コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

<英語読書チャレンジ 73 / 365> 【おすすめ】説明不要のSF傑作《プロジェクト・ヘイル・メアリー》

英語の本365冊読破にチャレンジ。原則としてページ数は最低50頁程度、ジャンルはなんでもOK、最後まできちんと読み通すのがルール。期限は2027年10月。20,000単語以上(現地大卒程度)の語彙獲得と文章力獲得をめざします。

映画《火星の人》の原作者アンディ・ウィアーの大人気SF小説を原文で読んだ。難しい単語や口語表現がそれほどないためとても読みやすい。

今回は読みながらそのとき感じたことをX (Twitter) 風にまとめてみた。

~~~~~第1章~~~~~

[P.1 / 478] お、わけわからん部屋で目覚める記憶喪失主人公の一人称か〜。イイネ。映画冒頭みたい。

[P.11 / 478] めちゃ笑う。なにが "--aaaand they're dead." や。すごいコメディタッチ。

[P.17 / 478] 実験室にあるものを数えあげてから「ちょっと待て、なぜ俺はこんなことを知っている?俺は科学者だったのか?」とセルフツッコミするのがめちゃ秀逸。たしかに一般人はオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)とか8000倍顕微鏡とか見ただけでほいほい認識できんわな。一人称が生きる。

[P.18 / 478] うへぇ物理公式なんてもう見たくもないわ……はあ!?!?!?

~~~~~第2章~~~~~

[P.24 / 478] うわあこう来るかー……ここで日本が出てくるのは嬉しいね。よりによってアマテラスーー天照大御神の御名を冠した宇宙探査機がこの発見の主役になるのがなんとも皮肉。

~~~~~第4章~~~~~

[P.70 / 478] 二転三転する展開にジェットコースターのごとく翻弄されまくるけどそれが気持ち良くなってきたぞぉ。自分のエゴのためなんかじゃない、子どもたちのためだ!と怒鳴る主人公も、それで説得されちゃう姐御(と呼びたくなる)もイイネ……アメリカ人こういう展開好きそう。

[P.73 / 478] Beatlesでクスッと笑えたところを唐突に奈落の底に突き落とすのひどい(泣)そこに気づいちゃう主人公の鋭さと冷酷なまでの冷静さがもうこのプロジェクト・ヘイル・メアリーのクルーにふさわしいよ……。

~~~~~第5章~~~~~

[P.88 / 478] Moe and Shemp (the sun-seekers) とLarry and Curly (the Venus-seekers) の元ネタを探しまくる。アメリカの大人気コメディグループThe Three Stooges(邦訳『三バカ大将』)のメンバーなのね。おぉ……と唸るような大発見をした主人公のあつかいが地味にひどい(笑)まあ特殊訓練を受けていない人間を戦闘機に乗せたらどうなるかはNASAが出てくる映画で履修済みだけど。

~~~~~第6章~~~~~

[P.120 / 478] おぉっ?おぅ……うん?こう来る?(絶句)

~~~~~第10章~~~~~

[P.192 / 478] あまりに衝撃的すぎてここまでノンストップでとばし読みしてきたけれど、ここであまりにもアホらしい場面転換がありべつの意味で絶句。「これまでにない意思疎通手段」を模索して四苦八苦する主人公側と、「これまでなされてきた意思疎通記録」のために審判にかけられる地球側責任者。対比が残酷すぎる。(とばし読みのせいで誤読しているのかもしれないけれど)

~~~~~第14章~~~~~

[P.244 / 478] ここ何度も読みなおした。泣くよね。

"Me?" she said. "Doesn't matter. Once the Hail Mary launches, my authority ends. I'll probably be put on jail by a bunch of pissed-off governments for abuse of power. Might spend the rest of my life in jail."

"I'll be in the cell next to you." said Leclerc.

進化論仮説宇宙バージョンにはくすりと微笑んだ。

~~~~~第17章~~~~~

[P.291 / 478] そう来るか!!!生物学万歳!!!Astrophage (Astro- "宇宙の" + Phage "ファージ=細菌や古細菌に感染するウイルスの一種) という命名から考えればこれはある意味自然宿主探しにあたるのかな?現実でもウイルス研究に自然宿主探しは欠かせない。エボラウイルスを宿すオオコウモリとか。

~~~~~最終章~~~~~

[P.478 / 478]もうここまで一気読みですよ。最終章の数字表記、バグかと思ったけどそういうことね(笑)うーんこれでよかった……のかなあ……数十光年離れたところにあるものを観測するわけだから、たぶん50年かそこら経過しないと最終的結果はわからないわけで。生あるうちに自分が成し遂げたことを確認できたのは幸いであろうし、そもそもプロジェクト・ヘイル・メアリーはほぼ生還不可能のミッションであったし(この作者神風特攻隊でも参考にしたんか?)、子どもたちに教えつづけている年老いた主人公の姿は感動的だけど。うーん……こうなるしかなかったかなあ……。

 

 

現代サラリーマンあるある!?〜フランツ・カフカ《城》

ノルウェー・ブック・クラブが選出した「世界最高の文学100冊」(原題:Bokkulubben World Library)の一冊。《審判》(または光文社古典新訳文庫によれば《訴訟》)と同じくフランツ・カフカの小説で、晩年に書かれた未完長編。

ある城を囲む雪深い寒村に、測量士ヨーゼフ・Kがやって来る。よそ者を警戒する村民たちに、Kは城の城主ヴェストヴェスト公爵に要請されてきた測量士だと説明する。しかし城からは城に来なくていいと電話で言い渡され、村の長官クラムからは村長を上司として仕事するようにとの伝言があり、仕事内容も報酬条件も明らかにされない。Kはなんとか城に行こうとするが、城からのお墨付きがはっきりせず、来たばかりで村長ら有力者とのつながりもうまく構築できていないKに、村民たちは協力的とはいえない。Kは村を歩きまわるうちに、村に張り巡らされた見えない蜘蛛の糸のような人間関係のもつれに絡みとられていく。

《訴訟》と同じく《城》も、主人公には理解できず明らかにされることもないなんらかのロジックで動く人々を相手にむなしく右往左往する物語。なぜか地位と名声がある男性の助けはディスりまくるのに(プライドのためか?)酒場の給仕女など社会的地位が低い女性の助力を必要以上にありがたがるのも同様。

しかし読めば読むほど、ど田舎あるある、それどころか現代のサラリーマンあるあるに思えてならない。内輪に閉じてよそ者に冷たい組織、だれが上司でだれが怒らせてはならない実力者なのかわからない状況、よそ者が有力者(クラム)の機嫌を損ねることをしでかしたと言いがかりをつけてくる腰巾着、意味不明な地元ルールを守らなかったとキレてののしる下っぱ(酒場主人とおかみ)、逆によそ者に色目をつかいトラブルに巻きこむ水商売女(某有力者のお気に入りであるとの噂までがお約束)。カフカの心情描写と情景描写が見事過ぎて、あたかも読者自身が追体験しているかのよう。

