2020-01-01から1年間の記事一覧
子どもとの話し方、子どもの話の聴き方は、努力して身につけるべきスキルだ。 それが著者の教えである。 私たちはつい、大人に話すのと同じように子どもに話そうとしたり、子どもに話してほしいと期待したりするけれど、子どもはそもそも気持ちをうまく言葉…
「子供を殺してください」 って、民間移送業者(病識がないため医療機関に行きたがらない精神障害者を病院につれていくお仕事)を前にして口走るか? タイトルを見た第一反応はこれ。 読み進めるにつれて、こういう言葉を口走るほど、当事者が追いつめられて…
この本の冒頭にはどきりとさせられた。1954年に起こったアメリカの水爆実験による第五福竜丸の被曝と、このことがきっかけで死亡した久保山愛吉さんの事例から、本書はスタートしたのだ。そして、第五福竜丸や、水爆実験場付近の環礁に住んでいた人々が被爆…
私が初めて『源氏物語』にふれたのは、記憶もおぼろげなむかしのこと、おそらく小学校低学年頃。たまたま手にとった本にあった、よくわからない言葉(おそらく古文原文)につづく一節。古文にふれたのもこの時が最初だった。当時は「なにこれ呪文?日本語?…
私は大学で量子化学を学ぼうとしたが数ヶ月で投げ出した。わけがわからなすぎる。すべては数学や数式の世界で、直感的に理解できることはひとつもでてこない。 「物質は波である」 「原子がどこにあるのか、どういう動きをしているのか、この二つを同時に知…
反ワクチン運動の真実: 死に至る選択 作者:ポール オフィット 発売日: 2018/05/08 メディア: 単行本 私はワクチン賛成派だ。ワクチンに限らずすべての医薬品は副作用を引き起こすリスクがあることを承知したうえで、麻疹や風疹や破傷風や狂犬病で死ぬくらい…
フラナリー・オコナー全短篇〈上〉 (ちくま文庫) 作者:フラナリー オコナー 発売日: 2009/03/10 メディア: 文庫 フラナリー・オコナー全短篇〈下〉 (ちくま文庫) 作者:フラナリー オコナー 発売日: 2009/04/08 メディア: 文庫 尊敬するブログ「わたしの知ら…
アシュラ 大合本 全3巻収録 作者:ジョージ秋山 発売日: 2018/07/06 メディア: Kindle版 最初の1ページで逃げ出したくなり、最後の1ページまで目を離すことができなかった。 見開きで、泣き叫ぶ子どもの尻に男がかじりつき、肉を噛みちぎって喰おうとする。…
銭ゲバ 大合本 全4巻収録 作者:ジョージ秋山 発売日: 2018/07/06 メディア: Kindle版 ジョージ秋山の問題作『銭ゲバ』を一気読み。 『銭ゲバ』は、土砂降りの中、死体の手が土から突き出ているところから、主人公である蒲郡風太郎が這うようにして逃げる場面…
枕草子のたくらみ 「春はあけぼの」に秘められた思い (朝日選書) 作者:山本淳子 発売日: 2017/04/10 メディア: 単行本 私がこれで読んできた中でもっともわかりやすく、もっとも人間味にあふれ、もっとも平安時代の人々の考えに寄り添った解説書。『枕草子』…
たまには旅行記を。 この本はただの旅行記ではなく、「自分」という個人商店で売ることができるものを仕入れるという明確な目的を持った「テーマのある旅」の記録。売るものは形ある商品ではなく、誰かが「お金や時間を支払ってでも知りたい、読みたい」と思…
欧州は自死を遂げつつある。少なくとも欧州の指導者たちは、自死することを決意した。 … 私が「欧州は自死の過程にある」と言うのは…「私たちの知る欧州という文明が自死の過程にある」という意味である。英国であれ西欧の他のどの国であれ、その運命から逃…
だれもが一度は聞いたことがあると思う。Googleの検索結果が偏っているとか、Facebookでフェイクニュースが拡散して世論に影響しているとかいう話だ。それをまじめに考えてみたのが応用数学教授であるこの本の著者だ。 本書は18の章立てになっており、まとめ…
May_Roma(めいろま)さんがTwitterでおすすめしていたIT関連本。お恥ずかしい話、会社のIT担当ってそもそも何をしているんや? という疑問を解決するために役立つかと思ってパラパラめくってみたが、これ、感動的に分かりやすい。 タイトルの通り、ネットワ…
怒りについての読書、第二弾。 これも尊敬するブログ「わたしの知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」から。著者はスリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)長老であり、日本において仏教伝導を行なってきている。 「怒らないこと」はスゴ本: わたし…
人間の活動によってもたらされる環境破壊は無視できないものであり、なかでも生物種の絶滅は深刻な問題である。パンダもサイも虎も象も、ほうっておけばこの地球上から永遠に消え去ってしまう。だから人類はこれ以上生物が絶滅しないよう、保護しなければな…
