2024年8月31日時点。
夏休み中にダイソーの「お助け本棚」をリビングに設置してささやかな家庭文庫を築いた。リビングではスマホを手にとらないことを誓う。スマホをさわる気が起きないほど珠玉の文庫を集めたつもり。
●B-001 岩波文庫『育児の百科 (上中下) 』
ブログ記事参照。子育てが辛くなったときにパラパラめくると、とりあえず頭冷えるきっかけになる。
【おすすめ】一家に一冊、育児の百科事典『育児の百科』 - コーヒータイム -Learning Optimism-
貴志祐介さんの小説全般についてはブログ記事参照。人間の罪深さをこれほどまでに浮き彫りにする〈悪鬼〉〈業魔〉が天才的すぎる。しかしこれで圧倒的に面白いのだから何度も読み返したくなる。
恐れを抱かずにはいられない人間の宿命〜貴志祐介『天使の囀り』 - コーヒータイム -Learning Optimism-
●B-003 講談社文庫『ワイルド・スワン (上中下) 』
ブログ記事参照。正直読み返すのが辛いけれど、手元に置かなければならないと思わせる、血の涙が滲むノンフィクション。
【おすすめ】語ることを禁じられた時代の記憶《ワイルド・スワン》 - コーヒータイム -Learning Optimism-
●B-004 新潮文庫『本所深川ふしぎ草紙』 / ●B-005 PHP文芸文庫『〈完本〉初ものがたり』
宮部みゆきさんの本所深川を舞台にした岡っ引きシリーズはブログ記事参照。
弥次さん喜多さんならぬ北さん喜多さん〜宮部みゆきが本所深川を舞台に贈るシリーズ物『きたきた捕物帖』他 - コーヒータイム -Learning Optimism-
●B-006 PHP文芸文庫『まんぷく 時代小説傑作選』 / ●B-007 ハルキ文庫『ふんわり穴子天』
宮部みゆきさんの『初ものがたり』から「お勢殺し」を収録した『まんぷく 時代小説傑作選』には、江戸の季節料理やお菓子を題材にした美味しい短編小説がたっぷりつまっている。そのうちの「初鮎」が気に入り、出典元である坂井希久子さんの居酒屋ぜんやシリーズ『ふんわり穴子天』も買った。シリーズ後半は、無理矢理なシリアス展開がほのぼの料理場面とあわなくなり、食い合わせがわるい感じがしてきたのだが、前半ののびやかな江戸庶民料理はなかなか魅力的。
●B-008 新潮文庫『幻色江戸ごよみ』 / ●B-009 同『堪忍箱』 / ●B-010 同『かまいたち』
同じく宮部みゆきさんの本所深川を舞台にした短編集。『幻色江戸ごよみ』はあれほど火消しにあこがれたのにいざとなると恐怖で足が竦み逃げ出した文次の心の弱さに忍びよる「だるま猫」、『堪忍箱』は苦労人お春の亡き母親がかつて心揺らいだ「砂村新田」、『かまいたち』はまじめに働く宿屋の夫婦が宿泊客の怪しくもうまい儲け話にしだいに欲をかきたてられる「師走の客」がいっとう好き。
知念実希人先生の天久鷹尾シリーズはなかなか面白いけれど、この本に一番心惹かれたのは『機械仕掛けの太陽』のセルフオマージュに思えるこの言葉。
「もし致死性ウイルスのパンデミックが起きたら、私たちはN95マスクと防護服を身に纏って、有機物でできた殺人マシーンとの戦争の最前線に立つ。それが私たちの職業、医者という仕事なんだ」
知念先生自身が医師であること、医師が感染症患者を診療するなかでみずから感染することが決してめずらしくないことがこの言葉に凄みを添える。
●B-012 新潮文庫『白銀の墟 玄の月(一二三四)』
ブログ記事参照。苛烈な冬を思わせる重厚さ。
【おすすめ】小説ではなく人生そのもの『白銀の墟 玄の月』 - コーヒータイム -Learning Optimism-
ブログ記事参照。要約不可能、全文読むべし。
要約はできない。全文読むべし《百年の孤独》 - コーヒータイム -Learning Optimism-
●B-014 角川文庫『図書館戦争』 / ●B-015 同『図書館内乱』 / ●B-016 同『図書館危機』 / ●B-017 同『図書館革命』 / ●B-018 同『別冊図書館戦争1』 / ●B-019 同『別冊図書館戦争2』
有川浩先生の図書館戦争シリーズは表現の自由についての必読副教材にすればいいと思う。
実質的に検閲合法化と言える〈メディア良化法〉が成立し、言葉狩りが正当化された日本で、表現の自由を守るために武器をとった図書館特殊部隊と良化隊員の「火器まで使用した内戦」を縦軸に、図書館特殊部隊の人間模様を横軸にした物語は、作者の「ひとつだけ大きな虚構以外はとことん現実を書く」という主義を反映して、とことんリアルでとことん泥臭い。(そういえば映画『シン・ゴジラ』もおなじ考え方で製作された)
登場人物自身に「図書館特殊部隊は武器をとったことで正義の味方ではありえなくなった」と言わせながら、「表現の良し悪しは国民自身に判断をゆだねるべきであり、判断機会そのものをとりあげてしまう検閲には賛成できない」という姿勢をつらぬく。そこにあるのは揺らぎやすくも決して折れない、読み手への信頼だと思う。
●B-020 創元SF文庫『銀河英雄伝説1 黎明篇』 / ●B-021 同『銀河英雄伝説2 野望篇』 / ●B-022 同『銀河英雄伝説外伝1 星を砕く者』 / ●B-023 同『銀河英雄伝説外伝2 ユリアンのイゼルローン日記』
ブログ記事参照。特別好きな数冊を買った。
【おすすめ】歴史好き必読のスペースオペラ〜田中芳樹『銀河英雄伝説』 - コーヒータイム -Learning Optimism-
[テーマ読書]読まずに死んだらもったいない小説 - コーヒータイム -Learning Optimism-
●B-024 角川文庫『営繕かるかや怪異譚』
ブログ記事参照。一番好きな3作目はまだ文庫化されていない。とても楽しみ。
古色蒼然としたものたちに息づくモノたち〜小野不由美『営繕かるかや怪異譚』シリーズ - コーヒータイム -Learning Optimism-
1970年代、改革開放直後の中国の若者が「資本主義とはどういうものか」を学ぶためにこの小説を読んだといわれる。
主人公の万俵大介は、冷徹な銀行家として辣腕をふるう一方、家では妻妾同棲という倒錯した生活を送る。金融再編成の波が押し寄せるなか、オーナー頭取をつとめる阪神銀行がほかの都市銀行と合併させられるかもしれないという情報をつかんだ大介は、 永田大蔵大臣をはじめとする政財界とのつながりを駆使し、逆に上位銀行を呑みこむ「小が大を食う」合併をもくろむ。何度読んでも(大介なりに理由あることとはいえ)親子の情さえ切り捨てる冷徹極まりないやり方、それぞれの思惑のなまなましさに慄然とさせられる。