なぜこの本を読むことにしたか
「世界ニュース」「経済」「投資」「お金」をメインテーマとする人気YouTuber・高橋ダンさんの著書。私は投資商品のうちとくにETFに興味をもっており、いろいろ見ているうちにたまたま本書をみつけた。
本書の位置付け
お金を増やすための知識がまったくない人から、多少の投資経験がある人向けの入門書。全89のテーマに分けてお金関係の知識を解説している。著者の基本姿勢として、個別銘柄ではなく、分散投資のためにETFを買うことをすすめている。(ちなみに著者はREIT/不動産投資信託には懐疑的)
本書で述べていること
以下の8つの章に分けて「お金持ちになるために知っておくべきこと」を紹介している。
長期投資資金の2〜4割をコモディティ投資に振り分けるようおすすめしている点でやや特徴的(『ウォール街のランダム・ウォーカー』では金への投資はリターンが予測出来ないとして、あくまでより幅広い分散効果を得るために少し保有するにとどめるようすすめているのとは対照的)。
感想いろいろ
「マインド」の項で「お金持ちの素質は“パッション”にあり “Passion” is what makes people wealthy」とあり、ビル・ゲイツやジェフ・ベゾスを引き合いに出している、まあよくあるなんとなくお金持ちになりたい人向けのやる気を出させる投資本。投資の古典的名著『敗者のゲーム』では、投資にあたり、まず自分自身の長期運用目的の確認と、その達成のために望ましい資産配分比率の策定を行うべきと書かれているが、この部分についてはあまり深く掘り下げず、具体的な投資商品紹介と投資習慣付けに力を入れている。
「投資の世界では情報こそが武器」といわれるけれど、情報獲得の手段として本書で参照しているサイトは、素晴らしいものばかりなので、覚え書き。著者によると「世界中の株式、コモディティ、為替などの数字をすべて見てからニュースを読むことがポイント」。市場が反応を示している=重要性の高いニュースを選ぶことで時間を節約出来るため。
VISUAL CAPITALIST
株式市場、テクノロジー、エネルギー、世界経済関連などのデータを図式やグラフなどにより視覚化し、直感的にわかりやすく表現したものを提供。最近ではCOVID関連の情報多め。歴史上の伝染病の死者数を玉の大きさで表現した図がTwitterで出回っているのをこの前見かけた。ちなみにCOVID-19による死者数は歴史上第8位くらいで、死者数が断トツトップなのは14世紀の黒死病、次いで天然痘。
Infographic: The History of Pandemics, by Death Toll
TRACK IN SIGHT
ETFを選ぶにあたり、純資産総額のランキングを確認できるサイト。著者は流動性の観点から、ETFを選ぶ際に純資産総額に注目している。
TRADING VIEW
投資家向けのチャートプラットフォームとSNSを兼ねそろえたサイト。価格推移などのチャートのトレンドを確認するために良い。
FRED
アメリカ連邦準備銀行の一つ、セントルイス準備銀行が運営している経済統計データサイト。
Federal Reserve Economic Data | FRED | St. Louis Fed
TRADING ECONOMICS
主要な経済指標を提供しているサイト。世界の主要経済指標は株式市場の変動を読むにあたって必須。
TRADING ECONOMICS | 20 million INDICATORS FROM 196 COUNTRIES
OECDのサイト/The Cnnference Boardのサイト
どんな国でも景気後退に入る前に先行指数が下がる傾向があるため、景気後退を予測するのに先行指数のチェックは不可欠。本書ではOECDの「Composite Leading Indicator (CLI)」や、The Conference Boardの「Leading Economic Index(LEI)」、中国経済の先行指数としておすすめの「PMI(Purchasing Manager's Index=購買担当者景気指数)」を紹介。中国のPMIは国家統計局(NBS)が公表しているものと民間企業(Caixim)が公表しているものがある。
https://data.oecd.org/leadind/composite-leading-indicator-cli.htm
https://www.conference-board.org/data/bcicountry.cfm?cid=1