昔読んだことがある少女小説(女性向けラノベ)を思い出していく。一時期毎日のように読んでいて、気に入ったものはいまでも大切に保管している。
神。いくらでも語れる。十二国記シリーズは私の中でぶっちぎりNo.1スゴ本小説。20数年を経てようやく昨年完結した。二人の主人公、高校生の中嶋陽子と高里要が、天の定めた規則を守らなければ死罰が下る異世界で、己のなすべきことを必死で果たそうとする物語。二人がさまざまな試練をくぐりぬけながら精神的に成長していく物語ではあるけれど、その試練の過酷さは読者である私でさえまわりから空気が薄まっていくような息苦しさを覚えさせる。
主人公のキノの旅物語。この世界ではたくさんの「国」(実際には都市国家のようなもの)があり、それぞれの国は言葉、文化、習慣、価値観などがまったく違う。キノは相棒・エルメスとともにそれぞれの国を旅していくけれど、それぞれの国のあり方を通して、現代社会を風刺したり、深く考えさせられたりする。私が印象深かったのは、かつての大洪水を忘れないために記念式典を大々的に開催しておきながら、肝心の洪水対策を怠っていたために、もう一度大洪水が来たときに壊滅的な被害を受けた「忘れない国」。
魔法の呪文がカッコ良くて全部暗記した。自称天才美少女魔術士、通称「盗賊殺し」「ドラゴンもまたいで通る」リナ・インバースが、相棒ガウリイ・ガブリエフと一緒に魔王退治やら魔族退治やらの珍道中を繰り広げる物語。世界滅亡の危機が何度もあったはずだけれどなぜかシリアスになれない。なにげに女の子が月一度迎える「あの日」が魔力に影響するなんて生々しい設定がある。
銀の海金の大地シリーズは、古事記にある「狭穂彦の反乱」をベースにした古代転生ファンタジー。不可思議な霊力をもつ巫王の血筋・佐保一族の出身でありながら一族を追われた兄妹、真澄と真秀が、佐保一族の王子である佐保彦と敵対しつつ、未だ統一されない大和にうずまく政治的野心に巻きこまれる物語。真秀のしたたかな生き強さに惚れこむ。古事記に登場するひとたちがたくさん出てくるから、古事記を読むときに親近感を覚えること間違いなし。作者が亡くなったため未完。
「影の王国」シリーズの表紙が美麗すぎて手にとったのがきっかけ。
「影の王国」シリーズは、月の影にある王国の王子でありながら、父親である月の王・百雷に殺される運命から逃れるために地球上に隠れ住んでいた月哉(つきや)が、同じく影の王国の血をひく瞳との出会いをきっかけに、兄王子たちとの戦いに巻きこまれていく物語。物語が進むにつれて、主人公であるはずの月哉よりも百雷の方がずっといい奴に見えてくるのが不思議。
「龍と魔法使い」シリーズは、主人公の魔法使いタギが、龍の娘シェイラギーニと感情を通わせる物語。物語自体はさわやかで「風を感じる」ものだけれど、タギがとある姫君に陥れられて政治的判断から国を追われたり、タギの奥さんになるリデルが親子ほどの年の差がある男に犯されかけた過去を持っていたりと、さらっと闇設定が混じるのが醍醐味。
表紙に惚れこんだ小説その2。強大な力を持つ魔性を倒す破妖剣士でありながら、魔性の王の血をひく半人半妖の少女・ラエスリールの物語。護り手の闇主との軽妙なかけあいが好きだった。
英国パブリックスクールを舞台に、在らざるものが見える霊感少年・ユウリと、何かと騒ぎに巻きこまれがちなユウリを気遣うフランス伯爵家の貴公子・シモンがさまざまな妖異譚に巻きこまれる物語。ゴシックホラー、パブリックスクール、貴族、魔術、妖精と、英国への憧れをぎゅっと濃縮したシリーズ。