コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

2020-01-01から1年間の記事一覧

【おすすめ】全身全霊でおすすめする半自伝小説〜G.D.ロバーツ《シャンタラム》

シャンタラム(上) (新潮文庫) 作者:グレゴリー・デイヴィッド ロバーツ 発売日: 2011/10/28 メディア: 文庫 シャンタラム(中) (新潮文庫) 作者:グレゴリー・デイヴィッド ロバーツ 発売日: 2011/10/28 メディア: 文庫 シャンタラム(下) (新潮文庫) 作者:グ…

あなたはどれほど知っている?〜谷本真由美『世界のニュースを日本人は何も知らない』

世界のニュースを日本人は何も知らない2 - 未曽有の危機の大狂乱 - (ワニブックスPLUS新書) 作者:谷本 真由美 発売日: 2020/12/09 メディア: Kindle版 世界のニュースを日本人は何も知らない (ワニブックスPLUS新書) 作者:谷本 真由美 発売日: 2019/10/09 メ…

現状分かっていることを整理し、今後起こるかもしれないことを予測する〜花村遼、田原健太朗『新型コロナ 収束への道』

新型コロナ 収束への道 (日経プレミアシリーズ) 作者:花村 遼,田原 健太朗 発売日: 2020/11/10 メディア: 新書 実は著者のひとりと面識がある。十年以上前のこと、向こうはとっくに忘れているはずだ。著書が出ることを近況で知り、面白そうだから買ってみた。…

新型コロナについて自分で考え始めるために〜峰宗太郎,山中浩之『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』

新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実 (日経プレミアシリーズ) 作者:峰宗太郎,山中浩之 発売日: 2020/12/09 メディア: Kindle版 とても楽しみにしていて、発売日当日早朝に電子書籍をポチった本。 本書は「日経ビジネス電子版」の「編集Yの 話が長…

ロシア皇帝を意のままにしたという農民〜ラジンスキー『真説 ラスプーチン』

真説 ラスプーチン 上 作者:エドワード ラジンスキー 発売日: 2004/03/27 メディア: 単行本 真説 ラスプーチン 下 作者:エドワード ラジンスキー 発売日: 2004/03/27 メディア: 単行本 米原万里さんの書評集『打ちのめされるようなすごい本』の中で紹介され…

人工知能の可能性について、世界最大手のIT企業のトップが考えていること〜リ・ゲンコウ『智能革命』

本書は中国最大の検索エンジンであるBaidu(百度)創業者、会長兼最高経営責任者である李彦宏/リ・ゲンコウ、ロビン・リーが、みずからが考える人工知能の来し方行く末についてまとめた本。 共同執筆者に陸奇/ルー・チー(執筆当時のBaidu最高執行責任者、…

法治社会ははるか遠くに〜張平『凶犯』

本書も米原万里さん『打ちのめされるようなすごい本』で紹介されたもの。絶賛されているので読んでみた。 小説自体はとても面白い。中村医師が『アフガニスタンの診療所から』で、アフガニスタンの内情について、古くからの部族法や慣習法に従うのがふつうで…

想像力を求められる読書〜中村哲『アフガニスタンの診療所から』

米原万里さんの書評集『打ちのめされるようなすごい本』の中でとりあげられていた中村哲医師の著者『アフガニスタンの診療所から』は、ずいぶん前に買ってそのまま積読状態だったが、この機会にとうとう読んだ。 本書は中村医師の十数年にわたるパキスタン・…

ロシア、東欧、中央アジアのことを知るために読む本を探す〜米原万里『打ちのめされるようなすごい本』

著者の米原万里さんは、日本共産党常任幹部会委員の娘として生まれ、1959年、父親のチェコスロバキア赴任に伴って渡欧、9歳から14歳まで、外国共産党幹部子弟専用のソビエト大使館付属学校に通ったというめずらしい経歴の持ち主。ロシア語同時通訳の仕事…

未来はどういう社会になるかを想像して金儲け〜S.ヘック&M.ロジャーズ『リソース・レボリューションの衝撃』

現在進んでいるIT主導の産業革命は、わたしが身をおくエネルギー業界のゲームルールを根本からひっくり返そうとしている。エネルギー業界にこの先何が起こりそうか、その中でわたしはどのようにキャリアを築けばいいか、ヒントを得るためにさまざまな本を手…

