コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

増補新版 芸能人はなぜ干されるのか? (星野陽平著)

芸能界そのものが根本的に独占禁止法違反なのではないかーー。

このような鮮烈な印象をもたらすテーマが本書の主題だ。

芸能界における事務所と所属タレントのパワーバランスがおそろしく不均衡だということはすでにある程度広く知られていると思う。SMAP小林幸子能年玲奈セイン・カミュ眞鍋かをり赤西仁…独立問題や方針の違いなどで事務所と揉め、テレビから姿を消された芸能人がどれほどいるだろう。ネット社会の今だからこそ小林幸子ニコニコ生放送に活路を見出し、SMAPの飯島マネとメリー喜多川副社長の対立がネット記事配信され、能年玲奈クラウドファンディングで資金を募った「この世界の片隅に」への声優出演がかなったが、ネット社会以前であれば、彼らがそのまま消えて行ったことは想像に難くない。国民的アイドルグループともてはやされたSMAPでさえも。

事務所の方針が絶対、逆らえば業界追放。北朝鮮並みの苛烈さだ。これほど不均衡なパワーバランスが生き残っているのは芸能界位ではないかと思う。経済界であればブラック企業相手には労働法を武器に戦うことができる。だが、労働法はともかく、芸能界で事務所の方針をめぐって独占禁止法違反を訴えた事例はあまり聞いたことがない。

公平を期するならば、そうしなければ事務所の方が芸能人に食われるという現実もある。この本ではいつでも独立できるというカードをちらつかせて弱小事務所から大金を巻き上げ、あげく独立した泉ピン子の例を紹介している。また、芸能人が弱小事務所から大手事務所に引き抜かれる例もあまたある。

こういう状態が容認されているのは、私達視聴者にも原因の一端があるのではないかと思う。私達に悪意はない。好きな芸能人をメディアで見たいという素朴な願いがあるだけだ。その願いをかなえるためにメディアは芸能人に金を払ってどんどん出てもらう。事務所は金になるから次々仕事を入れる。当の芸能人は過労で倒れるまで働かされる。それでも人気があるうちが華だからと無理を押して仕事を続ける。おまけに自分がいくら稼いだのかもはっきりせず、大部分を事務所に吸い上げられる。そういう薄暗い部分をすべて呑みこみ、カメラの前で笑ってみせる。

とことん因果な商売だと思う。誰かが悪いわけではない。そういう仕組みができてしまっている。

芸能人は顔が売れ、ちやほやされ、高給をうけとっているものと誰もが思っている。彼らがプライベートを暴かれたり、嫌がらせに近いしつこい取材合戦を受けたり(小林麻央が亡くなる前後に、海老蔵が何度も取材自粛を訴えたことは記憶に新しい)、バッシングを受けたり(最新の事例は須藤凛々花の結婚宣言だろう)、果ては事実上芸能界を追放されたりするのを見て、彼らのファンは心から悲しむだろうが、ファンではない人々は心のどこかに「有名税だ」「顔が売れて恵まれた生活をしているのだからこれくらいのマイナス要因があって当然」という思いがよぎり、背後にある芸能人の権利問題をあまり深く考えていないように思える。芸能人でなければプライバシー侵害、パワーハラスメント職業選択の自由侵害に問われてもおかしくないのに、芸能人であるというだけで思考停止する。

 

イラン -世界の火薬庫- (宮田律著)

アメリカとイランの険悪な外交関係はよく知られているが、その理由が私にはよく分からなかった。それに対して多少なりともヒントをくれると期待して選んだ一冊。

読んだあとの感想。…どっちもどっちじゃん。

 

第二次世界大戦中にソ連とイギリスの進駐により当時の国王は退位に追いこまれ、イギリスがイランの石油利権を握った。これに経済的苦境にあえいだイラン民衆が反発し、民族主義者モサッデクを中心とする政権がイラン石油産業を国有化したが、イラン石油が国際市場から排除されたため経済は好転しなかった。この辺りはベストセラー小説「海賊と呼ばれた男」にも登場している。その後アメリカとイギリスは、イラン経済が好転せず政権が求心力を失いつつあった時期に乗じてモサッデク打倒のクーデターを画策し、親米王権樹立に成功した。

この事件はイラン人の現在にいたる反米ナショナリズムのきっかけとなる。イラン人は誇り高い国民だ。自国の石油資源を占拠されるわ、内政干渉されるわでは怒るのも無理はない。

1979年にイラン革命が成立すると、イランは「革命の輸出」政策に移る。最大目標は「イスラムの聖地を不当に占拠している」イスラエルの打倒だ。これに影響を受けて樹立されたのがレバノンヒズボラを始めとするシーア派組織だ。アメリカはイスラエルと緊密な関係にあり、イランの一連の行動を強く非難した。イランが中国や北朝鮮パキスタンと協力体制にあること、特に弾道ミサイル開発において協力していることもアメリカには警戒材料だった。