小説自体は未完だけれど、一説によれば、カフカはKが死ぬ結末を考えていたという。死ぬまでには至らずとも、失意のうちに村を去ることになるのは確かだろう。Kには城とその城下村のロジックがまったく理解できていないのだから。

 

カフカの描く認知の歪み〜フランツ・カフカ《訴訟》

 

ノルウェー・ブック・クラブが選出した「世界最高の文学100冊」(原題:Bokkulubben World Library)の一冊。フランツ・カフカの未完の中編小説。一般的には《審判》のタイトルで知られているけれど、訳者は堅苦しすぎると思い、内容的にも喜劇のにおいがするとして、カフカの原題をふまえて《訴訟》にしたという。

この《訴訟》に有名な《掟の門》というエピソードが登場する。《掟の門》は私が大学で第二外国語として選んだドイツ語で、最初に読んだ物語である。教師に感想を問われたとき、私は素直に「ドイツ語としてはわかりますが、カフカがなにを言いたいのかわかりません」と答えた。《訴訟》の中ではこの物語にある程度説明をつけているが、うん、やっぱりよくわからない。

 

《訴訟》の話の筋自体はシンプル。銀行員で重要なポジションにつきつつあるヨーゼフ・Kは、ある日、目が覚めたら部屋の中に見知らぬ男がいて、「あなたは逮捕された」と宣告されるという異様極まりない状況に投げ込まれる。しかも男とその同僚はただ言われたからKのところに来ただけで逮捕の理由など知らないといい、毎週日曜日に行われる審理に出席する以外は、仕事に出てもいいし、飲みに行ってもいいという。

Kは身に覚えがない訴訟に腹を立てながらも、さっさと無罪を勝ち取ろうとするが、あまりに不透明でいい加減な訴訟進行(裁判所専用の建物すらなく、ごちゃごちゃした住宅街の一角に間借りした部屋で審理が開かれるほど)、役立つのかどうかわからない弁護士(今日とは違い、弁護士は法廷に入ることは許されず、書類仕事やら検事とのコネ作りやらで暗躍するのみ)、銀行での競争相手の嫌がらせといったことにしだいにメンタルを削られ、精神的に追い詰められていく。

不条理な状況に腹を立てるKの心理描写は実に巧み。まるで21世紀の新橋の高架下でサラリーマンが焼き鳥で一杯やりながらくだを巻いているように、数ページも改行なしで心の声が垂れ流しされているのに、読みやすく、共感しやすい。最初の頃は筋道が立っており、無駄なくすっきり、困惑と腹立たしさがありありと共感できる。しかししだいにKの心理状況が混乱し始める。叔父が苦労して引き合わせた弁護士と裁判所事務局長はいい加減にあしらうのに、仕事で知りあった工場長から紹介された「裁判官の肖像画をよく描く」画家やら、裁判所の廷吏の女房やらのうさんくさい人々を、まるで自分の訴訟に影響力を及ぼすことができると信じているかのようにやたら持ち上げはじめ、弁護士を解任し、多忙な銀行支配人という仕事をおざなりにして自分で請願書や弁論をしようとする。まるで裁判所連中も弁護士も無能揃いで、そこに有能で法をわきまえた自分が出向くことで無能連中を啓蒙し、腐った司法制度に風穴をあけることができるといわんばかり。結果はもちろんそうならず、ますますKは追い詰められていく一方。古典文学とは思えないほど身近で、よくある、共感しやすいやり方だ(そしてもちろんたいていうまくいかない)。

 

【おすすめ】自己啓発書の手引きはこれ一冊〜アナ・カタリーナ・シャフナー『自己啓発の教科書』

2024年、新年1冊目の読書はこれ。

 

なぜこの本を読むことにしたか

なぜわたしはこの本を読むために時間を使うのか。

①世界の見方を根底からひっくり返す書物、

②世界の見方の解像度をあげる書物、

③好きだから読む書物

この本は②。ある時期にビジネス書や自己啓発本を読みあさったことがあるが、読んでいる間はなんだか何者かになれそうな気がしても、本を閉じれば結局何も変わらないことに気づいて、しだいに読まなくなった。その自己啓発界隈をまとめている本として久々に手に取ったのが本書。

 

本書の位置付け

4.5兆円にものぼる自己啓発書の巨大市場を真面目に研究して、自己啓発を総括し、系統分類し、その限界を論じた、いわゆる「自己啓発」といわれるものの全体像を俯瞰するための一冊。

 

本書で述べていること

著者によれば、自己啓発書はすべて以下10系統のいずれかに分類できるという。

自分を知る: いわゆる自己分析、性格傾向、タイプ別診断など。古代ギリシャソクラテスヒポクラテスたちに源を発し、フロイトユングたちが発展させてきた。ただし著者によると、自己啓発やビジネスの世界ではもてはやされているユングの類型学的アプローチだが、実は心理学者たちには見向きもされていないという。

心をコントロールする: 最近流行りのアンガーマネジメントなど。極端例がセネカマルクス・アウレリウスなどが提唱するストア派哲学で、自分自身の外側にあるものはコントロール不可能だからすべてなりゆきまかせで意味をもたせない一方、内側に起こるものは100%自己責任であり、理性が感情をコントロールしなければならないと説く。

手放す: これについては東洋と西洋で解釈が分かれる。西洋では《アナと雪の女王》でエルサが歌う "Let It Go 〜ありのままで〜" が典型。不本意ながら社会から押しつけられたあらゆる戒めを手放してありのままの自分に戻れば、無限の可能性が開ける、というやつだ。一方東洋では老子の《道徳経》と仏教の教えが典型的で、欲望と執着を手放すことで心の平穏と自由を得られると説く。

善良になる: 善きものをどう定義するかで教えが変わるが、「善」とは本質的に自分以外の者が下す評価であるため、しぜんと利他的行動が推奨される。キリスト教では〈善きサマリア人〉が典型。儒教では自己より社会を優先させ、しきたりや上下関係に従うことでこれを示すのが善であり、仏教では不殺生が善であるように。

謙虚になる: 謙虚さとは「物事の秩序のなかの自分の位置を知ることで、自然にあふれてくる慎み深い気持ちのこと」で、謙虚になるということは、つまりは身の程をわきまえるということである。身の丈にあわないことを望み、それが得られないと悲しんだり怒ったりするのは本人には苦しいし、側からみれば滑稽だからだ。問題は、身の程とはどれほどのものかということで、ここをどう解釈するかは、人間とはどういう存在かという問いにたどり着く。

シンプルに生きる: いわゆるミニマリスト。こんまり流整理術は、風水や神道をとり入れ、本当に大切なものを見極めるようすすめることで己の価値観とも向かいあうことをすすめる。しかし一方、コロナ禍に伴うオンライン活動拡大が、情報氾濫を推し進め、シンプルに生きることを難しくさせている。

想像力を働かせる: いわゆる物語を語ることによりさまざまな教訓を身近でわかりやすいものにしたり、既存のものに挑戦したりする力。

やり抜く: イソップ寓話のウサギとカメのお話が典型であろうが、「堅忍であるために必要なのは、確固とした目標と勇気──もっと正確にいえば、逆境でも目標を諦めない勇気である」とある通り、やり抜くための資質を培うことが重要視される。

