コーヒータイム

日々読んだ本の感想。時々日常。

『君の膵臓をたべたい』(住野よる著)を読んだ

映画にもなった大ヒット青春小説。近所の本屋で、山積みになった文庫本の前でエンドレスにプロモーション映像を流していたため、今でもヒロインの声をはっきりと思い出せる。が……今考えれば「君は嫌がるかもしれないけど、私はやっぱり、君の膵臓をたべたい」なんてセリフをプロモーション映像に入れるのはかなり冒険だったのではないかと思う。

物語は膵臓病で余命一年を宣告された【彼女】、山内桜良の病状を、本好きな一方人間付合いを避ける【僕】が偶然知ったことから動き始める。彼女はもうすぐ死ぬ人間とは思えないほどに明るくて、活発で、【僕】は彼女に振り回されるばかりだが、大量の錠剤や注射器を目にすることで、はっと重苦しい現実を呑みこまされる。【僕】は、しだいに心情が変わっていくことに気づく。タイトルの言葉は最初「病気になったとき、動物の同じ部位を食べるとよくなるというから、私は君の元気な膵臓をたべたい」と言っていたのが、やがて、ちがう意味をもつようになる。夢中になって読むと、読後感はかなりすっきりする小説だ。