コーヒータイム -Learning Optimism-

18歳のわが子に読書をすすめるために、まずわたしが多読乱読しながらおすすめを探しています。英語書や中国語書もときどき。

[テーマ読書]有価証券報告書を読む(1)三菱UFJ / 三菱商事 / 三菱重工

なんとなく有価証券報告書を読むシリーズ第1弾。有価証券報告書をまともに読むのは初めてなので、解説らしいことはできません。勉強を始めたばかりの投資初心者のメモ書きとお考えください。

今回のテーマは日本経済を左右する大企業。

 

企業紹介とビジネスモデル

企業は三菱UFJ / 三菱商事 / 三菱重工の3社を選んだ。とくに意味はないけれど、司馬遼太郎竜馬がゆく』で岩崎彌太郎と彼が設立した三菱帝国がでてきたことをなんとなく思い出したせい。

 

三菱UFJ銀行

1919年、三菱合資会社の銀行部門を継承して三菱銀行が発足。1948年に商号を千代田銀行に変更しているが1953年に復帰。1996年に三菱銀行東京銀行が合併して東京三菱銀行、2002年に三和銀行東海銀行が合併してUFJ銀行となり、2006年に両者が合併して三菱東京UFJ銀行となる。2018年に商号を三菱UFJ銀行に変更。セグメントとして法人・リテール、コーポレートバンキング、グローバルCIB、グローバルコマーシャルバンキング、市場及びその他がある。三菱UFJフィナンシャルグループを親会社に持つ。

 

三菱商事

(旧)三菱商事は1918年、三菱合資会社の営業部門が分離して発足したが、1947年7月に連合国最高司令官の指令を受けて解散。1950年に(旧)三菱商事の特定の債権債務を継承した株式会社が光和実業の商号で設立され、1954年に総合商社として再創立。主要セグメントとして天然ガス、総合素材、石油・化学、金属資源、産業インフラ、自動車・モビリティ、食品産業、コンシューマー産業、電力ソリューション、複合都市開発など多岐にわたる。

 

三菱重工

1884年岩崎彌太郎が工部省(当時)から造船所を借り受けて事業開始し、紆余曲折を経て三菱重工(株)となった、まさに創業時からのグループの柱。2020年時点では造船業は三菱造船(株)に引き継がれ、三菱重工は①エナジー、②プラント・インフラ、③物流・冷熱・ドライブシステム、④航空・防衛・宇宙の4つのセグメントで事業展開。

 

有価証券報告書を読んでみる

ハリー・ポッターシリーズを原文で読もうとすればまず英語を学ばなければならないように、決算書を読もうとすれば会計学 (Accounting) ーービジネス言語の文法にあたるーーも学ばなければならないが、今回は入門書頼り。

参考にしたのはこの2冊。『財務3表一体理解法』を以前読んだときの記事も。

株式投資を始めるならまず財務諸表を知れ〜國貞克則『決算書がスラスラわかる財務3表一体理解法』 - コーヒータイム -Learning Optimism-

 

三菱UFJ銀行

https://www.mufg.jp/dam/ir/report/security_report/pdf/yu_bk21.pdf

第一部第2の3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】に概要がまとめられている。連結年度末資産残高は290兆2,697億円、経常利益4,308億円、親会社株主に帰属する当期純利益は3,077億円。ちなみに資産残高に国債が占めるのは32兆1,167億円。

ここしばらく円安が進んでいるけれど、財務諸表の注記で為替変動リスクヘッジについて記載有り。

当行の外貨建の金融資産・負債から生じる為替変動リスクに対するヘッジ会計については、業種別委員会実務指針第25号「銀行業における外貨建取引等の会計処理に関する会計上及び監査上の取扱い」(2020年10月8日日本 公認会計士協会。以下、「業種別委員会実務指針第25号」という。)に基づき、外貨建金銭債権債務等を通貨毎にグルーピングしてヘッジ対象を識別し、同一通貨の通貨スワップ取引及び為替予約(資金関連スワップ取引)をヘッジ手段として指定しており、ヘッジ会計の方法は、繰延ヘッジによっております。

私の勉強のために調べてみたところ、通貨スワップは銀行間での通貨交換(たとえば円とドル)で、担保有り、保有期間は保有通貨(たとえばドル)の金利を相手に支払い、保有期間終了後はそのときのレートでまた交換しなおす。一方為替スワップは契約開始時に契約終了時点の交換レートを決めてしまい、担保無し、期間中の金利支払いもない。どちらも外貨調達が主目的だが、このような特徴から一般に通貨スワップは長期、為替スワップは短期契約にする傾向がある……らしい。ちなみにアジア金融危機の際に韓国銀行はこの通貨スワップを仕掛けられて巨額の金利アメリカに支払わされたうえ、銀行株の9割以上を担保としてとられた。韓国の大企業は株式の6割を銀行ににぎられているから、実質、韓国経済は6割前後がアメリカ資本である……リスクヘッジといってもわりと諸刃の剣な気がする。

