コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

中学生になったら読んでみよう〜梅津信幸『あなたはネットワークを理解していますか?』

サイエンス・アイ新書というシリーズを見つけて、面白そうと思い、適当に手に取った一冊。「はじめに」を読んだだけで、きっと正解だと思った。 どのような技術にも、それが生まれた現場にはかならず、不便な現状に思い悩み、寝る間を削って理由を考え、何百…

母親が与えたものと娘が欲したものが、すれ違うとき〜山口恵以子『毒母ですが、なにか』

最後の一文まで読んで思ったこと。 「『アラビアの夜の種族』『82年生まれ、キム・ジヨン』より前に読めばよかった……」 小説のプロローグは1972年8月26日。 男女の双子を産み落とした直後、主人公のりつ子がもらしたモノローグは、小説のタイトル『毒母です…

美味しいエッセイをめしあがれ〜米原万里『旅行者の朝食』

旅先でのごはんは、海外・国内問わず旅行の楽しみのひとつで、美味しいものをつづったエッセイを読むとそれだけで現地までとんで行きたくなるけれど、本書はまさにそれ。 お菓子好きのわたしとしては、本書に登場するハルヴァを食べてみたくてしかたがない。…

お金を増やす方法の模範解答集(現在のところ)〜山崎元、大橋弘祐『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』

この本、「難しいことがわからなければこういうふうに返されますよ」の見本なの?なの? 読み始めてから10分で首をかしげたくなった。 たとえばこれ。 日本国債の買い手ってほとんどが日本国民だから、もし日本が国債の借金を返せなくなったら、お金をたくさ…

家族のあり方が国家政策に定められるということ〜メイ・フォン『中国「絶望」家族』

中国の一人っ子政策は、文化大革命によって経済学者・社会学者・人口学者達が粛清され表舞台から排除されたのちに、国防部門のロケット科学者によって推しすすめられたーー。 ここまで聞いたらもう、この政策がいかなるものか想像付くであろう。 本書はその…

【おすすめ】コンピュータサイエンス専攻必携の教科書〜パターソン&ヘネシー『コンピュータの構成と設計(第5版)』

コンピュータの構成と設計 第5版 上・下電子合本版 作者:デイビッド・A・パターソン 発売日: 2016/10/26 メディア: Kindle版 パタヘネの愛称で知られる、コンピュータサイエンス専攻必携教科書。非常にわかりやすく書いてあるため、想像力をフル回転させれば…

【おすすめ】社会生活のあらゆるものは「システム」の一部である〜C.クリアフィールド&A.ティルシック『巨大システム失敗の本質』

巨大システム 失敗の本質: 「組織の壊滅的失敗」を防ぐたった一つの方法 作者:クリス・クリアフィールド,アンドラーシュ・ティルシック 発売日: 2018/11/30 メディア: 単行本 必読。システムというものがコンピュータの中だけではなく、電力、ガス、上下水道…

不動産投資を考えるならば失敗例も知っておきたい〜小林大貴『知らないと取り返しがつかない 不動産投資で陥る55のワナ』

仕事柄「どういう事故や失敗が起こりうるか」という視点からものを見ることが多い。本書も、不動産投資での失敗例について知るために読んだ。 著者は住友不動産出身で、現在は賃貸用不動産経営と不動産投資コンサルタントをメインに活動している。住友不動産…

お金のことを学ぶのは恥ずかしいことではない、早ければ早いほど良い〜ボード・シェーファー『マネーという名の犬』

家を買いたい、というのが夫がよく言うことだ。 どうやら親戚が東アジアの某国で買った投資用不動産が値上がりしており、その成功体験をよく聞かされ、「不動産を買いなさい」とせっつかれているらしい。 夫の希望は土地付一戸建て。土地付は譲れないらしい…

ひねくれ者世にはばかる、そこが好き〜フミコフミオ『 ぼくは会社員という生き方に絶望はしていない。ただ、今の職場にずっと……と考えると胃に穴があきそうになる。』

フミコフミオ氏は有名なブロガーだというけれど、私は彼のブログを読んだことがない。この本を手にとったのをきっかけに読んでみた。うーん、今年入社したとある後輩のブログとどことなく雰囲気が似通っている。後輩くんも20年後にはこういうブログを書いて…