コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

子を持つ親が自省するためにこそ読んでほしい〜岡田尊司『子どもの「心の病」を知る』

子育てのための参考書として読み始めたけれど、読みつづけるにつれて「これ私のこと!」という気づきがどんどんでてくる。 いわゆる「心の病」は、見た目や検査で異常がわかる身体の病とはちがう。統合失調症や自閉症など、脳の機能自体に異常がある精神疾患…

子どもと話すことは学ぶべきスキルである〜アデル・フェイバ&エレイン・マズリッシュ『子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方大全』

子どもとの話し方、子どもの話の聴き方は、努力して身につけるべきスキルだ。 それが著者の教えである。 私たちはつい、大人に話すのと同じように子どもに話そうとしたり、子どもに話してほしいと期待したりするけれど、子どもはそもそも気持ちをうまく言葉…

タイトルからすでに親にとってはどこか他人事〜押川剛『「子供を殺してください」という親たち』

「子供を殺してください」 って、民間移送業者(病識がないため医療機関に行きたがらない精神障害者を病院につれていくお仕事)を前にして口走るか? タイトルを見た第一反応はこれ。 読み進めるにつれて、こういう言葉を口走るほど、当事者が追いつめられて…

あなたが知っているつもりになっていることは、実は……〜S.スローマン&F.ファーンバック『知ってるつもり 無知の科学』

この本の冒頭にはどきりとさせられた。1954年に起こったアメリカの水爆実験による第五福竜丸の被曝と、このことがきっかけで死亡した久保山愛吉さんの事例から、本書はスタートしたのだ。そして、第五福竜丸や、水爆実験場付近の環礁に住んでいた人々が被爆…

あなたの知らない平安時代へようこそ〜山本淳子『平安人の心で「源氏物語」を読む』

私が初めて『源氏物語』にふれたのは、記憶もおぼろげなむかしのこと、おそらく小学校低学年頃。たまたま手にとった本にあった、よくわからない言葉(おそらく古文原文)につづく一節。古文にふれたのもこの時が最初だった。当時は「なにこれ呪文?日本語?…

常識を捨ててただ信じよう、そうすればそれ以上のものを得られるだろう〜ジョージ・ジョンソン『量子コンピュータとは何か』

私は大学で量子化学を学ぼうとしたが数ヶ月で投げ出した。わけがわからなすぎる。すべては数学や数式の世界で、直感的に理解できることはひとつもでてこない。 「物質は波である」 「原子がどこにあるのか、どういう動きをしているのか、この二つを同時に知…

ワクチン反対派はなぜ生まれたか〜P.オフィット『反ワクチン運動の真実: 死に至る選択』

反ワクチン運動の真実: 死に至る選択 作者:ポール オフィット 発売日: 2018/05/08 メディア: 単行本 私はワクチン賛成派だ。ワクチンに限らずすべての医薬品は副作用を引き起こすリスクがあることを承知したうえで、麻疹や風疹や破傷風や狂犬病で死ぬくらい…

信じていたものが根底から塗り変わる瞬間〜フラナリー・オコナー《フラナリー・オコナー全短篇(上)(下)》

フラナリー・オコナー全短篇〈上〉 (ちくま文庫) 作者:フラナリー オコナー 発売日: 2009/03/10 メディア: 文庫 フラナリー・オコナー全短篇〈下〉 (ちくま文庫) 作者:フラナリー オコナー 発売日: 2009/04/08 メディア: 文庫 尊敬するブログ「わたしの知ら…