コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

置かれた場所で咲くこととは逆に『どこでも誰とでも働ける』

この本の一番凄いところは「自分にもできるかもしれない」と思わせてくれるところだと思う。

著者の尾原和啓さんは新卒でマッキンゼーに入社、その後NTTでiモード立ち上げに従事、Googleに転職、と、どこを切り取っても凄い経歴なのに、書いていることは、ハイスペックエリートではないごく普通の私にもできそうなことばかりだ。

たとえばインターネットの影響。私がブログやSNSを書いているように、ほとんど誰もがコンテンツをネットで発信する時代に、著者の表現はスッと入ってくる。

世界がインターネット化することによる影響は無数にありますが、個人の働き方は、多くの人や企業と対等(フラット)の関係でつながり(リンク)、知識や成果を分け合う(シェア)形に進むことになるでしょう。

たとえばプロフェッショナル。「その道のプロ」は雲の上の人に思えるが、著者にかかれば身近に感じられる。

プロフェッショナルの語源は 、自分が何者であるか、何ができて何ができないかを、自分の責任で「プロフェス(公言)」することです。自分で自分を律して成果を出し、それを相手にしっかり説明して、相手がそれを評価してくれること。この3つをおこなうことができれば、どんな職種であれ「プロ」と名乗ることができます。

 

読者ができそうに思える知識・経験をシェアする、というのは「こうすればうまくいく」主張が強くなりすぎて押しつけがましくなったり、「著者はうまくいったんだろうけれど…」と一歩引かせたりすることになりかねず、バランスが難しい。ことに私のようなひねくれた読者にとっては。

だが、この本では、著者はただ語りかける。知識・経験をシェアするけれどもどう使うかはあなた次第。そのスタンスのおかげで、押しつけがましさを感じさせずにコンテンツを楽しめる。それが魅力だ。

著者は自分のことを一匹オオカミだという。どこにも馴染めないけれど、さまざまなところを渡り歩き、あるところから別のところに情報や知識を「シェア」して喜んでもらい、喜ばれることでそれらの場所を「リンク」する、という意味らしい。この立ち位置は、多くの人々がインターネットでやっていることであり、私がやりたいことでもある。