の著書は何冊か読んだことがある。内容はわかりやすいものが多かったのだが、この本に書かれていることは理解が難しかった。 よくある上司と部下のやりとりなど、わかりやすい場面設定をしながらその時の心理状況を説明しているのに、頭にするす…

愛着障害 子供時代を引きずる人々 (岡田尊司著)

愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書) 作者: 岡田尊司 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2011/09/16 メディア: 新書 購入: 23人 クリック: 84回 この商品を含むブログ (47件) を見る ここしばらく心理学関係の本をよく読んでいる。自分の中にある…

恋愛障害 どうして普通に愛されないのか? (トイアンナ著)

恋愛障害 どうして「普通」に愛されないのか? (光文社新書) 作者: トイアンナ 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2016/06/16 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 古い記憶がある。私が高校受験を控えた冬だ。 インフルエンザの予防接種を受けなさいと…

ニッポンの貧困 必要なのは「慈善」より「投資」 (中川雅之著)

この本は日経BP社から出ていることに大きな意味がある。貧困対策を進めるべき理由を、倫理や善意ではなく、できる限り経済合理性に求めようという試みがある。 例えばこんなケースを考えよう。ある人が20歳から65歳まで生活保護を受給した場合、政府が負担す…

『人工知能 機械といかに向き合うか』(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部)を読んだ

人工知能―――機械といかに向き合うか (Harvard Business Review) 作者: DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2016/09/30 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を見る やがて来る…

高学歴なのになぜ人とうまくいかないのか (加藤俊徳著)

このテーマに触れるとき、私はいつもある会話を思い出す。 ある春先の夜、私が通勤電車に揺られていると、背中側から甲高い女性の声が聞こえてきた。若々しく、大学生だろうと思われた。彼女はそばの友達に、バイト先に高学歴なのに使えない新人が入ってきた…

ゲーテ《ファウスト 第2部》

第2部は第1部から25年後、ゲーテの死の後に公表された。 第1部は、ファウストとグレートヒェンの恋を中心に現実世界でのできごとを綴っているため読みやすかったが、第2部は現実世界を離れてギリシャ神話やギリシャ史詩の世界に遊び、精霊達、美女ヘレネ…

ゲーテ《ファウスト 第1部》

「時よ止まれ。お前は美しい」 ファウストは読んだことがなかったけれど、作中の有名な言葉は知っていた。まさか、この言葉を口にした瞬間、契約によりファウストの魂が悪魔メフィストのものになることになっているとは思わなかったが。 冒頭「天空のプロロ…

その働き方ムダですよ-コスパを高める仕事術(おちまさと著)

「ムダ」とはなにか著者ははっきり書いていないが、読み取るに「あるものごとにお金もしくは時間を投資したが、期待していたほどリターンを得られなかったとき、そのものごとはムダである」という意味らしい。一石二鳥、それどころか一石多鳥を狙うにはどう…

【おすすめ】『異文化理解力ー相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』(エリン・メイヤー著)を読んだ

異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 作者: エリン・メイヤー,田岡恵,樋口武志 出版社/メーカー: 英治出版 発売日: 2015/08/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 読み始めてすぐに買ってよかった、もっと…

ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室 (キャスリーン・フリン著)

子供の頃、なぜかレシピ本を眺めるのが好きだった。うちには4冊レシピ本があった。3冊はいわゆる基本のおかず、1冊は洋食だった。私はこの洋食レシピばかりめくり、他の3冊には目もくれなかった。うちの食卓に洋風料理が出ることは一切なかったので、マ…

【おすすめ】『苦境(ピンチ)を好機(チャンス)にかえる法則』(ライアン・ホリデイ著)を読んだ

苦境(ピンチ)を好機(チャンス)にかえる法則 作者: ライアン・ホリデイ 出版社/メーカー: パンローリング株式会社 発売日: 2016/09/17 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 同じ著者による本の2冊目。 THE OBSTACLE IS THE WAY - 障害は道に…

【おすすめ】エゴを抑える技術 (ライアン・ホリデイ著)

エゴを抑える技術 (フェニックスシリーズ) 作者: ライアン・ホリデイ,金井啓太 出版社/メーカー: パンローリング 発売日: 2016/12/10 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 何回でも己を戒めるために読み返すべき名著。 EGO IS THE …

最も伝わる言葉を選び抜く コピーライターの思考法 (中村禎著)

最も伝わる言葉を選び抜く コピーライターの思考法 作者: 中村禎 出版社/メーカー: 宣伝会議 発売日: 2017/02/28 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る この本は、35年にも及ぶコピーライター経験をもつ著者が、これから広告コピーを学ぶ人…

『勝つための状況判断学 軍隊に学ぶ戦略ノート』(松村ツトム著)

勝つための状況判断学 (PHP新書) 作者: 松村劭 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 2013/04/19 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る すぐれた戦争論の書。著者は喝破する。世界の覇権構造の「現状維持」と「現状打破」のいずれを容認するのかが…

FinTechの衝撃 金融機関はなにをすべきか (城田真琴著)

FinTechの衝撃 作者: 城田真琴 出版社/メーカー: 東洋経済新報社 発売日: 2016/08/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 「銀行の機能は必要だが、銀行は必要か?」(マイクロソフト創設者 ビル・ゲイツ) 「グーグル、フェイスブックが今後…

ニュートレーダー×リッチトレーダー 完全プラス期待システム (スティーブ・バーンズ著)

昨日読んだ本の続編。こちらは投資家心理にスポットをあてている。 あらゆるトレーダーにとって最も危険な瞬間は、10%以上の投資資産が目減りし、即座にそれを取り戻したいと思う時だと著者はいう。口座残高が減ることによる心理的痛み、傷つけられた自信と…

ニュートレーダー×リッチトレーダー 株式投資の極上心得 (スティーブ・バーンズ著)

この本は「金持ち父さん貧乏父さん」に似た形式をとっている。新米トレーダーが近所に住む金持ちトレーダーを訪ね、彼から色々教えてもらいながら自分のトレーディングシステムを作り上げるまでの過程を小説風に書いている。 この本でとりあげている「ダーバ…

オー!ファーザー (伊坂幸太郎著)

初の伊坂幸太郎小説。高校生の由紀夫に、父親が四人いるというとんでも設定。ギャンブル好きでアンダーグラウンドな知り合いもいる鷹、博識な悟、体育教師で格闘技好きの勲、女性の扱いに長けている葵。彼らは由紀夫の母親である知代に四股をかけられていた…

中国絶望工場の若者たち (福島香織著)

中国が超格差社会であることはすでに広く知られているが、その中でも事実上の身分制度ともいうべき農民戸籍に属しながら、都会で生まれ育ち、あるいは高い教育を受け、つかみたい夢と現実の社会制度のあいだでもがいている層がある。それがこの本で取り上げ…

【おすすめ】『老舗を再生させた十三代がどうしても伝えたい 小さな会社の生きる道』(中川淳著)を読んだ

老舗を再生させた十三代がどうしても伝えたい小さな会社の生きる道。 作者: 中川淳 出版社/メーカー: CCCメディアハウス 発売日: 2013/08/07 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る おもしろい。要約するのはもったいない、全文繰返し読みたい、そ…

江戸の卵は1個400円!? モノの値段で知る江戸の暮らし (丸田勲著)

江戸時代の日常生活が身近に感じられる一冊。羅宇屋(煙管専門の修理屋)など今はもうあまり見られない商売から、鰻蒲焼売りなど今でもよく見る商売までなんでもござい。そんな中でも面白い値段がついていたものをいくつか。 米: 一升(約1.5 kg) 1200円-1800円…