【2020.3 再読】
本書は2年前に一度読んだが、そのときは投資について真剣に考えているわけではなかったので、流し読みですませた。
それから2年、本腰入れて投資勉強をしたくなり、投資家必読というこの本をもう一度読み直すことにした。初読時の読書感想も残しておくけれど、より深い読み方ができればいいなと思う。
【2018.6 初読】
ライフスタイルが変わり、うまく読書時間がとれずにほとんど本が読めていない。来月には読書時間が取れるかもしれない。
私が読書を続ける意義をまたひとつ見つけた。私はこれまでまったく想定していなかった事態が起こると焦ってしまい、うまく対処できずに事態を悪化させることがままある。だが、本でそういうことが起こりうることを読んでいれば、いざ起こったときに多かれ少なかれ心理的に落ち着きが生まれ、うまく対処できることも出てくる。だからたくさん本を読んで、さまざまなことを知っておくのは、冷静さを保つのにとても役立つ。
本書を読まずして投資をすることなかれ。この本はそう言われる名著の一冊だ。
著者は大学卒業後、アナリストとして働く一方、ファンダメンタル分析、テクニカル分析、リスクコントロールを組み合わせてトレードを行ってきた。8000ドルの元手を10万ドルにすることはできたものの、それ以上増やすことはなかなかできず、失敗して利益を吹き飛ばすことも度々あった。著者がこの本を書いたのは、自分の壁を打ち破るべく、成功したトレーダーに色々聞きたいと思ったから。おそらく誰もが似たような質問をしたいと思っているだろうから、インタビュー結果を著書という形で分け与えようと考えたからだ。
成功したトレーダーにはきっと誰もが聞きたいだろうーーあなたの成功の秘訣は? どんなシステムを使っている? どんな経験があなたのスタイルに影響した? もしこれからトレードを始める人にアドバイスするなら? など。この本のインタビューではかなり踏みこんだ回答を得ている。
自分もトレーダーとして成功したいという動機でこの本を隅々まで読もうとするのならば、期待通りだと喜ぶ読者と、期待外れだとがっかりする読者に分かれるかもしれない。技術的な点から役に立つアドバイスはもちろん本書にふんだんに盛りこまれているが、それ以上に心理的構えのアドバイスが多く、こうしたアドバイスは簡単には自分のものにできないからだ。たとえばある印象的なコメントを紹介しよう。信じられないほど高い運用実績をもつエド・スィコータ氏の発言だ。
私(著者)にとって個人的に一番印象的だったコメントは、「皆、相場から自分の欲しいものを手に入れる」というものだった。...このコメントに対する私の反射的な反応は不信だった。ほとんどの敗者は負けたがっている、そして目標に到達できない勝者(私自身のように)は、成功を限定してしまうことで、その個人の内面にある何かを満足させているというのである。理解するのにはあまりに難しい定義である。
このコメントはとても呑みこみがたいものだが、心理学でも唱えられている仮説の一つだ。人は無意識のうちに自分が「手に入れるにふさわしい」基準を決めていて、それより多くを得ると、逆に「運が良いだけではないか? 自分にはこれを支えきれないのでは?」という深層心理が働き、自分が心地よいと感じるレベルまで降りるために、得たものの一部をあえて手放そうとすることがある、というのだ。
信じられるだろうか?
ほとんどは信じられないだろう。たとえそれが世界最高水準の運用実績を上げているトレーダーで、信じられないほど人間観察眼が鋭い人の口から出た言葉であっても、間違っていると思うだろう。
だが、トレーダーの資質のひとつはまさに、自分の考えと相反する方向に市場が動いたとき、判断を素早く修正できることにある。これほど極端で、心理的にとても受け入れられない説は少ないかもしれないが。
本書に登場する数人のトレーダーは、初期にほとんど破産しかかるほどの失敗を経て、こういったことを学ぶ。その後の彼らの成功を見ると、高い授業料だったがそれ以上に高い報酬を得ているといえる。実際に失敗することなく先人の知恵を得ることができることこそ、こうした本を読む醍醐味だ。