すぐそこまできている未来〜日高洋祐他『MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ』

なぜわたしはこの本を読むために時間を使うのか。 ①世界の見方を根底からひっくり返す書物、 ②世界の見方の解像度をあげる書物、 ③好きだから読む書物 この本は②。現在進んでいる「全産業のゲームチェンジ」は既定路線であり、なにが起きているのか、自分が…

読者の声〜有川浩〈シアター!〉〈もう一つのシアター!〉

有川浩脚本集 もう一つのシアター! (メディアワークス文庫) 作者:有川 浩 発売日: 2011/05/25 メディア: 文庫 シアター! (メディアワークス文庫) 作者:有川 浩 発売日: 2009/12/16 メディア: 文庫 シアター!〈2〉 (メディアワークス文庫) 作者:有川 浩 発売…

【おすすめ】読まずに死ねない〜ドストエフスキー《カラマーゾフの兄弟》

なぜわたしはこの本を読むために時間を使うのか。 ①世界の見方を根底からひっくり返す書物、 ②世界の見方の解像度をあげる書物、 ③好きだから読む書物 この本は③…と言いたいところだが、①②についても期待している。東大教師が新入生に薦める100冊では堂々一…

財政破綻が起きたとき、わたしたちの暮らしはどうなるか〜小林慶一郎『財政破綻後』

なぜわたしはこの本を読むために時間を使うのか。 ①世界の見方を根底からひっくり返す書物、 ②世界の見方の解像度をあげる書物、 ③好きだから読む書物 このうち、この本は①②の中間にあたる。人口減少時代に人口増加を前提とした社会制度をひきずり、その結果…

【おすすめ】ひとはいつでも合理的、ではない〜ダニエル・カーネマン《ファスト&スロー》

そろそろ人生も中盤戦にさしかかってきたところで、本を読むということを考えなおしてみた。読みたい本がたくさんある。優先順位をつけなければ、読むべき本を後回しにしてしまうかもしれない。それでは余りにもったいない。 だから、 ①世界の見方を根底から…

SF小説、謎解きミステリー、哲学的思考実験としてもすばらしい〜劉慈欣『三体』

三体 作者:劉 慈欣 発売日: 2019/07/04 メディア: Kindle版 三体Ⅱ 黒暗森林(上) 作者:劉 慈欣 発売日: 2020/06/18 メディア: Kindle版 三体Ⅱ 黒暗森林(下) 作者:劉 慈欣 発売日: 2020/06/18 メディア: Kindle版 わたしはめったにSFを読まないが、この話…

[昔読んだ本たち]コバルト文庫40年カタログ

コバルト文庫40年カタログ コバルト文庫創刊40年公式記録 (集英社学芸単行本) 作者:烏兎沼佳代 発売日: 2018/02/16 メディア: Kindle版 コバルト文庫。懐かしい。 中学校の図書館、地元の公立図書館、なぜかどちらもそこそこシリーズがそろっていた。氷室冴…

【おすすめ】アガサ・クリスティ版毒母〜《Absent in the Spring(春にして君を離れ)》

Absent in the Spring 作者:Christie, Agatha 発売日: 2017/06/15 メディア: ペーパーバック 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) 作者:アガサ・クリスティー 発売日: 2004/04/16 メディア: 文庫 最近読んだ『毒母ですが、なにか』のイギリス…

タイトル泣かせ〜阿部智里『楽園の烏』

八咫烏シリーズの新刊が出ると知り、すぐに買おうかどうか迷ったけれど、結局買い、一気に読みきった。 本書は大人気和風ファンタジー〈八咫烏シリーズ〉の第二部第1巻。八咫烏とは人の姿形と鳥形を取ることができる〈神の御使〉。人間世界と幾つかの門で繋…

中学生になったら読んでみよう〜梅津信幸『あなたはネットワークを理解していますか?』

サイエンス・アイ新書というシリーズを見つけて、面白そうと思い、適当に手に取った一冊。「はじめに」を読んだだけで、きっと正解だと思った。 どのような技術にも、それが生まれた現場にはかならず、不便な現状に思い悩み、寝る間を削って理由を考え、何百…

