コバルト文庫。懐かしい。
中学校の図書館、地元の公立図書館、なぜかどちらもそこそこシリーズがそろっていた。氷室冴子、前田珠子、榎木洋子……新井素子や赤川次郎までコバルト文庫で書いている。わたしがコバルト文化を読んでいたのは、看板作家全盛期だったと思う。以前ブログにもとりあげた。
[昔読んだ本たち]少女小説(女性向けラノベ)編 - コーヒータイム
40年カタログが出版されると聞き、あまりの懐かしさについKindle版をポチってしまった。そして当時は電子書籍どころか、スマホやオンラインショップ自体無かったことを思い出し、ますます懐かしくなった。カタログを読んでいて思い出した、思い出深い作品をいくつか。
外面完璧、中身根性悪の主人公・倉橋数子が親戚の留守宅をまかされ、そこに同級生の漫画家志望・家弓と、二浪中の医学部志望生・勉が転がりこみ、同居生活を始めるドタバタコメディ。作者自身も友達付きあいがあるという漫画家の生々しい原稿締切事情がめちゃめちゃ面白かった。
魔性と呼ばれる強大な力をもつ存在と、それに対抗する破妖剣士ラエスリールの物語。ラエスリール自身、最強の魔性の血をひく半人半妖で、その出自と生真面目すぎる性格ゆえにさまざまな苦労をしてきたけれど、ある日押しかけてきた魔性・闇主とコンビを組むようになってから、しだいに感情豊かになっていく。ラエスリールと闇主のかけあい(というよりラエスリールが一方的にからかわれるコント)に涙が出るほど笑った。後半はシリアスな恋愛物語…と思いきややっぱりギャグ。
カタログにはコバルト目録解説エッセイも収録されているけれど、むしろこれを一番興味深く読んだかもしれない。看板作家たちがコバルト小説に寄せたエッセイはとても短いけれど、少女小説書きとしての自分、小説を書くことへの思い入れ、少女小説作家になったきっかけ。思いがけず顔写真まで載っていたりするから嬉しい驚き。
カタログらしく、読みものとしての分量はそれほどなく、半分以上を、40年間のコバルト文庫一覧や書影が占める。青春の思い出深い一冊を探すには最適。