コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

<英語読書チャレンジ 73 / 365> 【おすすめ】説明不要のSF傑作《プロジェクト・ヘイル・メアリー》

英語の本365冊読破にチャレンジ。原則としてページ数は最低50頁程度、ジャンルはなんでもOK、最後まできちんと読み通すのがルール。期限は2027年10月。20,000単語以上(現地大卒程度)の語彙獲得と文章力獲得をめざします。

映画《火星の人》の原作者アンディ・ウィアーの大人気SF小説を原文で読んだ。難しい単語や口語表現がそれほどないためとても読みやすい。

今回は読みながらそのとき感じたことをX (Twitter) 風にまとめてみた。

~~~~~第1章~~~~~

[P.1 / 478] お、わけわからん部屋で目覚める記憶喪失主人公の一人称か〜。イイネ。映画冒頭みたい。

[P.11 / 478] めちゃ笑う。なにが "--aaaand they're dead." や。すごいコメディタッチ。

[P.17 / 478] 実験室にあるものを数えあげてから「ちょっと待て、なぜ俺はこんなことを知っている?俺は科学者だったのか?」とセルフツッコミするのがめちゃ秀逸。たしかに一般人はオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)とか8000倍顕微鏡とか見ただけでほいほい認識できんわな。一人称が生きる。

[P.18 / 478] うへぇ物理公式なんてもう見たくもないわ……はあ!?!?!?

~~~~~第2章~~~~~

[P.24 / 478] うわあこう来るかー……ここで日本が出てくるのは嬉しいね。よりによって【アマテラス】ーー天照大御神の御名を冠した宇宙探査機がこの発見の主役になるのがなんとも皮肉。

~~~~~第4章~~~~~

[P.70 / 478] 二転三転する展開にジェットコースターのごとく翻弄されまくるけどそれが気持ち良くなってきたぞぉ。自分のエゴのためなんかじゃない、子どもたちのためだ!と怒鳴る主人公も、それで説得されちゃう姐御(と呼びたくなる)もイイネ……アメリカ人こういう展開好きそう。

[P.73 / 478] Beatlesでクスッと笑えたところを唐突に奈落の底に突き落とすのひどい(泣)そこに気づいちゃう主人公の鋭さと冷酷なまでの冷静さがもうこのプロジェクト・ヘイル・メアリーのクルーにふさわしいよ……。

~~~~~第5章~~~~~

[P.88 / 478] Moe and Shemp (the sun-seekers) とLarry and Curly (the Venus-seekers) の元ネタを探しまくる。アメリカの大人気コメディグループThe Three Stooges(邦訳『三バカ大将』)のメンバーなのね。おぉ……と唸るような大発見をした主人公のあつかいが地味にひどい(笑)まあ特殊訓練を受けていない人間を戦闘機に乗せたらどうなるかはNASAが出てくる映画で履修済みだけど。

~~~~~第6章~~~~~

[P.120 / 478] おぉっ?おぅ……うん?こう来る?(絶句)

~~~~~第10章~~~~~

[P.192 / 478] あまりに衝撃的すぎてここまでノンストップでとばし読みしてきたけれど、ここであまりにもアホらしい場面転換がありべつの意味で絶句。「これまでにない意思疎通手段」を模索して四苦八苦する主人公側と、「これまでなされてきた意思疎通記録」のために審判にかけられる地球側責任者。対比が残酷すぎる。(とばし読みのせいで誤読しているのかもしれないけれど)

~~~~~第14章~~~~~

[P.244 / 478] 何度も読みなおした。姐御や。泣く。

"Me?" she said. "Doesn't matter. Once the Hail Mary launches, my authority ends. I'll probably be put on jail by a bunch of pissed-off governments for abuse of power. Might spend the rest of my life in jail."

"I'll be in the cell next to you." said Leclerc.

進化論仮説宇宙バージョンにはくすりと微笑んだ。

~~~~~第17章~~~~~

[P.291 / 478] そう来るか!!!生物学万歳!!!Astrophage (Astro- "宇宙の" + Phage "ファージ=細菌や古細菌に感染するウイルスの一種) という命名から考えればこれはある意味自然宿主探しにあたるのかな?現実でもウイルス研究に自然宿主探しは欠かせない。エボラウイルスを宿すオオコウモリとか。

~~~~~第26章~~~~~

[P.429 / 478] 姐御の学生時代の専攻は歴史。これまでで一番納得した。そしてこれから地球上でなにが起こるかを完璧に予測していることも。去るも地獄、残るも地獄。私たちにはヘイル・メアリーしかない。私は人類が生き残る可能性をわずかでもあげられるならどんなことでもする。とても静かな場面なのにとても空気が重苦しい。このやりとりがうんと好き。

~~~~~最終章~~~~~

[P.478 / 478] もうここまで一気読みですよ。最終章の数字表記、バグかと思ったけどそういうことね(笑)うーんこれでよかった……のかなあ……数十光年離れたところにあるものを観測するわけだから、たぶん50年かそこら経過しないと最終的結果はわからないわけで。生あるうちに自分が成し遂げたことを確認できたのは幸いであろうし、そもそもプロジェクト・ヘイル・メアリーはほぼ生還不可能のミッションであったし(神風特攻隊でも参考にしたんか? そもそものきっかけとなった発見を日本の宇宙探査機【アマテラス】にさせるあたり、この作者はマニアックな日本知識がありそうな感じ)、子どもたちに教えつづけている年老いた主人公の姿は感動的だけど。うーん……こうなるしかなかったかなあ……。