共感する: ロングセラーであるカーネギー自己啓発書《人を動かす》は、人に共感することを柱としている。逆にマキャベリの《君主論》は、リーダーは恐れられるものでなければならないとして共感や同情に重きを置いていない。共感するとは、すなわち人が好むものや苦手なものを把握し、ときにはそれで人の行動を操ることになりうる。

今を生きる: 現在起こっていることをありのままに受け入れ、ただ眺めなさいと諭すマインドフルネスや「置かれた場所で咲きなさい」という考え方。

 

感想いろいろ

序文に自己啓発書の存在意義がこれ以上ないほどシンプルに述べられているのがもう凄い。

自己改善は私にとって極めて個人的なテーマである一方で、哲学的、心理学的、社会学的にも重要な意味を持っている。というのも、人というものは学び、より良い方向へ変わることができるという信念、そして(一定の限度内で)自分を好きなように形作ることができるため、親と同じ運命が待っているわけではないといった信念に基づいているからだ。

アーサー王の「女性が真に欲するものはなにか?」という問いかけや、アウシュビッツ絶滅収容所においてさえ自己の在り方を選ぶことができると説く《夜と霧》に代表されるように、いかなる極限状態におかれても、自分自身の運命を変えられると信じるのが、人を支える根源的信念ではないだろうか?

人の運命を決めると信じられている神様でさえ、慈悲を与えたり、罰を下したりするのは、人が選びとる行動に対してである。結局すべては行動次第だ。

マザー・テレサの有名な言葉がある。

 思考に気をつけよう、それは言葉になるから。

 言葉に気をつけよう、それは行動になるから。

 行動に気をつけよう、それは習慣になるから。

 習慣に気をつけよう、それは性格になるから。

 性格に気をつけよう、それは運命になるから。

自己啓発は、この一番最初の「思考」を変えんとする試みであり、その先には自分の運命を変えんとする試みがあることが、ここからも明らかである。

本書は自己啓発本を分類してまとめたものだけれども、その根底にあるのは単なる研究ではなく、著者自身が抱く、内気な性格を自覚して、自分を変えるなんらかのヒントがほしいという願いだ。ゆえにこの本は自己啓発書の手引きにもなるし、著者から見た自己啓発書の長所と短所をまとめたものとしても読める。私は後者として読んだ。

[テーマ読書](未完 5 / 70)中国最高の現代小説70作品を読んでみた

2023年総集編。

2019年、中国政府が建国70周年を記念して、中華人民共和国最高の現代小説70作品を選出した。中国語を学ぶのによいし、政府がどのような価値観を推奨しているかを学ぶのにとてもよい。

目標は2030年までに全作読破。以下、選出された70タイトルとその作者。基本的に原文そのまま。邦訳があるものはそのタイトルも併記した。

 

1《風雲初記》


2《鉄道遊撃隊》


3《保衛延安》


4《三里湾》


5《紅日》


6《紅旗譜》


7《我們播種愛情》


8《山郷巨変》


9《林海雪原》


10《青春之歌》


11《苦菜花》


12《野火春風闘古城》


13《上海的早晨》


14《三家巷》


15《創業史》


16《紅岩》

未邦訳。1949年まで続いた第二次国共内戦(政権をめぐる国民党と共産党の内戦)の代表的な歴史小説。1961年に出版されてたちまちベストセラーとなった。作者らはその時期、共産党員として内戦に身を投じており、半自伝小説でもある。

舞台は1948年の重慶。当時政権をにぎっていたのは共産党と対立する国民党。迫害されていた共産党員たちが、新聞を地下出版する、国民党軍にゲリラ的襲撃をしかけるなどしてひそかに活動範囲を広めながら、国民党政府を打倒しようと地下活動するさまが主な内容。ちなみに軍事作戦は、小説終盤の集団脱獄をのぞいて正面切って描かれることはほぼなく、登場人物たちの会話や、捕らえられ監獄に収容された者の証言などとして間接的に語られる。

物語の半分近くは、当時重慶に実在していた政治犯監獄〈スラグ洞収容所〉〈白公館収容所〉を舞台にしているが、これは作者らが実際にそこに収監されており、集団脱獄にも加わったためである。

小説が書かれた動機は、監獄生活を通して知りあったすぐれた人々のこと、監獄内で繰り広げられていた政治闘争のことを後世に伝えるためである。共産党員たちは(寝返った者をのぞけば)英雄的存在として描かれ、共産党への忠誠心の深さ、どれほど心身を痛めつけられようとも理念をまげない心の強さ、大義のためなら己の生命をもかえりみない献身精神などが強調されている。一方、敵役となる国民党構成員は、政治犯を劣悪な監獄にとじこめて拷問や飢餓で虐待しながら、アメリカの政治顧問にはへこへこして取り入ろうとするなさけない姿として描かれる。

 

17《艶陽天》


18《大刀記》


19《万山紅遍》


20《東方》

 

21《青春万歳》


22《許茂和他的女児們》


23《冬天里的春天


24《沈重的翅膀》


25《黄河東流去》


26《蹉跎歳月》


27《新星》


28《鐘鼓楼》

 

29《平凡的世界》


30《第二個太陽》

 

31《紅高粱家族》

ブログ記事参照。

リアルな出来事に芸術的視点をまぶした印象派絵画のような小説〜莫言『赤い高粱』『続・赤い高粱』 - コーヒータイム -Learning Optimism-


32《雪城》

 

33《浴血罗霄》

 

34《穆斯林的葬儀》

 

35《九月寓言》

 

36《白鹿原》

 

37《長恨歌

 

38《馬橋詞典》

 

39《抉择》

 

40《草房子》

 

41《中国制造》

ブログ記事参照。

世紀末、中国長江沿いのある都市でのものがたり〜周梅森《中国製造》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

 

42《尘埃落定》

 

43《突出重囲》

 

44《李自成》

 

45《歴史的天空》

 

46《亮剣》

 

47《茶人三部曲》

 

48《東蔵記》

 

49《雍正皇帝》

 

50《日出東方》

 

51《省委書記》

 

52《水乳大地》

 

53《狼図騰》

 

54《秦腔》

 

55《额尔古纳河右岸》

 

56《藏獒》

 

57《暗算》

 

58《笨花》

 

59《我的丁一之旅》

 

60《我是我的神》

 

61《三体》

ブログ記事参照。

SF小説、謎解きミステリー、哲学的思考実験としてもすばらしい〜劉慈欣『三体』 - コーヒータイム -Learning Optimism-

 

62《推拿》

 

63《湖光山色》

ブログ記事参照。

病めるときはそばにいたのに、健やかなるときはそばにいられなくなる〜周大新《湖光山色》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

 

64《大江東去

 

65《天行者》

 

66《焦裕禄》

 

67《生命册》

 

68《繁花》

 

69《黄雀記》

 

70《装台》

[テーマ読書](未完 34 / 100)世界最高の文学100冊を読んでみた

2023年総集編。