これはアメリカの懸念も理解できる。北朝鮮が代替わりしてから頻繁にミサイル実験を繰り返し、ついにはアメリカ独立記念日にレッドラインである大陸間弾道ミサイルと思われるものを発射したのは、ごく最近のことで、ニュースで大きく報道された。どちらが技術提供していたにせよ、面白いはずがない。

一方、湾岸諸国はイランの活動が自国内のシーア派国民の反体制運動を支援していると警戒し、イランとの関係を冷やしていった。特にサウジアラビアとは強く対立している。

これについては今まさに争われている真っ最中だ。カタールが突然隣接する湾岸諸国から断交されたのはつい一ヶ月前である。テロ組織支援の疑いがあるからなどと言われているが、カタールがイランに比較的寛容であることは周知の事実で、かねてよりサウジアラビアを不快にしていた。貿易が滞ったカタールに援助したのは当のイランで、のちにトルコも加わっている。これはスンニ派湾岸諸国の分裂と覇権争いの一環としてとらえられ、まだまだ収束が見えない。イランにとっては、カタールスンニ派湾岸諸国と足並みをそろえないのは追い風になるだろう。

アップル、グーグル、マイクロソフト クラウド、携帯端末戦争のゆくえ (岡嶋裕史著)

これは面白い。情報化社会の覇者たる三大企業が、クラウドにどう肉薄しようとしているのかを明快に書き分けている一冊。

マイクロソフトは、既存OSであるウィンドウズとその上で動くソフトの圧倒的な蓄積、対応技術者の蓄積こそが彼らの最大の資産だと理解している。ウィンドウズを基本OSとするコンピュータでこれまで業務をしてきた企業は、「従来通りのソフトが使えて操作性も変わらない」ことそのものに安心感を覚える。ゆえにマイクロソフトの戦略は、クラウド用のウィンドウズを作ることになる。

グーグルはハードウェアやクラウドなどどうでもいいと思っている。彼らの動機はただ一つ、「世界中に散らばる情報をすべて整理する」である。そんなグーグルにとって、個人用パソコンに分散保存された情報は取り出せないから整理分析できない。ならば情報をハードウェアではなくインターネット上に保存させるためにクラウドを利用させよう、というわけだ。

アップルは「顧客に最高の体験を」というのが社是だ。彼らはiTunesをつくり、インターネット上で楽曲などを購入、ダウンロードできる仕組みをつくり出した。さらにそれを発展させたのがiPhoneApp Storeだ。アップルがリリースするアプリだけでなく、個人開発者がアプリをリリースできるのが魅力的だった。iPhone上に随時アプリをインストールでき、要らなくなれば削除できる。まさにクラウド的スタイルだ。

三大企業がそれぞれの強みを発揮する点についての説明は、ビジネス書としても興味深い。もちろん彼らだけがプレイヤーではない。クラウド利用のルールをつくる熾烈な競争は始まったばかりで、今後も目が離せない。

バンコク・アウトロー (高田胤臣著)

バンコクには観光ツアーで行ったことがある。治安がよく、夜一人歩きしてもなんの問題もない。交通機関が発達しておりあまり足に困ることはない。食べものが美味しい。そんなありきたりな感想だった。ごくたまに物乞いの老婆が街角に座っていたり、宝くじ売りが歩き回っていたりするが、気にしてはいなかった。

この本ではバンコクの一歩深いところに踏み込んでいる。不良少年少女、賭博、麻薬、風俗、貧困など、タイの現実的な一面が見えてくる。読んでみるといずれも日本にもあるものばかりだ。ないのは大規模なスラム街くらいか。どの国家でもこういうものが自然に発生するのだろう。合法か非合法かだけが違いだ。

タイは日本とは比べものにならないほどの格差社会で、しかもそれぞれの行動範囲が暗黙のうちに分かれているほど階層が固定化されているという。富裕層が行く店に下層社会の人々が行くことはなく、逆もまた然り。不思議なことではない。タイは楽園ではなく、普通の資本主義国家だということだ。

 

明日、会社がなくなっても、自分の名前で勝負できますか? (川上徹也著)

私はかつて、期間限定契約で雇われたMさんという人と仕事をしたことがある。会社があるプロジェクトのためにいくつか社内チームを立ち上げ、Mさんはリーダーとしてそのうちの一つに加わった。契約期間はプロジェクトが終わるまでだ。

Mさんは担当分野についての知識が豊富で頭の回転が速く、決断力があり、チームの成果は彼がいてこそだと誰もが認めていた。Mさんはそのことを熟知しており、自分の働きに見合う給料を望んだ。会社は彼に、自社経営陣よりも高い給料を払っているという噂がささやかれていた。

