コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

『未来をつくる起業家-日本発スタートアップの失敗と成功 20ストーリー』(ケイシー・ウォール著)を読んだ

日本は言語の壁、文化の壁、商習慣の壁などがあり、シリコンバレーなどに比べれば起業しにくいと言われるが、それでも徐々にIT起業は増えてきている。本書はその中でそこそこの成功を収めた若き起業家20人にインタビューしたもので、成功、失敗、苦労、喜びなどが率直に語られている。

起業家たちのインタビューでは共通点がいくつかあった。

⚫︎新しい市場や業界を理解するためには、小さくてもいいので実際になにか事業を始めて、その業界の関係者になることが効果的。

⚫︎いいアイディアかどうかは、多少粗くてもサービスをとにかく市場に出して誰かに使ってもらうこと(あるいはつくる前にビジョンを売ること)。手のこんだサービスをつくってから、それが人びとの欲しいものではないことに気づくようなことはあってはならない。

⚫︎起業家にとって大切なことは、3年、5年、10年後の未来に対して強いビジョンをもつこと。自分の仕事がそれにどのような良い影響を与えているかを考えること。

こうして見ると、インターネット業界という世の中に大きな影響を与えることができる業界であること、サービスが形のないアプリやウェブサイトなどであることが、起業家たちの言葉を特徴付けている。モノづくりで完成度が高くなくてもとりあえず売ることはできないが、インターネットサービスであればプロトタイプをまず市場に出して、反響を見ながら徐々に修正出来る。この意味ではIT業界では起業しやすい。