コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

現代中国を理解するための良書『中国2017』

ぜひ読んでほしい一冊。

著者は中国籍の女性経済学者、ジャーナリスト。中国国内で政治的に敏感な話題に踏みこむ言論活動を貫いたため、国家安全当局による常時監視、尾行、強制家宅捜査をはじめとするさまざまな圧力を受け、二〇〇一年に中国を脱出してアメリカに渡り、プリンストン大学等で研究活動をする一方、ブログや寄稿等を通して情報発信を続けている。

本書は彼女の2017年度の寄稿記事をまとめて、日本語訳したもの。いわゆる深層分析が多く、経済学者兼ジャーナリストならではの鋭く独特の視点、中国とアメリカ双方の政治・経済・社会構造を熟知した洞察、客観的で偏りのない調査・研究結果に基づく内容、読みごたえある文章が持ち味。

彼女の記事が中国国内で読まれることはまずない(アクセス不可)。記事の中で理由の一端に触れることができる。

米のNGOフリーダム・ハウス (Freedom House)は、 2016年の中国宣伝主管部門が下部に命じた文書を分析し、政府がコントロールを重視する順位は、中共と官僚の名声、健康と安全、外交、官僚の誤った行為、メディアと審査、公民社会、経済の順だとしました。

(2017.1.3付Voice of America記事)