だが、契約期間が終わる前に、Mさんは契約を打ち切られた。ある日突然彼がいなくなることがチームメンバーに告げられ、席は片付けられた。さまざまな噂が飛び交ったが、会社から説明はなかった。Mさんが会社を去るまでの期間は、送別会すらできないほど短かった。それ以来会っておらず、どこでどうしているのかも知らない。

残念な結果に終わってしまったが、Mさんはまさに自分の名前で仕事している人間だった。

Mさんは、著者のいう「志をもつ人間」だった。著者は志こそが、ビジネスにおける最大の差別化戦略だという。Mさんは自分の仕事が世の中に必要なものであるという信念を持っていた。だからいつも強気の主張をしていた。それを好ましく思う人ばかりでなかったのは事実だが、Mさんは最後までその姿勢を変えなかった。

しかし、Mさんはその強気の姿勢ゆえ、著者がいう「まわりの人々が共感できるようなメッセージを発信し、その行動を応援したくなるような人間」ではなかった。傍から見ればMさんの仕事は社会的意義があり、応援したくなるものだった。だが一緒に働くプロジェクトメンバーとは、衝突が多かった。

Mさんの事例は、著者が主張することとすべて一致するわけではないが、ひとつだけ確かなものがあった。Mさんには志があった。それが、Mさんの自信の源であった。正しいことをしていると信じている人間はかくも強いものだと、彼の背中に教えられた。

【おすすめ】段階的なアプローチが分かりやすい 無理せずに勝てる交渉術 (G・リチャード・シェル著)

 

段階的なアプローチが分かりやすい 無理せずに勝てる交渉術 (フェニックスシリーズ)

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  • 作者: G・リチャードシェル,G.Richard Shell
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交渉術についての本、3冊目。

1冊目を読んだときは交渉術について馴染みがなく、読むのに時間がかかった。2冊目で交渉術のさまざまなアプローチを紹介しており、それを読み通したことで自分の中に土台ができてきた感覚がある。

この3冊目の特徴は、交渉者自身の性格にあった交渉スタイルを選ぶようすすめていることだ。おとなしく控えめな性格の人に、交渉の席で大声で怒鳴るようにしゃべれば相手を圧倒できますなどと教えても逆効果だ。

著者は交渉スタイルとして「競争型」「問題解決型」「妥協型」「順応型」「回避型」の5つをあげている。ちなみに競争型の例としてはかのドナルド・トランプ氏が挙げられている。

 

3冊読んできて気になったのは、いずれの本でも「人間は〜するものだ」と述べて、それを交渉にうまく組みこむことをすすめていることだ。例えば交渉の席でAが譲歩をしてBがそれを呑んだら、BもAになんらかの寛大さを見せたくなるものだし、そうするのが交渉の原則だという記述がある。

だが、私はそうとは限らないと思う。テーブルの向こうの相手が、ともかくこちらから何かを得ることしか考えておらず、こちらが譲歩したらもっと欲しくなるだけ、という人間であったならどうだろうか。相手がこちらの譲歩を借りだと認識してくれる、という考えそのものが、時には現実の交渉にそぐわない。

こういう状況は、交渉者同士の間に立場の差があるときに発生しやすいと思う。どちらか片方が、自分が圧倒的優位にあると思えば、譲る気など出てくるわけがない。交渉術の前に、まずはお互いを対等な立場だと思えるような顔触れにすることもまた肝心だ。

 

(2018/03/20 追記)

一度目にこの本を読んでから半年以上経つが、当時書いた読書感想をみて、ずいぶんとひねくれた読み方をしたと苦笑いしている。素直に読めばとても面白い交渉術の本なのに。

最近思うのは、ものごとは自力では45%程度まで完成させることができる。だが合格ラインに達するのは難しい。コミュニケーションと情報交換で協力を得ることで60~70%まで完成させることができる。ここでようやく合格ラインが見えてくる。だが完成度を90%まで引き上げるには、ネゴシエーション、交渉が不可欠になる。

数字は私がなんとなく入れたものだから人によって違うだろうが、順番はこの通りだと思う。著者も似たようなことを述べている。

協力的なコミュニケーションを慎重に交わすことで、交渉は進む。たいていは「準備」「情報交換」「実質的な取引」そして「契約成立」という4つのステップを踏むことになる。

 

一方で、交渉とはテクニックだけでなく人間関係構築なのだ、ということもこの本を読み直す中でしだいに思い出されてきた。忘れていた大切なことを思い出させてくれるのも、素晴らしい本を何度も読み直す醍醐味だと思う。

