コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

海外書原文(中国語)

[テーマ読書](未完 5 / 70)中国最高の現代小説70作品を読んでみた

2023年総集編。 2019年、中国政府が建国70周年を記念して、中華人民共和国最高の現代小説70作品を選出した。中国語を学ぶのによいし、政府がどのような価値観を推奨しているかを学ぶのにとてもよい。 目標は2030年までに全作読破。以下、選出された70タイト…

<英語読書チャレンジ 67-68 / 365> R. Green “True Crime”シリーズ

英語の本365冊読破にチャレンジ。原則としてページ数は最低50頁程度、ジャンルはなんでもOK、最後まできちんと読み通すのがルール。期限は2027年10月。20,000単語以上(現地大卒程度)の語彙獲得と文章力獲得をめざします。 Kindle Unlimited洋書版で発掘し…

<英語読書チャレンジ 66 / 365> S. King “IT” (邦題《IT》)

英語の本365冊読破にチャレンジ。原則としてページ数は最低50頁程度、ジャンルはなんでもOK、最後まできちんと読み通すのがルール。期限は2027年10月。20,000単語以上(現地大卒程度)の語彙獲得と文章力獲得をめざします。もはや説明不要の恐怖小説の帝王ス…

病めるときはそばにいたのに、健やかなるときはそばにいられなくなる〜周大新《湖光山色》

2019年、中国政府が建国70周年を記念して、中華人民共和国最高の現代小説70作品を選出した。中国語を学ぶのによいし、政府がどのような価値観を推奨しているかを学ぶのにとてもよい。 この本はそのうちの1冊。未邦訳。 舞台は山地にかこまれた風光明媚な湖…

世紀末、中国長江沿いのある都市でのものがたり〜周梅森《中国製造》

2019年、中国政府が建国70周年を記念して、中華人民共和国最高の現代小説70作品を選出した。中国語を学ぶのによいし、政府がどのような価値観を推奨しているかを学ぶのにとてもよい。 この本はそのうちの1冊。未邦訳。 1998年6月23日。主人公の高長河(ガオ…

家畜の安寧に甘んじるなという叫び〜魯迅《小説集・呐喊》

ノルウェー・ブック・クラブが選出した「世界最高の文学100冊」(原題:Bokkulubben World Library)の一冊。選出されているのは "Diary of a Madman and Other Stories" だが、"Diary of a Madman"(邦題《狂人日記》)は魯迅の小説集《呐喊》(中国語で「…

株式投資を始めるならまず財務諸表を知れ〜國貞克則『決算書がスラスラわかる財務3表一体理解法』

決算書がスラスラわかる財務3表一体理解法 (朝日新書) 作者:國貞 克則 朝日新聞出版 Amazon なぜこの本を読むことにしたか なぜわたしはこの本を読むために時間を使うのか。 ①世界の見方を根底からひっくり返す書物、 ②世界の見方の解像度をあげる書物、 ③好…

20世紀中国の「勝ち組」と「負け組」〜余華『兄弟』

書店で余華(ユイ・ホア)の代表作のひとつ『兄弟』が復刊されているのを見かけた。我が家の本棚にもかなり前に買った『兄弟』があるけれど、積読状態だったため、この機に読んでみた。 ノーベル文学賞受賞作家である莫言(モー・イエン/ばく・げん)が心理…

リアルな出来事に芸術的視点をまぶした印象派絵画のような小説〜莫言『赤い高粱』『続・赤い高粱』

莫言(ばく・げん/モー・イエン)は2012年にノーベル文学賞を受賞した中国人作家。幼少期は1500万~4000万の餓死者が出たとされる大躍進期(*1)にあたり、その後文化大革命(*2) を経験する。この経験が彼の創作の原動力となっている。ノーベル文学賞を受賞し…

