コーヒータイム

日々読んだ本の感想。時々日常。

「リスクは金なり」(黒木亮著)を読んだ

長く国際金融分野で仕事をし、現在は作家としてその分野での小説を書いている著者の味わい深いエッセイ集。

第二章「世界で仕事をするということ」の「サバイバル交渉術世界標準八ヶ条」が特にすばらしい。「交渉の八割がたは、自分にほかの選択肢があるかどうかで勝敗が分かれます。」という一文に深く深くうなずいた。相手が最悪受け入れなくてもなんとかなる、と思えると強気で行ける。そうでなければこちらは弱腰になるし、相手は鋭くそれに気づく。勝負ありだ。

味わい深いのは交渉経験だけではない。著者が訪れたアフリカや中東の国、歩いた街、口にした料理や酒が、丁寧に書かれている。想像をかきたてられ、実際に行ってみたくなった。

物足りないのは、書名「リスクは金なり」の意味がよくわからなかったこと。エッセイの中に、リスクをとって融資を決める場面は何度も出てくるけれど、経験としてさらりと書いているだけで、「だからリスクはとるべき」と説教臭く結論付けているわけではない。なのに書名では「リスクは金なり」と言い切っているのはしっくりこなかった。