コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

育児についての読者質問に答えます〜佐々木正美『続 子どもへのまなざし』

『子どもへのまなざし』の続編。『子どもへのまなざし』を読んだ読者からの質問に、著者が丁寧にじっくりと答えていくスタイル。基本的なメッセージは『子どもへのまなざし』とほぼ同じだけれど、質問内容によって整理されている感じ。たとえばこういったことだ。

子どもの発達にとって必要なことは、まず乳児期には、自分の望んだことが十分に満たしてもらえること。つぎには、親やまわりの人に「こうするんですよ」といわれたことを、習い始めるとき(親の側からみるとしつけの時期ですが)、いつからできるようになるかは、自分まかせにしてもらっていること。さらに、幼児期後半の最後の仕上げは、自分のやりたいことをおもいきりできることだと思うのです。

自分がこうしてほしいという、希望や願いが受け入れられないときに、子どもは欲求不満になります。それから、まわりから過剰な要求をされたときも、子どもは欲求不満になります。このどちらかなんです、あるいは、その両方です。すべてこれだといってもいいでしょうね。

本文中にサカキバラ事件が登場するため、実際の執筆はミレニアム前後だと思われる。インターネット時代到来のちょっと前であろう。著者は繰り返し「人間関係が希薄になったために、子どもたちは昔のようにはうまく育たなくなった」と書いている。オンラインゲームやSNSは、子どもたちが外に出て他人と顔をあわせる機会をどんどん減らす一方であるから、きっとこの傾向は悪化する一方だろう。このような時代にも変わらない子育ての基本理念として、『子どもへのまなざし』シリーズを読むのはとても、役立つ。