コーヒータイム -Learning Optimism-

本を読むということは、これまで自分のなかになかったものを取りこみ、育ててゆくこと。多読乱読、英語書や中国語書もときどき。

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

【おすすめ】香港社会を理解するためのベストノンフィクション〜星野博美『転がる香港に苔は生えない』

転がる香港に苔は生えない (文春文庫) 作者:星野博美 文藝春秋 Amazon 1997年7月1日、香港は99年間の植民地支配を終え、中国に返還された。この本は、香港返還前後の2年間を香港の庶民にまじって暮らし、香港に生きる「香港ではごく普通の」人々の日常、仕…

【おすすめ】民族紛争の地に送られた無知な子供たち〜プリスターフキン《コーカサスの金色の雲》

コーカサスの金色の雲 (現代のロシア文学) 作者:アナトーリイ・イグナーチエヴィチ プリスターフキン メディア: 単行本 「1980年、みずからの体験をもとに書き上げたこの作品はソ連ではタブーとされたチェチェン民族の強制移住にふれたため発表を許されなか…

負け組の逃げ先としての海外留学〜テレビドラマ原作小説『小別離』

中国でいまもっともアツいテレビドラマの原作小説『小舍得』(未邦訳)の作者、魯引弓(ルー・インゴン)が、『小舍得』を含む中国教育小説シリーズとして書いたのが『小別離』。2016年に英語タイトル"A Little Separation" でテレビドラマ化された。 『小舍…

現代中国社会の熾烈なお受験戦争+習いごと+マウンティング〜ドラマ原作小説『小舍得』

中国でいまもっともアツいドラマは、同名小説を原作とした『小舍得』(未邦訳)らしい。「舍得」という単語はかなり日本語訳しづらいのだけれど、ここでは「子どもの将来のためならば、心は痛むけれど、いまの苦労を惜しんではいられない」くらいの意味。 テ…

ナイジェリアとイギリスの価値観が出会うとき〜チアヌ・アチェべ《崩れゆく絆》

崩れゆく絆 (光文社古典新訳文庫) 作者:アチェベ 発売日: 2015/06/26 メディア: Kindle版 ノルウェー・ブック・クラブが選出した「世界最高の文学100冊」(原題:Bokkulubben World Library)の一冊。わたしにとっては初のアフリカ文学。 Library of World L…