ノルウェー・ブック・クラブが選出した「世界最高の文学100冊」(原題:Bokkulubben World Library)というものがあることを知り、全作読んでみることにした。

https://www.bokklubben.no/SamboWeb/side.do?dokId=65500

目標は2030年までに全作読破。英語原著はできるだけ原文で読みたいけれど英語以外でも可。ルールはこれだけ。さらにせっかく読むのだから、読む前と読んだあとで自分の思考がどう変わったかをメモしておくと最高。

以下、選出された100タイトル。「ドン・キホーテ」が最高傑作であることを除けばとくに順番は定めていないらしいので、ウェブサイトで公開された順番そのまま。メモがないものは未読。

 

Chinua Achebe (b. 1930)
Things Fall Apart (Nigeria)(邦題《崩れゆく絆》)
ブログ記事参照。わたしたちが生まれ育ち、あたりまえだと信じている地域社会のありかたが、いかに簡単に崩れゆくか、なぜ崩れゆくか、植民地化前後のナイジェリアでの出来事を通して、考えさせずにはいられない傑作。わたしたちのやり方を、ほかの社会との相対的視点から見る必要があることを、いつでも思い起こさせてくれる名著。
ナイジェリアとイギリスの価値観が出会うとき〜チアヌ・アチェべ《崩れゆく絆》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

 

Hans Christian Andersen (1805-1875)
Fairy Tales and Stories (Denmark)(邦題《アンデルセン童話集》)
子供の頃、最初に買ってもらったシリーズものがアンデルセン童話全集。全16冊。有名な人魚姫などの物語は1冊目にまとめてあったため、1冊目だけよく読んでボロボロになった。2冊目以降は大人向けの話が増えてきて、『雪の女王』『パンを踏んだ娘』『世界一の美しいバラの花』『食料品屋の小人の妖精』は何度も読み返した。子供の頃は意味がよくわからなかった。けれどいまならわかる。ある程度人生経験を積んでからわかるようになるのが、アンデルセン童話の魅力だと思う。

Jane Austen (1775-1817)
Pride and Prejudice (England) (邦題《高慢と偏見》)
ジェーン・オースティンの傑作恋愛小説。学生時代に読んだときには、娘たちに金持ちの夫をあてがってやろうと目の色変える主人公エリザベスの母親のあさましさにドン引きしたが、主人公一家が所属するジェントリ階級の女性は働くことができず、ほとんど財産も相続できず、裕福な男性に嫁がなければ生活が立ちゆかなくなる時代背景を知るにつれ、逆に資産家であるダーシーを拒むエリザベスこそがある意味変人だったのかもしれないと考えるようになった。頭の回転が速く、はっきりと物を言い、己の間違いから目をそむけないエリザベスは、わたしが想像する「いい女」のイメージにかなり影響を与えている。

Honoré de Balzac (1799-1850)
Old Goriot (France)(邦題《ゴリオ爺さん》)
初読時は主人公である没落貴族の末裔ラスティニャックが、ゴリオ爺さんの娘のひとり、ニュシンゲン夫人にあからさまに取り入るさまにドン引きした。しかし、当時のパリでは貴婦人たちがお気に入りの若者ーー美貌で聡明、野心あふれる者達ーーを恋人扱いし、見返りに出世を支援することがよくあったと知り、カルチャーショックを受けた。病死したゴリオ爺さんの墓前でラスティニャックが「成り上がってやる、勝負だ」などと独白したその足で、ニュシンゲン夫人との晩餐会に出かけるというラストシーンがなんとも気味悪く、貧乏で才気煥発な若者が、父親を金蔓としか思わず、金が尽きれば病死するにまかせるような女におべっかを使わなければ出世できない皮肉が忘れられなかった。社会の現実というものを考えるいいきっかけになったと思う。

Samuel Beckett (1906-1989)
Trilogy: Molloy, Malone Dies, The Unnamable (Ireland) (邦題: 三部作《モロイ》《マロウンは死ぬ》《名付けえぬもの》)

 

Giovanni Boccaccio (1313-1375)
Decameron (Italy)(邦題《デカメロン》)
 

Jorge Luis Borges (1899-1986)
Collected Fictions (Argentina)(邦題《伝奇集》)
 

Emily Brontë (1818-1848)
Wuthering Heights (England) (邦題《嵐が丘》)
エミリー・ブロンテの《嵐が丘》は英国文学史上最高傑作だと名高いけれど、初読時は異様にねちっこい性格の主人公ヒースクリフも、彼が執着する(あれを愛情とは思えなかった)キャサリンも狂気じみているとしか思えなかった。姉のシャーロット・ブロンテの名著《ジェイン・エア》初読時も、自分を世話する大人にいい顔すれば食べものをもらえるのにそうせず、変なプライドで意地張っているようにしか見えないジェインが好きになれなかった。ブロンテ姉妹の作品は、わたしにとって、喉に刺さった小骨のように不快感を残すけれど、なぜか忘れられない。ジェインやキャサリンのようになりたくないという意味で、思考に影響しているとは思う。

Albert Camus (1913-1960)
The Stranger (France)(邦題《異邦人》)
 

Paul Celan (1920-1970)
Poems (Romania/France)
 

Louis-Ferdinand Céline (1894-1961)
Journey to the End of the Night (France)(邦題《夜の果てへの旅》)
 

Miguel de Cervantes Saavedra (1547-1616)
Don Quixote (Spain)(邦題《ドン・キホーテ》)
 

Geoffrey Chaucer (1340-1400)
Canterbury Tales (England) (邦題《カンタベリー物語》)
 

Joseph Conrad (1857-1924)
Nostromo (England)(邦題《ノストローモ》)
 

Dante Alighieri (1265-1321)
The Divine Comedy (Italy)(邦題《神曲》)
 

Charles Dickens (1812-1870)
Great Expectations (England)(邦題《大いなる遺産》)

ブログ記事参照。ある程度人生経験を重ねてから読めばどんどん先に進まずにはいられなくなる。若いころに大切にしていたもの、軽んじていたものが、実は真逆であったと気づいたときには、たいていすでに取返しがつかない。《大いなる遺産》はこのことをこれ以上なく鮮烈に見せつける悲喜劇である。

<英語読書チャレンジ 3/100> Charles Dickens “Great Expectations”(邦題《大いなる遺産》) - コーヒータイム -Learning Optimism-

Denis Diderot (1713-1784)
