コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

【おすすめ】<英語読書チャレンジ 77 / 365> P. Dix “When the Adults Change, Everything Changes: Seismic Shifts in School Behavior” (邦題『子どもは罰から学ばない』)

英語の本365冊読破にチャレンジ。原則としてページ数は最低50頁程度、ジャンルはなんでもOK、最後まできちんと読み通すのがルール。期限は2027年10月。20,000単語以上(現地大卒程度)の語彙獲得と文章力獲得をめざします。

本書は教育現場で教師のあるべきふるまいについて説いた本だけれど、子育てや家庭教育のヒントとしても良書。『子どもは罰から学ばない』というタイトルで邦訳されている。

 

なぜこの本を読むことにしたか

なぜわたしはこの本を読むために時間を使うのか。

①世界の見方を根底からひっくり返す書物、

②世界の見方の解像度をあげる書物、

③好きだから読む書物

この本は②。教育困難校の子どもたちとの向き合い方についての実践的なやり方がたっぷり詰まった本。

 

本書の位置付け

著者はイギリスで数々の教育困難校を立て直してきた中で、子どもたちが処罰から正しい行動規範を学ぶことは期待できないと気づいた。心ある言動、一貫性のある行動をみずから率先して行い、根気よく子どもたちと向きあい、支援できる教師こそが必要とされる。変わるべきは子どもたちではなく大人側なのだ。本書は著者の経験に基づき、新しい教育支援のやり方を提案する。

本書で述べていること

本書ではいくつかキーワードが登場する。

"Pastral Care": pastor (牧師) care (世話、監督) という字面通り「牧師が信者に接するように、教師が生徒の勉学のみならず日常生活や人格面について教育する」意味。ハリー・ポッターシリーズのホグワーツ魔法魔術寄宿学校のイメージ。日本語のいわゆる【しつけ】に道徳教育がプラスされた感じか。

"Behavior Msnagement": 直訳は「行動管理」。ただし小手先の計画作りではなく、企業文化ならぬ学校文化を醸成することを目標とする ("In behaviour management, culture eats strategy for breakfast.")。教室での学校文化は、言うまでもなく、大人であり指導者である教師のふるまいにより決まる。

"Visible Consistency": 直訳は「目に見える一貫性」。教師の言動がころころ変われば、生徒は言うことを聞かなくなる。教師がシンプルな行動原則を打ち立て(覚えやすいものをせいぜい3つ程度)、一貫してそれを守る姿を見せるほうがよほどよい。

 

感想いろいろ

イギリスの教育困難校はいわゆる貧困地域にあることが多く、暴力や麻薬が蔓延し、中学生がナタをふりまわして殺傷事件を起こしたりする。このような地域で教育困難校を立てなおすのはなみたいていの困難さではないであろう。著者は凄い。しかも "It is when people can’t control their own emotions that they start trying to control the behaviour of others." (私訳: 人は感情を制御できなくなったときに、他人の行動をコントロールしようとしだすものだ)という名言の域にある記述をさらりと織り交ぜる。

本書にある「子どもにかける質問」を意識したい。

  1. What happened? (何が起こったの?)
  2. What were you thinking at the time? (その時あなたはどんなことを考えていたの?)
  3. What have you thought since? (あのあとどんなことを考えたの?)
  4. How did this make people feel? (まわりの人たちはどう感じたかな?)
  5. Who has been affected? (誰が影響されたかな?)
  6. How have they been affected? (どんな影響かな?)
  7. What should we do to put things right? (どうすれば修正できるかな?)
  8. How can we do things differently in the future? (今後はどうしようか、どうすれば違うやり方ができるかな?)