コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

1440分の価値 (ケビン・クルーズ著)

面白いことに、この本に従うならば、私はきっとこの本をこの先二度読むことはないだろう。なぜなら「一度しか触らない」ことが時間節約に有効なのだから。

 

本書では「時間は最も貴重かつ最も希少な資源である」ことを思い出させるとともに、時間をどう活用すべきか、さまざまな億万長者、トップアスリート、優秀学生達に聞いたことを著者の経験とともにまとめている。

著者が紹介する時間活用方法で、私がとくに役立ちそうだと思ったのは二つ。「先延ばし癖克服法」「スケジュール組入れ」だ。

「先延ばし癖克服法」とは「後でやる」の「後」での自分を信用するなという教えである。その時になればめんどうになってなんだかんだと理屈をつけ始めることはわかっているからだ。このことは私自身よく経験している。「そら、面倒になってきたぞ」と自覚するくらいよく。ならば思いついたばかりで一番やる気がある今、始めない理由がどこにあるだろう? 著者はこのことを秘訣として言いきる。

先延ばし癖を克服したければ、未来の自分に打ち克つ方法を見つけること。未来の自分は、正しい行動を取ると信用できる相手ではない。

スケジュール組入れは、タスクはToDoリストではなくスケジュール表に書きこみ、それをやるための時間をブロックしてしまうという教えだ。たとえば昼休みに20分間運動時間を入れるならば、この時間にほかのことは一切やらない。ランチに誘われれば話は別だが、著者は誰かと一緒にランチをとる時間を、毎月最後の金曜日だけにすると決めている。しかもスケジュール表に書いていれば、その時間までそのことを忘れることができる。脳の容量を、ほかの重要なことに振り分けられる。

たったこれだけのことで心が解き放たれ、ストレスが減り、認知能力が高まる。フロリダ州立大学の研究によれば、ツァイガルニク効果(未完了のタスクによって意識的・無意識的に悩まされる現象)は、タスクを達成するための予定を立てるだけで克服できるという。実際にタスクそのものを終わらせる必要はないのだ。

この本にはこれ以外にもさまざまな時間活用方法が載っており、どれも今すぐに始められることだ。私は今朝、30分読書時間をとった。なにしろ、未来の自分は読書するかどうかわからないのだから。