Jacques the Fatalist and His Master (France)(邦題《運命論者ジャックとその主人》)
 

Alfred Döblin (1878-1957)
Berlin Alexanderplatz (Germany)(邦題《ベルリン・アレクサンダー広場》)
 

Fyodor M. Dostoyevsky (1821-1881)
Crime and Punishment (Russia) (邦題《罪と罰》)

 

The Idiot (Russia)(邦題《白痴》)

 

The Possesed (Russia) 邦題《悪霊》)

 

The Brothers Karamazov (Russia) (邦題《カラマーゾフの兄弟》)
ブログ記事参照。第一部でこれなのだから、作者の死により書かれなかった、アレクセイが主人公だという第二部はどれほどの傑作になりえただろう。

【おすすめ】読まずに死ねない〜ドストエフスキー《カラマーゾフの兄弟》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

George Eliot (1819-1880)
Middlemarch (England)(邦題《ミドルマーチ》)
ブログ記事参照。副題のとおり、小説というより研究文献というべき作品。

<英語読書チャレンジ 44 / 365> G.Eliot “Middlemarch”(邦題《ミドルマーチ》) - コーヒータイム -Learning Optimism-

Ralph Ellison (1914-1994)
Invisible Man (USA)(邦題《見えない人間》)
 

Euripides(ca. 480-406 BC)
Medea (Greece)(邦題《メディア》)
中野京子著「怖い絵」シリーズでメディアの絵が紹介されたことをきっかけに知った。夫であるイアーソーンに裏切られたメディアが、滾る怒りのままにイアーソーンが結婚しようとしていた王女とその父親である国王を焼き殺し、さらにイアーソーンとの間にもうけた子供二人までみずからの手で殺して、駆けつけたイアーソーンを「おまえのせいだ!」と痛罵して去る、という物語は、いざとなればここまでする女の怖さを凝縮して顔面めがけてたたきつけられるようで、鳥肌が立った。

William Faulkner (1897-1962)
Absalom, Absalom! (USA)(邦題《アブサロム、アブサロム!》)
 
The Sound and the Fury  (USA)(邦題《響きと怒り》)
 

Gustave Flaubert (1821-1880)
Madame Bovary (France)(邦題《ボヴァリー夫人》)

A sentimental Education (France)(邦題《感情教育》)
 

Federico García Lorca (1898-1936)
Gypsy Ballads (Spain)(邦題《ジプシー歌集》)
 

Gabriel García Márquez (b. 1928)
One Hundred Years of Solitude (Colombia)(邦題《百年の孤独》)
ブログ記事参照。要約不可能、全文読むべし。

要約はできない。全文読むべし《百年の孤独》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

Love in the Time of Cholera (Colombia)(邦題《コレラの時代の愛》)
 

Gilgamesh (ca. 1800 BC)
Mesopotamia(邦題《ギルガメシュ叙事詩》)
 

Johann Wolfgang von Goethe (1749-1832)
Faust (Germany) (邦題《ファウスト》)
ブログ記事参照。初読時はグレートヒェンを妊娠させて不幸のどん底に落としておきながらのうのうと魔女の夜会に参加するファウストのことを最低野郎だと思っていたが、彼が選んだ「時よ止まれ、お前は美しい」という場面があまりに衝撃的で、ファウストが生きることをどう思っていたのか考えずにはいられなかったが、わたしにはまだわからない。

ゲーテ《ファウスト 第1部》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

ゲーテ《ファウスト 第2部》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

Nikolaj Gogol (1809-1852)

Dead Souls (Russia)(邦題《死せる魂》)
 

Günter Grass (b. 1927)
The Tin Drum (Germany)(邦題《ブリキの太鼓》)
 

João Guimarães Rosa (1880-1967)
The Devil to Pay in the Backlands (Brasil)
 

Knut Hamsun (1859-1952)
Hunger (Norway)(邦題《飢え》)
 

Ernest Hemingway (1899-1961)
The Old Man and the Sea (USA)(邦題《老人と海》)
老漁師の目に映る海の描写がすばらしくて、海に近いところで生まれ育った思い出がよみがえって泣きそうになる。貧困にあえぐ老漁師はある日、これまでにないほど大きい、漁船よりもまだ体長があるカジキに餌を食わせることに成功するが、なお体力衰えないカジキを相手に、老漁師の孤独な闘いが始まる。少年は涙を流し、疲労の極致にいたった老漁師は眠る。人は自然の摂理のなかにあり、老いること、力弱ること、奮いたつこともまた自然の摂理であるということを思い出させ、恐れることではないという気持ちにさせてくれる作品。

Homer (ca. 700 BC)
The Iliad (Greece)(邦題《イーリアス》)
大学時代にひまをもてあまして図書館で読んだ。トロイア戦争終盤、ある事件をきっかけにギリシャ勢の勇士アキレウス(アキレス腱の語源)と総大将アガメムノーンが喧嘩し、アキレウスが戦場放棄してテントにこもってしまうという、3000年近く前に書かれたとは思えないほど人間臭く共感しやすい物語。ギリシアの神々が各陣営にわかれて人間の戦争に肩入れするのが面白い。アガメムノーンとアキレウスの喧嘩場面は現代にもそのままありそうで、何千年経過しても人間変わらねーなーと心底思ったことを覚えている。

The Odyssey (Greece)(邦題《オデュッセイア》)
子どもの頃、児童向け文学全集で読んだ。オデュッセウスが航海中、部下6人を怪物に食わせるか、船ごと破壊されるかという残酷な二択を迫られ、嘆きながらも部下6人の犠牲を選んだところ。ここが一番衝撃的だった。子どもの頃は、オデュッセウスが下した選択のせいで部下が死ななければならないのかと理不尽に思ったものの、大人になってからは、「効率良く味方を殺す」ことができなければ全滅するしかないときもあるのだと知った。早々に現実の冷酷さを思い知らされたといえる。

Henrik Ibsen (1828-1906)
A Doll's House (Norway)(邦題《人形の家》)
 