司馬光《資治通鑑》巻百八十四: 隋紀八/巻百八十五: 唐紀一

久しぶりに《資治通鑑》を読むのは、「国が滅ぶ」のはどんなときだと考える機会があったためだ。 中国の歴史書ほどこの問いにふさわしい参考資料はない。数千年もの間、幾多の王朝が栄え、滅びていったことを、漢字という一種類の文字、《史記》に始まる一貫…

負け組の逃げ先としての海外留学〜テレビドラマ原作小説『小別離』

中国でいまもっともアツいテレビドラマの原作小説『小舍得』(未邦訳)の作者、魯引弓(ルー・インゴン)が、『小舍得』を含む中国教育小説シリーズとして書いたのが『小別離』。2016年に英語タイトル"A Little Separation" でテレビドラマ化された。 『小舍…

現代中国社会の熾烈なお受験戦争+習いごと+マウンティング〜ドラマ原作小説『小舍得』

中国でいまもっともアツいドラマは、同名小説を原作とした『小舍得』(未邦訳)らしい。「舍得」という単語はかなり日本語訳しづらいのだけれど、ここでは「子どもの将来のためならば、心は痛むけれど、いまの苦労を惜しんではいられない」くらいの意味。 テ…

人工知能の可能性について、世界最大手のIT企業のトップが考えていること〜リ・ゲンコウ『智能革命』

本書は中国最大の検索エンジンであるBaidu(百度)創業者、会長兼最高経営責任者である李彦宏/リ・ゲンコウ、ロビン・リーが、みずからが考える人工知能の来し方行く末についてまとめた本。 共同執筆者に陸奇/ルー・チー(執筆当時のBaidu最高執行責任者、…

法治社会ははるか遠くに〜張平『凶犯』

本書も米原万里さん『打ちのめされるようなすごい本』で紹介されたもの。絶賛されているので読んでみた。 小説自体はとても面白い。中村医師が『アフガニスタンの診療所から』で、アフガニスタンの内情について、古くからの部族法や慣習法に従うのがふつうで…

SF小説、謎解きミステリー、哲学的思考実験としてもすばらしい〜劉慈欣『三体』

三体 作者:劉 慈欣 発売日: 2019/07/04 メディア: Kindle版 三体Ⅱ 黒暗森林(上) 作者:劉 慈欣 発売日: 2020/06/18 メディア: Kindle版 三体Ⅱ 黒暗森林(下) 作者:劉 慈欣 発売日: 2020/06/18 メディア: Kindle版 わたしはめったにSFを読まないが、この話…

中国人と中国文化の宿痾のありかを心理学観点から(恐る恐る)さぐってみた〜武志紅『巨嬰国』

巨嬰、という単語が中国語にある。 意味は字面のごとく「巨大な赤ちゃん」、日本語でいうところの「見た目は大人、頭脳は子供」を指す単語だ。 この本の著者は、この単語からスタートして、現代中国社会にひそむ心理的問題を説明しようと試みている。 …と言…

中国公務員を知るための必読書《候衛東官場筆記》

中国の小説は、ビジネス小説と公務員小説が人気ジャンルになっているが、この本は公務員小説の草分け的存在であり「公務員を目指すなら必ず読め」と言われている名作。シリーズは何冊も刊行されており、登場人物304名、84件の内部闘争、66の公務員期間、23回…

なぜ中国人は不動産を買わずにはいられないのか?『三日でわかる中国経済』

三天?懂中国??(升?版)(??3版) メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る つい先日、わたしがよくリンクを貼るAmazonが中国市場から撤退するかもしれないと耳にした。 中国側はこのことを歓迎しているらしい。オンラインショッピングの競争相手が…

現代中国を理解するための良書『中国2017』

ぜひ読んでほしい一冊。 著者は中国籍の女性経済学者、ジャーナリスト。中国国内で政治的に敏感な話題に踏みこむ言論活動を貫いたため、国家安全当局による常時監視、尾行、強制家宅捜査をはじめとするさまざまな圧力を受け、二〇〇一年に中国を脱出してアメ…