怒りについて 他2篇 (岩波文庫) 作者:セネカ,兼利 琢也 発売日: 2018/04/19 メディア: Kindle版 私は自分自身の問題を解決するためにさまざまな本を読んできたけれど、なかでも大きな問題は【親との関係】【自分自身の怒り】であった。【親との関係】につい…
尊敬するブログ「わたしの知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」でみつけて手に取った本。 人により猛毒「イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ」: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる イワン・イリイチの死/クロイツェル・…
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 作者:ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド 発売日: 2019/01/11 メディア: 単行本 Factfulness: Ten Reasons We're Wrong About…
私は以前山好きの知りあいに初心者向けの夏山に連れていってもらったことがあるが、「当日の降水確率が30%以上なら中止」といわれた。その時は慎重すぎると若干不満だったものの、さいわい当日は天気にめぐまれた。 登山ではどれだけ天候に気をつけても慎重…
登山、自然、歴史などにまつわる名著を出し続けているヤマケイ文庫から編集長自ら「山好きな方なら最低限知っておいてほしい」と思う17冊を厳選し、写真付きで紹介したのが本書。巻末に33冊のヤマケイ文庫紹介がおまけされ、全部で50冊の文庫紹介となる。 孤…
The Great Leveler: Violence and the History of Inequality from the Stone Age to the Twenty-First Century (The Princeton Economic History of the Western World) 作者:Scheidel, Walter 発売日: 2017/01/24 メディア: ハードカバー 暴力と不平等の人…
昔読んだことがある少女小説(女性向けラノベ)を思い出していく。一時期毎日のように読んでいて、気に入ったものはいまでも大切に保管している。 月の影 影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫) 作者:小野 不由美 発売日: 2012/06/27 メディア: 文庫 神。いくら…
幽霊屋敷、呪われた教会、イギリスの「呪われた場所」をカラー写真入りで紹介する本。 私は幽霊や超常現象などはあまり信じていないけれど、たまに息抜きでこういう怪談話を読んでみるのは嫌いではない。ただし『リング』やら『着信アリ』やらの精神的にくる…
1950年代、あるダンサーの個人投資家が株式トレードで200万ドル儲けた。彼は自分自身の株式投資のやり方や、200万ドル儲けるまでのできごとを本にまとめた。それが本書である。 本書は、株式投資の教科書として広く読まれているというけれど、私が読んだとこ…
新型コロナウイルス感染爆発のために世界規模で経済状況が悪化しており、日本国内でも休業・廃業が相次いでいる。わが家もいつ不況の大波をかぶって給与カットされるかわからないため、ここしばらく投資関係の本に手がのびている。 本書はタイトルの通り、不…
銀河英雄伝説全15巻BOXセット (創元SF文庫) 作者:田中芳樹 発売日: 2017/10/12 メディア: 文庫 【読む前と読んだあとで変わったこと】 専制政治と民主共和制度のそれぞれのメリット、デメリットについて深く考えるきっかけとなった。 現代社会であたりまえに…
マーケットの魔術師 作者:ジャック·D シュワッガー,横山 直树 発売日: 2012/03/09 メディア: Kindle版 【2020.3 再読】 本書は2年前に一度読んだが、そのときは投資について真剣に考えているわけではなかったので、流し読みですませた。 それから2年、本腰…
巨嬰、という単語が中国語にある。 意味は字面のごとく「巨大な赤ちゃん」、日本語でいうところの「見た目は大人、頭脳は子供」を指す単語だ。 この本の著者は、この単語からスタートして、現代中国社会にひそむ心理的問題を説明しようと試みている。 …と言…
『子どもへのまなざし』の続編。『子どもへのまなざし』を読んだ読者からの質問に、著者が丁寧にじっくりと答えていくスタイル。基本的なメッセージは『子どもへのまなざし』とほぼ同じだけれど、質問内容によって整理されている感じ。たとえばこういったこ…