The Book of Job (600-400 BC) (Israel)(邦題《ヨブ記》)
 

James Joyce (1882-1941)
Ulysses (Ireland)(邦題《ユリシーズ》)
 

Franz Kafka (1883-1924)
The Complete Stories (Bohemia)

 

The Trial (Bohemia)(邦題《審判》)

 

The Castle (Bohemia)(邦題《城》)
 

Kalidasa (ca. 400)
The Recognition of Sakuntala (India)(邦題《シャクンタラー》)
 

Yasunari Kawabata (1899-1972)
The Sound of the Mountain (Japan)(《山の音》)
ブログ記事参照。日本人読者の心に沁みるおだやかな短編小説連作集。

流れゆく時からふと汲みあげた小説〜川端康成《山の音》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

Nikos Kazantzakis (1883-1957)

Zorba the Greek (Greece)(邦題《その男ゾルバ》)
 

D.H. Lawrence (1885-1930)
Sons and Lovers (England)(邦題《息子と恋人》)
 

Halldór K. Laxness (1902-1998)
Independent People (Iceland)
 

Giacomo Leopardi (1798-1837)
Complete Poems (Italy)
 

Doris Lessing (b. 1919)
The Golden Notebook (England)(邦題《黄金のノート》)
 

Astrid Lindgren (1907-2002)
Pippi Longstocking (Sweden)(邦題《長くつしたのピッピ》)
 

Lu Xun (1881-1936)
Diary of a Madman and Other Stories (China)(邦題《狂人日記》他)
ブログ記事参照。激動の時代に放たれた怒りと告発の叫びは、さまざまに政治利用されながら、今なお力強い。
家畜の安寧に甘んじるなという叫び〜魯迅《小説集・呐喊》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

Mahabharata (ca. 500 BC) (India)(邦題《マハーバーラタ》)

 

Naguib Mahfouz (b. 1911)
Children of Gebelawi (Egypt)
 

Thomas Mann (1875-1955)
Buddenbrooks (Germany)(邦題《ブッデンブローク家の人々》)


The Magic Mountain (Germany)(邦題《魔の山》)

 

Herman Melville (1819-1891)
Moby Dick (USA)(邦題《白鯨》)
 

Michel de Montaigne (1533-1592)
Essays (France)
 

Elsa Morante (1918-1985)
History (Italy)(邦題《イーダの長い夜 ― ラ・ストーリア》)
 

Toni Morrison (b. 1931)
Beloved (USA)(邦題《ビラヴド》)
 

Shikibu Murasaki
The Tale of Genji (Japan)(《源氏物語》)
日本人なら説明不要の超有名古典だけれど、通読できた人はそれほどいないと思う。わたしもあらすじはわかるけれど読み通せたのはほんのわずか。けれど、《源氏物語》をきっかけに王朝文化に興味をもつようになったのだから、影響ははかりしれない。

あなたの知らない平安時代へようこそ〜山本淳子『平安人の心で「源氏物語」を読む』 - コーヒータイム -Learning Optimism-

Robert Musil (1880-1942)

The Man without Qualities (Austria)(邦題《特性のない男》)
 

Vladimir Nabokov (1899-1977)
Lolita (Russia/USA)(邦題《ロリータ》)
 

Njals saga (ca. 1300)  (Iceland)
 

George Orwell (1903-1950)
1984 (England)
ブログ記事参照。不快極まりないディストピア。これ以上説明する気にもなれない。けれど私はこの本を忘れることができないだろう。目を背けたい真実を突きつけられるからこそ不快極まりないのだから。

身震いするほどの不快感〜ジョージ・オーウェル《1984》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

Ovid (43 BC-17 e.Kr.)

Metamorfoses (Italy)(邦題《変身物語》)

ブログ記事参照。

ギリシャ神話の元ネタはこの一冊〜オウィディウス《変身物語》 - コーヒータイム -Learning Optimism-
 

Fernando Pessoa (1888-1935)
The Book of Disquiet (Portugal)
 

Edgar Allan Poe (1809-1849)
The Complete Tales (USA)
ブログ記事参照。現代探偵小説の基礎を築いた点ではどれほど感謝してもしきれない。

さまざまなジャンルの小説の原型を打ち立てた傑作たち〜エドガー・アラン・ポー《全集》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

Marcel Proust (1871-1922)

Remembrance of Things Past (France)(邦題《失われた時を求めて》)
 

François Rabelais (1495-1553)
Gargantua and Pantagruel (France)(邦題《ガルガンチュワとパンタグリュエル》)
 

Juan Rulfo (1918-1986)
Pedro Páramo (Mexico)(邦題《ペドロ・パラモ》)
 

Jalal ad-din Rumi (1207-1273)
Mathnawi (Iran)
 

Salman Rushdie (b. 1947)
Midnight's Children (India/England)(邦題《真夜中の子供たち》)
 

Sheikh Musharrif ud-din Sadi (ca. 1200-1292)
The Orchard (Iran)
 

Tayeb Salih (b. 1929)
Season of Migration to the North (Sudan)(邦題《北へ還りゆく時》)
ブログ記事参照。

20世紀アラブ文学の最高傑作〜サーレフ《北へ遷りゆく時》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

 