私の顧客で細かいことまでいちいち確認したがり、なかなかOKを出さない人がいた。ある午前中、顧客とざっくばらんに話す機会があった。そこで分かったのは、その顧客は私のチームに強い不信感を抱いていることだった。少しでも複雑な業務になればすぐに間違いや見落としをする、というのが、彼が抱いている印象だった。この顧客に、重箱の隅をつつくような確認をやめてほしいと言っても、聞き入れられないのは至極当然だ。

このような事態を回避すべくチームのやり方を見直すのは当然として、どうすれば人間関係や信頼関係を築けるのか、本書にヒントがある。

では、交渉相手との間に信頼関係を築き上げ、維持していくための秘訣とは何だろうか。それは人間の行動を左右する、単純にして強力な「相互利益の原理」である。好意には好意をもって返すことが、互いの利益になるという原理だ。

 

嬉しいことに、またほっとすることに、交渉術を学ぶためにこれまでのやり方を放棄しなければいけないわけではない、ということを著者は最初にことわっている。

交渉術を学ぶ前に、鏡に映る自分自身をしっかりと見つめることから始めよう。最も自然で、どのような話し方が心地よいのか。ゴールを達成するために、これまで築き上げてきた効果的で戦略的な技術を、あなたはどのように使うことができるのか。あなた自身の本当の強さと才能を認識してこそ、あなたは最高のネゴシエーターになれるのだ。

これも最近思うことが多いが、交渉方針にはネゴシエーターのこれまでのやり方や性格や価値観が色濃く反映されるが、とくに価値観に関わることでは「交渉相手を説得することはできない」と割り切ることこそ効果的だ。変えられないことを変えようとするのにむだな労力を費やすことなく、変えられることに集中出来ることが重要だ。

まずは交渉相手に語るだけ語らせて、その人が変えないであろう価値観をみつけてから、それ以外の部分でお互いどのように歩みよれるか、問題解決の道筋をさぐる。

交渉相手の話にじっくりと耳を傾けて、真意をさぐるだけの忍耐力をもつことは強みだと思う。そうすれば何気ない一言に本音が出る。それを逃さず記憶しておき、参考材料として、交渉相手の真意を読む。

「人間関係が好きではない」

「年取ってからもこのままはいやだ」

愚痴のような一言に案外真の価値観がもれるものだ。

 

【おすすめ】交渉の達人 ハーバード流を学ぶ (ディーパック・マルホドラ、マックス・H・ベイザーマン著)

 

交渉の達人 ──ハーバード流を学ぶ

交渉の達人 ──ハーバード流を学ぶ

 

 

あまりにも面白くて一気に読んで、これからも何度も読み返したい名著。

どんな交渉においても、良い条件で取引を成立させることと、交渉相手との関係を強化する、という2つの異なる目的がある、という点を忘れてはならない。

昨日読んだ外資系の交渉術の本は、さしずめこのことをもっとていねいに、実例を交えて語ったものにあたるのだと思う。こちらにとっての良い条件でまとまったところで、不利な条件を呑まされた相手が「こいつとは二度とつきあうものか」などと腹を立てていたら、長い目で見ると損なのだ。

また著者は、交渉とは価値を分け合うパイの切り取り合戦だけではないと述べる。

交渉者は、あらゆる機会を捉えて価値を創造すべきである。相手が自分以上に重視する事項があれば、相手にそれを取らせる。だが、与えるのではない。売るのだ。

この「交渉による価値創造」がとてつもなく面白い。

複数の論点をテーブルに載せ、比較検討するのがコツだ。例えばA社がB社から商品を買うとしよう。A社とB社がそれぞれ違うものを重視していれば、価値創造できる可能性がある。二社とも利益重視なら価格交渉に集中するだろう。だがA社が納期短縮、B社が利益を重視するならば、ここから交渉を始められる。A社が多少価格を上乗せすることで、B社が納期を短縮すれば、両方にとって価値があがるのだ。まさに理想的なwin-winで面白い。

この本にはバイアスと心理活動のことも多く登場する。人間は神のように公正ではない。自分がすぐれていると思いたがるし、正しいことをしていると思いたがり、一度決めたことは変えたがらず、変えなくてもいい根拠を探したがる。そういう思考の偏りがバイアスだ。交渉の場も例外ではない。

戦慄を覚えたのは、著者がバイアスについて紹介した長い3章の終わりにこう書いたことだ。

ジャーナリストや政治家、スポーツキャスターなど、その道の「専門家」と称される人たちのコメントは、これまで論じてきたバイアスのかかった意思決定プロセスの最たるものである。だが、偏っているのは彼らばかりではない。たった今、あなたが犯す最悪の間違いは、他人がいかに偏っているかについて書かれた3章を読み終えたと思うことだ。

最初に読んだときには最後の一文の意味が分からなかった。意味が分かった瞬間、恐怖にも似た感情に貫かれた。

まさに私は最悪の間違いをした。

そう突きつけられる表現だった。この一文が私に一番深い印象を与えている。