コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

【おすすめ】むきだしの人間の弱さ〜葉真中顕『灼熱』

灼熱 作者:葉真中 顕 新潮社 Amazon いつのことだか、世界情勢についてあれこれ雑談しているとき、ふと思い立ったことを口にした。 ーー核保有国同士では戦争は起こらない。少なくとも核戦争は絶対起こらない。なぜなら核兵器の恐ろしさを知っているから。そ…

バフェット教授の教え〜D. Pecaut & C. Wrenn “University of Berkshire Hathaway”

University of Berkshire Hathaway: 30 Years of Lessons Learned from Warren Buffett & Charlie Munger at the Annual Shareholders Meeting 作者:Pecaut, Daniel,Wrenn, Corey Pecaut and Company Amazon なぜこの本を読むことにしたか なぜわたしはこの…

金融危機を繰返さないためにできること〜M. King “The End of Alchemy”

The End of Alchemy: Money, Banking and the Future of the Global Economy 作者:King, Mervyn Little, Brown Book Group Amazon 錬金術の終わり 貨幣、銀行、世界経済の未来 作者:マーヴィン・キング 日本経済新聞出版 Amazon なぜこの本を読むことにした…

恐れを抱かずにはいられない人間の宿命〜貴志祐介『天使の囀り』

貴志祐介さんの小説を読んだのは〈リング〉シリーズから始まるホラーブームの真っ最中、『ISOLA - 13番めの人格- 』が最初。主人公の賀茂由香里は人の強い感情を読みとることができるエンパスで、長期入院中の多重人格者・森谷千尋に会う。彼女の中には十二…

救命救急の現場にみられる冷徹と人情〜浜辺祐一『救命センター カンファレンス・ノート』

著者の浜辺祐一氏は現役の墨東病院救命救急センター部長で、2021年の東京パラリンピックで組織委員会より重症者受け入れを要請された際、 「救命救急センターは本来、突発、不測の重症患者に備えるものであり、予定された行事のバックアップをするものではな…

日常生活にまぎれた悪夢がむき出しにされる瞬間〜宮部みゆき『希望荘』

宮部みゆきさんの〈杉村三郎シリーズ〉の第4作。4篇の中編小説がおさめられている。〈杉村三郎シリーズ〉を読むのはこれで2冊目で、1冊目『昨日がなければ明日もない』は別のブログ記事に書いた。 日常生活の中に立ちこめる黒雲〜宮部みゆき『昨日がなけ…

日常生活の中に立ちこめる黒雲〜宮部みゆき『昨日がなければ明日もない』

宮部みゆきさんの〈杉村三郎シリーズ〉の第5作。3篇の中編小説がおさめられていて、短いからさくさく読みやすい。 〈杉村三郎シリーズ〉を読むのは実はこれが初めて。シリーズの順番は『誰か』『名もなき毒』『ペテロの葬列』『希望荘』から、この第5作『…

家畜の安寧に甘んじるなという叫び〜魯迅《小説集・呐喊》

ノルウェー・ブック・クラブが選出した「世界最高の文学100冊」(原題:Bokkulubben World Library)の一冊。選出されているのは "Diary of a Madman and Other Stories" だが、"Diary of a Madman"(邦題《狂人日記》)は魯迅の小説集《呐喊》(中国語で「…

[テーマ読書](未完 28 / 100)世界最高の文学100冊を読んでみた

ノルウェー・ブック・クラブが選出した「世界最高の文学100冊」(原題:Bokkulubben World Library)というものがあることを知り、全作読んでみることにした。 Library of World Literature » Bokklubben 目標は2030年までに全作読破。英語原著はできるだけ…