英語の本365冊読破にチャレンジ。原則としてページ数は最低50頁程度、ジャンルはなんでもOK、最後まできちんと読み通すのがルール。期限は2027年10月。20,000単語以上(現地大卒程度)の語彙獲得と文章力獲得をめざします。
なぜこの本を読むことにしたか
インターナショナルスクールに興味を持ちいろいろ見ていたのだけれど、「そもそもバイリンガルはどうすれば育つの?」という根本的な問題に気づく。身のまわりには成功例があまりない(流暢に話せるのは1言語のみ、他言語はうまく話せないか、一見発音がきれいでもあきらかに文章構成がおかしいという人がほとんど)ので、成功例がどういうものか知るためにこの本を読んだ。
https://www.fsa.go.jp/common/about/research/20210831_2/20210831.pdf
How to Choose the Best International School for your Child
Five key trends for international schools | Education Guides | Relocate magazine
本書の位置付け
本書は、アメリカ出身で日本在住、日英バイリンガルの子どもを二人育てあげ、ブログやオンラインイベントなどでバイリンガル教育を広めるために活動している著者によるバイリンガル教育成功体験集。世界各地に住む26組の親子が、それぞれの状況でどのようにバイリンガル子育てを実践してきたのかを語る。
研究書でも実践書でもないが、身近な成功例をとりあげることで、これからバイリンガル子育てに挑戦する親たちの助けになるよう書かれている。読み手が英語圏出身とはかぎらないことを意識してか、英語表現は平易で読みやすく、英語読書チャレンジにもよい。
本書で述べていること
バイリンガル教育を成功させる肝は "exposure (さらされていること) "と"need (必要性)" である。子どもは日常生活で充分な量の言語にさらされなければならないーー最低でも週20〜30時間程度が言語習得には必要だといわれる。
しかし受身で終わらせてはならない。子どもがマイノリティ言語 (*1) の必要性を感じ、自分からすすんで言語を使うように仕向けなければならない (*2) 。大切なのは、子どもがマイノリティ言語での活動ーー歌をうたう、パパママとおしゃべりするーーを楽しみ、楽しむことを通してマイノリティ言語そのものによい感情を抱くこと。
(*1) マイノリティ言語」とは、学校や地域社会で使われる言語でないものを指す。子どもは通常、学校や地域社会の言語を第一言語として身につける。これ以外の言語を学ばせるのがバイリンガル教育。
(*2) この意味では「かけ流すだけで英語がペラペラ!」系の幼児教育教材にはなんともうさんくさいものを感じる。親がある程度英語を話すことができ、親子間、きょうだい間で英語によるコミュニケーションが可能であればまだしも、ただかけ流し英語を聞いているだけでは、子どもに「英語を話したい」という気持ちが芽生えにくい。
The stories tell of dedication, effort, perseverance, and love—love for minority languages, and, above all, for the children who speak them.
(バイリンガルの成功例は)献身、努力、忍耐、そして愛情を物語る。マイノリティ言語への愛情、そしてなによりもその言語を話す子どもへの愛情を。
感想いろいろ
冒頭にでてくる、3歳の娘に4ヶ国語 (!) を教えるアメリカ在住の女性は、言語教育とは楽器を学ぶようなもので、教える側に忍耐力がなければならないのはもちろん、やり方も工夫して楽しめるものにしないと親も子も続けられない、と言っている。至言だと思う。
バイリンガル育児についてのさまざまな学術研究と著者自身の経験をわかりやすくまとめた参考書。ブログ記事参照。
同じくバイリンガル子育てに奮闘する父親による経験談。ブログ記事参照。
長いマラソンを走り抜けよう “Maximize Your Child’s Bilingual Ability” - コーヒータイム -Learning Optimism-