孔子《論語 第十三篇 子路》

孔子の「論語」を読んでいく。今回読むのは《子路篇》、孔子の弟子である子路が、孔子との対話をまとめた部分。その中で心に残ったものをいくつかブログに書きとめる。この篇では孔子の理想主義者なところがとてもよく出ている。 13·3 ......名不正则言不顺…

孔子《論語 第二篇 為政》

孔子の「論語」を読んでいこうと思ったのは一年前だったが、全20篇のうち2篇読んだだけで止まってしまった。ようやく再開しよう。 今回読むのは《為政篇》、政治について孔子が考えたことをまとめた部分だ。その中で心に残ったものをいくつかブログに書きと…

司馬光《資治通鑑》巻百八十一: 隋紀五

《資治通鑑》。全294卷、約1300年にわたる中国の歴史を記録したものであり、権謀術数渦巻く宮廷権力闘争を学ぶには最適だと毛沢東も愛読していた。 あまりにも長編ゆえ、気がむいたときに少しずつ読んでいく。順不同で興味が向いたところを読んでいくつもり…

司馬光《資治通鑑》卷百七十七: 隋紀一

歴史は繰り返すといわれるように、ある国家の現在を理解し、未来を予測しようとするならば、その国家が過去歩んできた歴史をひもとくのが近道である。 アメリカとの熾烈な貿易戦争で注目を集めている中国だが、この先どうなるのか、さまざまな憶測が飛び交っ…

エリートキャリアウーマンの騙し合い《浮沈》(テレビドラマ原作小説)

久しぶりに中国語原文でビジネス小説を読んだ。これまで読んできた中では恋愛要素控えめでなかなか私好み。 物語は主人公喬莉(チョウ・リー)が朝に目覚めるところから始まる。 25歳の喬莉は大手外資系IT企業で受付嬢をしていたが、中国地区総裁が彼女のビ…

男と女の視線がからみあうとき《アンナ・カレーニナ》

2018年サッカーワールドカップロシア大会で、決勝トーナメント(個人的には英語のknock-out stageという表現が好きだ)が始まってから地元ロシアの快進撃が続いている。日本は惜しくもベルギーに0-2から3-2の逆転勝利という底力を見せつけられての敗退となった…

蒙曼 《蒙曼说唐:武则天》

最近中国の人気テレビ番組《百家講壇》をよく見ている。さまざまなテーマについて専門家が一般向けにやさしく講義するもので、内容は主に歴史、文学、現代社会。画面下に字幕もついており、中国語聞取りにも歴史学習にももってこいだ。中国の歴史教育は「な…

沈鱼《朝九晚五》

これもちょこちょこ読みながら書きためていたもの。海外書籍の原文は3日以内に読み切るのはたいへんきびしいから、少しずつ読み進めて、読み終わったところで書評を書く。だいたい読み終わるのに数週間かかる。 この小説はテレビドラマ原作小説ではないけれ…

李可《杜拉拉升职记》(テレビドラマ原作小説)

八咫烏シリーズを読み進める前に、ちょこちょこ書きためていた書評を完成させてブログに載せることにした。三冊だけだから多くはない。 中国職場小説の草分け的存在であり、「ホワイトカラー(営業または人事担当者)が出世していく物語を通して、職場の複雑な…

周梅森《我主沉浮》(テレビドラマ原作小説)

同じ作者の小説をもう一冊。こちらも原作は人気政治小説で、全35話でテレビドラマ化されている。 このドラマは2005年6月放映開始とやや古い。 ドラマ企画前の2004年4月、中国国家広播電影電視総局(中国大陸でのすべてのメディア放送内容を審査し、不適切な内…

周梅森《人民的名义》(テレビドラマ原作小説)

中国の人気連続テレビドラマをオンラインで見ており、時には原作小説を読んでいる(どちらも原文)。面白いものをこのブログでも紹介したいと思う。 私は現代中国書籍ではビジネス小説、テレビドラマ原作、テクノロジー関連を読む。それ以外のジャンルにはあま…