 

三菱商事

https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/fstatement/pdf/2020_04/y2020_04.pdf

第一部第2の3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】に概要がまとめられている。2020年度連結売上収益は12兆8,845億円、連結税引前収益は2,535億円。資産はどれかひとつのセグメントが突出して多いわけではないけれど、2020年度は金属資源グループが連結当期純利益のおよそ4割を稼いでいる。最初に「重要な会計上の方針及び見積もり」をもってきて「前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なることもあります」とわざわざ念押ししているのがいささか気になる。

 

三菱重工

https://www.mhi.com/jp/finance/library/financial/pdf/2020/2020_04_all.pdf

第一部第1の1【主要な経営指標等の推移】では、国際会計基準(International Financial Reporting Standards:IFRS)及び日本基準による過去数年の主要決算を記載している。2020年度は長期借入及び社債発行で財務キャッシュフローがプラスとなった。

第一部第2の3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】に概要がまとめられている。2020年度連結売上収益は3兆6,999億46百万円(このうち約25%の9167億70百万円が三菱重工)。内訳はざっくりエナジーセグメントが4割、その他3つのセグメントが2割ずつ。連結税引前利益は493億55百万円(三菱重工単体では当期純利益は1049億34百万円)。プラント・インフラで102億22百万円の連結損失、航空・防衛・宇宙で948億41百万円の連結損失を出しているのを、主にエナジーセグメントの連結収益でカバーしている。ちなみに連結売上収益の約10%は防衛省

 

投資指標を参照してみる

連結決算ではなく提出会社決算を参照。主要指標はほぼそのまま書いてあるのでありがたい。

 

三菱UFJ銀行(2020年度)

 自己資本比率=3.80%

 当期純利益=1444億79百万円

 1株当たり当期純利益=11.69円

 1株当たり配当額=18.44円

 株価収益率=(非上場であるため記載無)

 売上高経常利益率=7.67%

 自己資本利益率=1.46%

 

三菱商事(2020年度)

 自己資本比率=36.3%

 当期純利益=3933億51百万円

 1株当たり当期純利益=266.37円

 1株当たり配当額=134.00円

 株価収益率=11.75倍

 売上高経常利益率=29.08%

 自己資本利益率=14.7%


三菱重工(2020年度)

 自己資本比率=32.28%

 当期純利益=1049億34百万円

 1株当たり当期純利益=312.23円

 1株当たり配当額=75.00円

 株価収益率=11.05倍

 売上高経常利益率=15.75%

 自己資本利益率=12.41%

 

参考にしたのはこの1冊。経済分析 (*1) 、企業分析 (*2) 、株式分析 (*3) の指標を紹介している本。「金融市場でアマチュアのほうがプロよりも有利なものが何もないかと言うと、たった1つだけあります。それが「時間」です」という指摘は的を射ていると思う。

(*1) 日本なら日銀短観景気動向指数、消費者物価指数/輸入物価指数/国内企業物価指数など。アメリカならFRBは非農業部門の雇用増減数、時間当たり賃金前月比、消費者物価前年比など。中国なら国内総生産前年比や消費者物価前年比。もちろん長期金利短期金利、為替、GDP等も外せない。

(*2) 流動比率(一般的には120%以上)、当座比率(一般的には90%以上)、自己資本比率(固定資産を多くもつ製造業は20%以上、流動資産が多い小売業や商社等は15%以上、その他業界は10%以上が目安。ただし銀行業は10%を切っていでも問題ないことが多い)、売上高営業利益率当期純利益/利益剰余金、配当性向/配当利回りなど。また、ROE(Return On Equity:自己資本利益率。自社株買いなどによる自己資本減少や、コストカットによる当期純利益増加などによりある程度操作可能)、ROA(Return On Asset:資産利益率。一般的には2%なら普通、5%以上なら優良というのが著者の意見)なども考えなければならない。

(*3) PER(Price Earnings Ratio: 株価収益率。ちなみに著者は30倍を超えている企業の株は買わないという)、PBR(Price Book-value Ratio:株価純資産倍率)、EPS(Earnings Per Share: 1株あたりの当期純利益)など。