José Saramago (b. 1922)
Blindness (Portugal)(邦題《白の闇》)
 

William Shakespeare (1564-1616)
Hamlet (England)(邦題《ハムレット》)
"Frailty, thy name is woman." "To be or not to be, that is the question."などの名台詞がとても多い、シェークスピア最高傑作のひとつ。復讐者ハムレットが、結局は自分自身が殺したポローニアスの娘、愛するオフィーリアを自殺で失い、息子レアティーズの復讐によって死亡するという連鎖的結末がひどく皮肉。なんともいえない後味悪さ。

King Lear (England)(邦題《リア王》)
あどけない子供時代にはじめて触れた「善人が報われない」お話が《リア王》だった。読んだ当時は言葉にできなかったけれど、「理不尽」「不条理」ということを感じたのは《リア王》が人生最初だった。とはいえ、たかだか末娘コーディリアが父親リア王への愛情を美辞麗句で飾り立てなかったくらいのことで、激怒して絶縁宣言するリア王がその後受ける仕打ちは、自業自得だといまでも思う。

Othello (England)(邦題《オセロー》)
恐怖。オセローが狡賢いイアーゴーの作り話に騙されて、新妻デズデモーナが浮気したのではないかと疑い始める瞬間がとてつもなく怖い。オセローがムーア人(北西アフリカのイスラム教徒のこと。とはいえオセロー自身はキリスト教に改宗している)で肌黒く、年配であることから、ヴェネツィア出身の若く美しい白人女性であるデズデモーナが本気で愛してくれているのか自信をもてなかったことが、彼女の浮気を疑った根本的原因である。そこを容赦無くえぐる悪魔のごときイアーゴーのやり口は、人間に疑いの心を起こさせ、操り、間違いをおかさせるのがいかに簡単かを見せつけているよう。恐怖にわななきながら一気読みした。

Sofokles (496-406 BC)
Oedipus the King (Greece)(邦題《オイディプス王》)
父親を殺し、母親を娶り、そのことが発覚してみずからの両眼を突いて失明したオイディプス王の衝撃もさることながら、フロイトが「父殺しは人がもつ根源的欲望である」などと説明したおかげで、空恐ろしいほどの影響をもつようになってしまった。スター・ウォーズからエヴァンゲリオンシリーズまで、息子が父親を越えようと悪戦苦闘する物語は星の数ほどあるけれど、オイディプス王はこれらの物語に〈核〉を与えたのだろう。

Stendhal (1783-1842)
The Red and the Black (France)(邦題《赤と黒》)
 

Laurence Sterne (1713-1768)
The Life and Opinions of Tristram Shandy (Ireland)(邦題《トリストラム・シャンディ》)
 

Italo Svevo (1861-1928)
Confessions of Zeno (Italy)
 

Jonathan Swift (1667-1745)
Gulliver's Travels (Ireland)(邦題《ガリヴァー旅行記》)
子どもの頃、児童向け文学全集で読んだ。「一本の麦、一本の草しか生えぬ荒れた地に、二本の麦、二本の草を生やすことができる人物……そういう人物こそ、つまらぬ政治の書物を何十冊も読んだ者よりも王にふさわしい」という巨人国の国王の言葉がひどく印象的で、それがわたしの読書経験の根底にあると思う。読書は必要だ、だが実践に勝てるものではない、と。

Lev Tolstoj (1828-1910)
War and Peace (Russia)(邦題《戦争と平和》)
ブログ記事参照。これは長編小説ではなく、ナポレオンのロシア侵攻という歴史事件を、分解し、解析し、歴史をつくるのは英雄ではなく無数の意志をもつ無数の人々であるという視点から再構築するという挑戦そのもの。主人公のひとりピエールがヘタレすぎるが、流されやすく、思いこみが激しく、常に自分の代わりにものごとを決めてくれる人を探しているようなピエールのふるまいは、わたしにも身に覚えがあることばかりでいたたまれなくなる。

歴史に人々が流されるか、人々が歴史をつくるか〜トルストイ《戦争と平和》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

Anna Karenina (Russia)(邦題《アンナ・カレーニナ》)
ブログ記事参照。愚かな女の悲劇と切り捨てるのはたやすいけれど、アンナがこれほど魅力的なのは、彼女が苦悩しながら、女性に課せられたさまざまなしがらみを身にまといながら、望むままに生きようとしたためかもしれない。

男と女の視線がからみあうとき《アンナ・カレーニナ》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

The Death of Ivan Ilyich and Other Stories (Russia)(邦題《イワン・イリイチの死》)

ブログ記事参照。中年以降ではめちゃくちゃ刺さる。この点では《タタール人の砂漠》も必読。

【おすすめ】最後まで読むには勇気がいる〜トルストイ《イワン・イリイチの死》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

Anton P. Tsjekhov (1860-1904)

Selected Stories (Russia)
ブログ記事参照。さまざまな短編小説と戯曲の多くは「ここではないどこか」「いまの生活ではないなにか」を求める人々の苦難と葛藤を描写している。中年過ぎればめちゃくちゃ刺さる。「いま、ここを離れればきっとなにもかもうまくいく」という夢が、家庭、子供、仕事……などにとりこまれてしだいに消え失せ、ついには何者にもなれないまま、いまの境遇を受け入れざるを得なくなるから。
ここではないどこか、いまの生活ではないなにか〜アントン・チェーホフ《チェーホフ全集》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

Thousand and One Nights (700-1500) (India/Iran/Iraq/Egypt) (邦題《千夜一夜物語》または《アラビアン・ナイト》)

子どもの頃、「イスラム教」という言葉すら知らないときに児童向け文学全集で読んだ。私がはっきり覚えているのは海の信心深い人魚アブドーラと陸の信心深い人間アブドーラの物語。人魚アブドーラは、人間アブドーラの信心深さを好ましく思い、友情を育むが、人間アブドーラが、人間たちは葬式で泣くのだと語ることで人魚は激怒する。うろ覚えだがこんな言い分だったと思う。

「死ぬことは神さまに生命をお返しすることですよ!海ではみんな死ぬことを喜ぶのです。お葬式は、お祭りですよ!神さまに生命をお返しすることを悲しむなんて、それでよく信心深いと言えたものですね!おおいやだ!おまえさんとは、もう、これっきり!」

かんかんに怒って海に帰ってしまう人魚の言い分が、子どものころの私には全然理解出来なかった。いまでも理解出来るとは言いがたい。ただ、〈千夜一夜物語〉に繰返し出てきて、あこかれをもって語られる繁栄都市バグダッドを、幼い日の私は記憶にとどめた。