母親が与えたものと娘が欲したものが、すれ違うとき〜山口恵以子『毒母ですが、なにか』

最後の一文まで読んで思ったこと。 「『アラビアの夜の種族』『82年生まれ、キム・ジヨン』より前に読めばよかった……」 小説のプロローグは1972年8月26日。 男女の双子を産み落とした直後、主人公のりつ子がもらしたモノローグは、小説のタイトル『毒母です…

美味しいエッセイをめしあがれ〜米原万里『旅行者の朝食』

旅先でのごはんは、海外・国内問わず旅行の楽しみのひとつで、美味しいものをつづったエッセイを読むとそれだけで現地までとんで行きたくなるけれど、本書はまさにそれ。 お菓子好きのわたしとしては、本書に登場するハルヴァを食べてみたくてしかたがない。…

お金を増やす方法の模範解答集(現在のところ)〜山崎元、大橋弘祐『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』

この本、「難しいことがわからなければこういうふうに返されますよ」の見本なの?なの? 読み始めてから10分で首をかしげたくなった。 たとえばこれ。 日本国債の買い手ってほとんどが日本国民だから、もし日本が国債の借金を返せなくなったら、お金をたくさ…

家族のあり方が国家政策に定められるということ〜メイ・フォン『中国「絶望」家族』

中国の一人っ子政策は、文化大革命によって経済学者・社会学者・人口学者達が粛清され表舞台から排除されたのちに、国防部門のロケット科学者によって推しすすめられたーー。 ここまで聞いたらもう、この政策がいかなるものか想像付くであろう。 本書はその…

【おすすめ】コンピュータサイエンス専攻必携の教科書〜パターソン&ヘネシー『コンピュータの構成と設計(第5版)』

コンピュータの構成と設計 第5版 上・下電子合本版 作者:デイビッド・A・パターソン 発売日: 2016/10/26 メディア: Kindle版 パタヘネの愛称で知られる、コンピュータサイエンス専攻必携教科書。非常にわかりやすく書いてあるため、想像力をフル回転させれば…

【おすすめ】社会生活のあらゆるものは「システム」の一部である〜C.クリアフィールド&A.ティルシック『巨大システム失敗の本質』

巨大システム 失敗の本質: 「組織の壊滅的失敗」を防ぐたった一つの方法 作者:クリス・クリアフィールド,アンドラーシュ・ティルシック 発売日: 2018/11/30 メディア: 単行本 必読。システムというものがコンピュータの中だけではなく、電力、ガス、上下水道…

不動産投資を考えるならば失敗例も知っておきたい〜小林大貴『知らないと取り返しがつかない 不動産投資で陥る55のワナ』

仕事柄「どういう事故や失敗が起こりうるか」という視点からものを見ることが多い。本書も、不動産投資での失敗例について知るために読んだ。 著者は住友不動産出身で、現在は賃貸用不動産経営と不動産投資コンサルタントをメインに活動している。住友不動産…

お金のことを学ぶのは恥ずかしいことではない、早ければ早いほど良い〜ボード・シェーファー『マネーという名の犬』

家を買いたい、というのが夫がよく言うことだ。 どうやら親戚が東アジアの某国で買った投資用不動産が値上がりしており、その成功体験をよく聞かされ、「不動産を買いなさい」とせっつかれているらしい。 夫の希望は土地付一戸建て。土地付は譲れないらしい…

ひねくれ者世にはばかる、そこが好き〜フミコフミオ『 ぼくは会社員という生き方に絶望はしていない。ただ、今の職場にずっと……と考えると胃に穴があきそうになる。』

フミコフミオ氏は有名なブロガーだというけれど、私は彼のブログを読んだことがない。この本を手にとったのをきっかけに読んでみた。うーん、今年入社したとある後輩のブログとどことなく雰囲気が似通っている。後輩くんも20年後にはこういうブログを書いて…

子を持つ親が自省するためにこそ読んでほしい〜岡田尊司『子どもの「心の病」を知る』

子育てのための参考書として読み始めたけれど、読みつづけるにつれて「これ私のこと!」という気づきがどんどんでてくる。 いわゆる「心の病」は、見た目や検査で異常がわかる身体の病とはちがう。統合失調症や自閉症など、脳の機能自体に異常がある精神疾患…