コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

<英語読書チャレンジ 46-48 / 365> Awesome Experiments for Kids シリーズ(1)

英語の本365冊読破にチャレンジ。原則としてページ数は最低100頁程度、ジャンルはなんでもOK、最後まできちんと読み通すのがルール。期限は2027年10月。

今回読んだのは子ども向け実験シリーズ。身近なものを利用して楽しみながらSTEAM (Science, Technology, Engineering, Art and Mathmatics) の基礎知識を学ぶことができるという、日本でいえばNHK教育でやりそうなわくわく科学実験である。英語表現はやさしく、イラストや写真がふんだんにあるので理解しやすい。小学生以下のお子さんがいるなら、夏休みの自由研究や図工制作にもってこい。

シリーズは全部で11冊出ている。まずはそのうち3冊を紹介。残りもおいおい追加する。

子どもがレゴやプラレールを組み立てるのに夢中になり、工事現場や大型特殊機械に興味を持つのは世界中どこでも同じだけれど、こういう小学生向け理科実験シリーズでConstruction = 建設がとりあげられることは日本ではあまりないように思う。アメリカならではの社会的背景があるのかもしれない。とはいえこの本でとりあげられているのはいわゆるブルドーザーや掘削機やダンプだけではなく、土木や建設に関連する地質、構造、運輸、水資源、環境などの分野にわたる。

著者はトリニダード・トバゴ出身の移民であり、現在はProfessional Engineer (日本の技術士資格にあたる) 資格保持者として働いているという。エンジニアとしての専門知識に裏付けされた建設実験はどれも面白い。

たとえばこんなことをやってみようーー
❶ 2Lペットボトルの上、中間、下にそれぞれ小さな穴を開ける。水を注ぎ、下になるほど飛距離が遠くなることを観察する。もちろんこれは水深が深ければ水圧が高くなることの実験で、ダムなどの建設で考慮しなければならないことだ。
❷ 太いストローに等間隔で菱形の小さな穴を開け、すべての穴を塞ぐようにコーヒーフィルターを巻く。靴箱の中に入れた土に傾斜を入れて埋める。両端が靴箱から突き出すようにあらかじめ穴を開けよう。水を注ぎ、ストローの先端から水が流れ出る様子を観察してみよう。これは工事現場でよく使われる仮設排水管の仕組みを利用したものである。

レオナルド・ダ・ヴィンチが考案したという組み立て式の橋を、18本のバーアイスの棒でつくってみよう。接着剤も釘もいらないミニチュアの木橋ができるのを楽しもう。

 

電気 (electricity) や電磁気学 (electronics) はSTEAMの中でも重要な役割を果たすけれど、この本では理論説明は必要最低限にして、身近な食品を電池代わりにする、回路部品板 (Breadboard) にさまざまな電気部品を取りつけることで、特定の機能を果たす電気回路をいろいろつくる、など、実験に主眼をおいている。ようするに電気やら配線やらは自分でいじるのが一番上達する。

たとえばこんなことをやってみようーー
❶ 表紙にあるようにジャガイモに釘とコインを打ち込み、LEDにつないで点灯してみる。

❷ 銅リボンと色とりどりのLEDを厚紙に貼り付けて直列回路や並列回路をつくり、ホリデイのライトアップのように点灯してみる。

❸ 回路部品板にさまざまな電気部品をとりつけて簡単な電子回路をつくる。呼び出しブザー、スイッチで点灯できるライトなど。

 

STEAM (Science, Technology, Engineering, Art and Math) になぜArt(日本語ではふつう「芸術」と訳されると思う)が入る?他4つはバリバリ理系なのに?との疑問をを抱くのは私だけではないと思う。この本はその疑問に明快に答えている。Artとは、ものの見方や考え方であり、これまでにない観点や創造性のことである。Artを見るには美術館に行けばよいと考えるかもしれないが、Artの可能性は芸術作品にとどまるものではない。あたらしいものの考え方はどんな分野でも必要不可欠である。作品を完成させるための手順も同じーーask (問う)、imagine (想像する)、plan (計画する)、create (創作する)、そしてimprove (改善する)、これで全部。できたものが気に入らなければ、そばのごみ箱に捨ててやり直せばよい。

たとえばこんなことをやってみようーー

❶ 色紙を短冊状に切り、さまざまに折りたたんだり糊付けしたりして建物や木やその他の形をつくる。ボール紙に貼り付けて家のまわりの地図をつくってみよう。実際の地図はどのようにつくられるだろう?都市計画は?

❷ 硬紙を円状に切り、2色以上の色を塗り、中心に爪楊枝を刺してコマをつくる。コマを回転させてどのような混合色があらわれるかを見てみよう。
❸ 雑誌のイラストの切り抜きやコピーなどを画用紙に貼りつけ、組み合わせて、自分が表現したいもののモンタージュを作成してみよう。