コーヒータイム

日々読んだ本の感想。時々日常。

『40連隊に戦闘技術の負けはない』(二見龍著)を読んだ

アメリカ国籍をもつ鹿児島出身の戦闘インストラクターであり、FBIへの戦闘技術訓練などアメリカで戦闘技術指導経験を積んだイチロー氏が、福岡県北九州市に駐在する陸上自衛隊第4師団第40普通科連隊に世界標準の戦闘技術を手ほどきする過程について書いた本。

陸上自衛隊の存在は憲法解釈と同じくあいまいで、2004年のイラク派遣までは実戦訓練などなかったために、戦闘技術訓練にも、装備にも限界があった。それ以前に基礎訓練を始める必要があった。イチロー氏は問う。

「この銃は安全ですか?」

「なぜ安全と言えるのですか?」

銃口はどちらを向いていますか?」「安全装置は確認できますか?」「安全装置はどの状態になっていますか?」「弾倉はついていますか?」...

目の前にある一梃の銃、これが安全かどうかを見分けられなければ銃に触る資格はない。さらにガンハンドリングに習熟し、攻撃時以外に人に銃口が向いてはならない。まずはここから訓練がスタートした(ちなみに新兵ではなくある程度訓練を積んだ陸上自衛隊隊員相手のことである)。

実戦訓練は、通常訓練以外に、故意に想定外の状況を山ほどつくり出して分隊長の判断麻痺をさそうような訓練をも行なった。敵攻撃+人質負傷+隊員の精神状態混乱(逃げようと泣きつく)+隊員負傷+通信混乱、というのは実際の戦場で起こりうることだけれど、訓練を経ていない分隊長はあまりに多くの情報が入ってくるため頭が真っ白になり、なにも対応がとれなくなる。そこを体験させてから対処法を教える。

生き残るために、なにより勝つために、必要な戦闘技術訓練が、この本のタイトルである「40連隊に戦闘技術の負けはない」という自信を生んでいった。