Mark Twain (1835-1910) 

The Adventures of Huckleberry Finn (USA)(邦題《ハックルベリー・フィンの冒険》)
ブログ記事参照。黒人奴隷と交流すること自体が恥ずべきことだと考えられていた南北戦争前後、白人少年ハックルベリー・フィンが逃亡奴隷のジムとしだいに心を通わせながらも宗教的良心に苦しむところは、いかにその時代の価値観から逃れることが困難であるのかをわたしたちに見せつける。無自覚にすりこまれる価値観だからこそ恐ろしい。そのことを自覚させてくれるすばらしい物語。

黒人として、友達として〜マーク・トウェイン《ハックルベリー・フィンの冒険》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

Valmiki (ca. 300 BC)
Ramayana (India)(邦題《ラーマーヤナ》)
 

Vergil (70-19 BC)
The Aeneid (Italy)(邦題《アエネーイス》)

ブログ記事参照。ローマ帝国建国神話〜ウェルギリウス《アエネーイス》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

 Walt Whitman (1819-1892)
Leaves of Grass (USA)(邦題《草の葉》)
 

Virginia Woolf (1882-1941)
Mrs. Dalloway (England)(邦題《ダロウェイ夫人》)
ブログ記事参照。「意識の流れ」という新手法〜ヴァージニア・ウルフ《ダロウェイ夫人》 - コーヒータイム -Learning Optimism-

To the Lighthouse (England)(邦題《灯台へ》)
 

Marguerite Yourcenar (1903-1987)
Memoirs of Hadrian (France)(邦題《ハドリアヌス帝の回想》)

ギリシャ神話の元ネタはこの一冊〜オウィディウス《変身物語》

ノルウェー・ブック・クラブが選出した「世界最高の文学100冊」(原題:Bokkulubben World Library)の一冊。ギリシャローマ神話集大成とされる数万行にのぼる叙事詩であり、およそ250もの〈変身〉物語が集められ、お互いに絡まり縒り合わさりながら、この世の始まりとされる混沌時代、陸海空に分かちて神々が誕生する神話時代から、詩人が生きた時代であるローマ帝国皇帝アウグストゥスの御代までの歴史物語りをうたう。西洋古典絵画はほとんど、日本で知られるギリシャ神話物語の多くはこの《変身物語》を典拠とするというからすごい。

https://www.bokklubben.no/SamboWeb/side.do?dokId=65500

 

〈変身〉と言われれば脳内にフリーザ様が降臨して「このフリーザは変身をするたびにパワーがはるかに増す…その変身をあと2回もオレは残している…その意味がわかるな?」とニヤるのだけど(笑)、オウィディウスの〈変身 (Metamorphoses)〉はパワーアップが目的ではなく、神々が人間の美女とおつきあいするために人間その他に化けたり、逆に神罰として人間を動植物などに変えたりするお話が多い。

内容としては、登場人物や神々が多すぎて家系図がほしくなるくらいだが (*1) 、21世紀現在にテレビドラマ化してもちっとも色褪せないであろう、魅力的なエピソードが山盛り。主神ユピテル(ゼウス)は登場のたびにアホな人間にキレて雷電をふりまわすか(*2) 、人間やニンフの美女に恋して追いかけまわすか (*3) 、美女に手を出してできた子どもを正妻ユノー(ヘラ)の嫉妬から守ろうとするかしている。ユノーはユピテルの浮気に毎回嫉妬するわ激怒するわ、相手の女に容赦ない神罰を下すか、ユピテルと女の間にできた子どもをいじめ通す (*4)。ユピテルとユノーをとりまく神々も以下同文。いつの時代にも愛憎劇やゴシックネタは大人気だが、作者はそれをわかっていて、あえてギリシャ神話を(当時のローマ帝国の)市民向きに面白おかしく語るため、このようなネタをふんだんに取り入れたのではないかと疑うほど。

(*1) おそらく神代から続くローマ皇帝家と諸貴族の系譜の正統性を説明し、賛美するのも目的のひとつなのだろう。美男美女が神々に惚れこまれて子をなし、本人はたいてい嫉妬にさらされてろくでもない目にあわされるのだが、子どもは神の血族として偉大な戦士に成長し、なんちゃら国家やなんとかの一族の開祖となった、というのが典型的なパターン。ローマ帝国の開祖とされるアエネーアースは、女神ウェヌス(ヴィーナス)が人間の男性との間にもうけた子とされる。ウェヌスは系譜上ユピテル(ゼウス)の直系血族なので、ローマ帝国開祖は主神ユピテルの血をひく存在であるぞ、というわけ。

(*2) アポロンの息子パエトンが太陽神の馬車を暴走させたときに仕方なくとはいえパエトンを雷電で打ち殺し、激怒したアポロンが仕事=毎日太陽を昇らせ沈ませることを放棄しかけ、神々がなだめすかすエピソードがでてくる。日本神話で天照大御神が天の岩戸に閉じこもったエピソードに少し似ている。

(*3) ヨーロッパの語源となったエウロペ、のちにエジプトに渡りイシス女神と同一視されるイーオー、のちにトロイア戦争のきっかけとなるヘレネを産むスパルタ王妃レダ、英雄ペルセウスを産む王女ダナエ、ほか多数。

(*4) 代表例がユピテルミュケナイ王女アルクメネの間にできた英雄ヘラクレスヘラクレスがらみでは、ユピテルアルクメネの婚約者に化けて彼女をものにし、産まれてきたヘラクレスを寝ているユノーに押しつけて乳を吸わせる、というクズさ。そりゃユノーもマジギレするよ。

 

面白いのは、《変身物語》の中にさまざまな物語と類似したエピソードが見出せること。主神ユピテル(ゼウス)が人間のあまりのだらしなさにキレて大洪水を起こし、地上から人間をほぼ一掃したあと、ただ二人生き残った信心深い夫婦が神託を受けてふたたび人間を生み出す話はどう見ても《旧約聖書》のノアの方舟にそっくり。ちなみに信心深い夫の方はデウカリオンという名前で、父親は人類に火をもたらしたプロメテウス (*5) 。妻はピュラという名前で、父親はプロメテウスの弟エピメテウス、母親は人類最初の女性パンドラ (*6) 。ようするに神の末裔である。

(*5)プロメテウスは、混沌から天地が分かれたばかりのころ、清浄な天から分離した土を雨水と混ぜあわせ、神の似姿として人間をつくったとされ、自分の創造物である人間によく肩入れする。しかし火を盗んで人間に与えたことでプロメテウスはユピテルの怒りにふれ、岩場に鎖でつながれて大鷲に肝臓をつつかれ喰われる罰を受ける。ひどい。

(*6) プロメテウスが火を盗んだあと、ユピテルは人間がこれ以上強くならないよう、鍛治神ヘパイストスに命じて人類に災いをもたらすものをつくらせた。ヘパイストスが人間の女性パンドラをつくると、ユピテルはパンドラがエピメテウスの妻となるよう仕向けた。後にパンドラは有名な〈パンドラの箱〉を開け、地上に災厄を振りまく。ちなみにこのエピソードは《変身物語》ではなくヘシオドス《神統記》に登場し、これをもってヘシオドスが大の女嫌いとする説もあるとか。