コーヒータイム -Learning Optimism-

18歳のわが子に読書をすすめるために、まずわたしが多読乱読しながらおすすめを探しています。英語書や中国語書もときどき。

ETF(上場投資信託)について学ぶ〜石森久雄『ETF(上場投資信託)の授業』

なぜこの本を読むことにしたか

投資商品のうちとくに興味をもっているETF(Exchange Traded Fund/証券取引所で売買される投資信託)についてもっと知るために読んだ。

 

本書の位置付け

ETFについての基礎知識をまとめた初心者向け投資本。本文中に記載の内容は2009年9月7日時点の情報を基にしているため、情報が古いが、基本事項を学ぶのに役立つ。

 

本書で述べていること

ETFとはなにかから始まり、仕組みやリスク、株式・投資信託との違い、メリットデメリット、種類、投資商品としておすすめする理由、銘柄選び(すなわち連動する指数選び。ただし運用によってはズレることもあるので、証券取引所が公表する乖離率一覧を要チェック)、さらには実践編としてETFの買い方まで、一通りカバーしている。「投資信託」「株価指数」などの用語には簡単な解説がついているため初心者にやさしい。

ETF(Exchange Traded Fund)とは、「証券取引所で売買される投資信託」のこと。証券取引所で売買の対象となることを「上場」というので「上場投資信託」とも呼ばれ、東京と大阪の両証券取引所にのみ上場されています。

そのいちばんの特長は、日経平均株価などの株価指数とほぼ同じ値動きをする(=連動する)ので、かんたんに「市場平均(株式市場の平均を表す数値のこと)」が買える点。

基本的には東京・大阪両証券取引所に上場している国内ETFを前提にしているが、外貨預金や、より為替手数料が安い外貨建てMMF(Money Market Fund、格付が高い、短期の国債や地方債、社債などで運用される投資信託のひとつ。いつでも換金できるのが特徴)を利用した海外ETFの買い方も紹介している。

 

感想いろいろ

分散投資のためにお手軽なインデックス型ETFについて、基礎知識はこれ一冊読めばそれなりに身につきそう。

一方、著者自身が長年証券業界に身を置いているためか、ETF投資の基本は長期投資だと言っているわりには「信用取引のメリットは高収益だとよくいわれますが、間違いです。価格下落リスクをヘッジできること、つまり、ETF価格が下がっても、信用取引でその損を回避できる点にあります」と、短期間保有空売りorつなぎ売りをすることを念頭においた、そこそこ経験者向けだと感じることもサラッと書いてあるので多少注意がいる。ちなみに老婆心ながら、グレアムは名著《賢明なる投資家》で「保守的な見方からすれば、信用取引をする素人は、そのこと自体が投機であることを認識すベきであり、彼らにそのことを指摘するのは証券会社の義務である」と書いている。

各証券会社のHPにこの手法の解説がある。

信用取引の「空売り」の2つの使い方:下げ相場での利益狙いとリスクヘッジ | トウシル 楽天証券の投資情報メディア

 

また、たとえばETFの価格裁定の仕組みについては扱っていなかったので、覚え書き。

  • ETF取引には一般投資家のほかに指定参加者(Authorized Participants)と呼ばれるプレーヤー、ETFマネジャーと呼ばれる実際にETF組成・運用を行うプレーヤーがいる。
  • ETFマネジャーは、ETFが連動する指数の証券構成比率に応じた割合で銘柄を資産として保有し、この保有資産に対して決まった数のETFを発行する。これによりETF1株あたり純資産(Net Asset Value, NAV)が計算でき、これが株式市場における基準価格となる。
  • ETF市場価格が基準価格を上回れば、指定参加者はそのETFに応じた構成割合の株式一式(株式バスケットと呼ばれる)をETFマネジャーにさしだし、等価のETFを受け取ることができる(『設定』と呼ぶ)。あるいは逆ならETFETFマネジャーにさしだして等価の株式バスケットを受け取る(『交換』と呼ぶ)。
  • いずれの場合も指定参加者はこれを売却することでリスク無しで差額益を得ることができ、裁定取引によりETFの市場価格は基準価格に近づく。