コーヒータイム

日々読んだ本の感想。時々日常。

「中国絶望工場の若者たち」(福島香織著)を読んだ

中国が超格差社会であることはすでに広く知られているが、その中でも事実上の身分制度ともいうべき農民戸籍に属しながら、都会で生まれ育ち、あるいは高い教育を受け、つかみたい夢と現実の社会制度のあいだでもがいている層がある。それがこの本で取り上げられている「第二代農民工」だ。

農民工は厳密には農民ではなく、都会に出稼ぎにきている人々だ。彼らはいわゆる3K仕事や製造業、小売業などにつくことがほとんどだ。彼らは一生のうちのほとんどの時間を都会で過ごすが、都会住民からは警戒と差別と侮蔑の眼差しを向けられる。田舎者ゆえ教養がない、自制心や道徳心が低く犯罪予備軍のような人々がいる、都会の豊かな資源を食いつぶしにきた余所者…...都会住民が農民工に抱く見方のテンプレートはこんなところだ。農民工は敏感にそれを感じとり、自分が暮らす都会の住民たちに受け入れられないことを悩み、アイデンティティを見失い、不安感やストレスからちょっとのきっかけで逆上してデモやストを引き起こす。

この本ではさまざまな農民工の声を取り上げながら、彼らの幸せ、不安感、自己表現の望みなどを、女性らしい細やかさでていねいに拾いあげている。差別的な見方が身についてしまった中国人より、日本人の方がこういう若者の絶望と希望を理解してあげられるかもしれないという著者の考えにうなずいた。